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10話 百聞は一見に如かず
取り敢えずミリアさんのお陰で姿を見せる事は出来たのは幸いだった。なんでミリアさんが私を見る事が出来たのかは疑問だけれど……まぁ今は置いておこう。
「アヤメ、何か必要なものとかってある? お礼がしたいの」
アリーシャさんにそう言われても、今のところ必要なものは思い浮かばない。とはいえお礼を拒否するというのもなんだかなぁ……あ。
「何か思い付いた?」
ガリガリと地面に文字を刻んでいく。文字が通じる事が分かったから、こうして意思疎通が出来るというのは有難い。とはいえ読めるのはこの中でアリーシャさんだけっぽいから、他の人相手だとまだまだ課題はあるなぁ……。
「えっと…ゴ、ハ、ン…御飯が欲しいの?」
こくりと頷く。お腹は空かないから必要なものではないけれど、久しぶりに人間の食事がしたい。あれ、でも狼って食べれないものとかあったっけ…?
「飯かぁ…狼が食べれないもの分かるか?」
「基本犬と同じよ。でもアヤメは普通の狼じゃないし、普通に人間の食事でも大丈夫じゃないかしら」
「憶測が一番怖いんだが…まぁ食べれないなら自分から拒否するか。さて何かあったっけなぁ……」
名前の分からない男の人が傍らに放り投げられていた袋を手繰り寄せ、中に手を突っ込む。でもその袋見るからにペッタンコだよ? 中身入ってるの?
でもそんな私の不安を裏切るように、にゅっと袋からでっかいフライパンが引き抜かれた。もしかして私の魔法みたいなものだろうか。
「リンダ、一から作るのか?」
「あん? 恩人に生肉渡してお礼だなんて俺は言いたくないぞ」
「まぁそうか」
「ちょっとちょっと。料理するのはいいけど、まずは安全地帯に行くのが先でしょ」
「おっとそうだった。いつまでもアリーシャに結界を維持して貰うわけにもいかんからな」
なんか私とミリアさんを放置して話が進んでいくのをじっと眺める。結界っていうのは多分此処に入ろうとした時突き破った膜の事だよね。警戒してた時も言ってたし。安全地帯って言うのはその結界が必要無い場所って事なのかな。
「アヤメ。本当に申し訳ないんだけど、ちょっとお願いを聞いてくれないかしら…?」
「クゥン?」
「ミリアを運んで貰いたくて……」
あぁ成程。それくらいならお安い御用だと示すように、身体を伏せて背中に乗りやすいように動く。
それでちゃんと伝わったのか、アリーシャさんがありがとうと言ってからミリアさんに近付いて、肩を貸して立ち上がらせる。
そのままこちらへと歩いてくると、心做しかミリアさんの目が輝いているように見えた。
「ほ、ほんとに乗っていいんですか…!」
「……そう言えばミリアって動物好きだっけ」
あー…確かにそれならワクワクするのも分かるかも。でっかいモフモフってそれだけで癒しだよね。……魔法で毎日綺麗にしておいて良かった。
「アヤメ、落としちゃ駄目だからね?」
当然落とすつもりはない。意識の無いミスズさんを運んだ時も落とさなかったのだから、問題は無いはずだ。
ミリアさんがしっかりと乗ったのを背中で感じてから、ゆっくりと立ち上がる。その瞬間「わぁぁ…っ」っとまるで燥ぐ子供みたいな声が上から聞こえた。ふふん。存分に堪能するが良い。
「病み上がりなんだから大人しくしなさい」
「だってすっごいんですよっ! 凄いフワフワであったかくて…っ!」
「はいはい……」
……なんだかミリアさんが幼児退行してない? 語彙力皆無なんだけど。でもアリーシャさんの反応的にこれは初めての事ではないらしい。それに加えてさっきまで瀕死状態だったから、アドレナリンどばどばなのかも。
キャッキャと燥ぐミリアさんを下からアリーシャさんが宥めつつ、ガレフさんの先導でその場を後にする。でもこうして姿を見せたままこの洞窟を歩くっているのは、何気に初めてかも。だから私もミリアさんの事言えないくらい、ちょっとワクワクしてたりする。
とはいえ怪我人を連れているからかガレフさん達は本当に慎重に進んでいて、今のところ魔物と出会う様子は無い。まぁ出会ったら出会ったで、私を見た瞬間逃げていきそうな気はするけど。
「あったぞ」
先行して道を確認していたリンダさんが戻ってくる。無事に発見できたらしく、リンダさんの案内で先へ進む。すると向こう側から見覚えのある光が見え始めた。
そのまま安全地帯と呼ばれた場所へと足を踏み入れれば、そこは洞窟の中とは思えない程に綺麗な外の風景が広がっていて……まぁつまり、私が拠点と呼んでいた空間と全く同じ姿をしていた。成程、ここが安全地帯だったのか。
「やっと着いたわ…アヤメ、ありがとね。ゆっくり屈んでくれる?」
「えー! まだ乗っていたいです…」
「文句言わない。アヤメの負担でしょうが」
駄々をこねるミリアさんを、アリーシャさんが屈んだ私から引き摺り下ろす。ミリアさんって最初見た時は優しいお姉さんみたいな感じがしたのに、今やその影はまるでない。まぁそれだけ楽しんでくれたと思えば悪い気はしないけど。
「ガウッ」
「え? ……あぁ成程。ほらミリア。見かねたアヤメが枕になってくれるそうよ」
「良いんですかっ!」
と言いながらミリアさんが伏せた私のお腹にダイブする。貴方怪我人だよね……?
「えへへぇ……」
……まぁ、いっか。緩みきったその顔は絶対他の人には見せられないけど。
「アヤメ、何か必要なものとかってある? お礼がしたいの」
アリーシャさんにそう言われても、今のところ必要なものは思い浮かばない。とはいえお礼を拒否するというのもなんだかなぁ……あ。
「何か思い付いた?」
ガリガリと地面に文字を刻んでいく。文字が通じる事が分かったから、こうして意思疎通が出来るというのは有難い。とはいえ読めるのはこの中でアリーシャさんだけっぽいから、他の人相手だとまだまだ課題はあるなぁ……。
「えっと…ゴ、ハ、ン…御飯が欲しいの?」
こくりと頷く。お腹は空かないから必要なものではないけれど、久しぶりに人間の食事がしたい。あれ、でも狼って食べれないものとかあったっけ…?
「飯かぁ…狼が食べれないもの分かるか?」
「基本犬と同じよ。でもアヤメは普通の狼じゃないし、普通に人間の食事でも大丈夫じゃないかしら」
「憶測が一番怖いんだが…まぁ食べれないなら自分から拒否するか。さて何かあったっけなぁ……」
名前の分からない男の人が傍らに放り投げられていた袋を手繰り寄せ、中に手を突っ込む。でもその袋見るからにペッタンコだよ? 中身入ってるの?
でもそんな私の不安を裏切るように、にゅっと袋からでっかいフライパンが引き抜かれた。もしかして私の魔法みたいなものだろうか。
「リンダ、一から作るのか?」
「あん? 恩人に生肉渡してお礼だなんて俺は言いたくないぞ」
「まぁそうか」
「ちょっとちょっと。料理するのはいいけど、まずは安全地帯に行くのが先でしょ」
「おっとそうだった。いつまでもアリーシャに結界を維持して貰うわけにもいかんからな」
なんか私とミリアさんを放置して話が進んでいくのをじっと眺める。結界っていうのは多分此処に入ろうとした時突き破った膜の事だよね。警戒してた時も言ってたし。安全地帯って言うのはその結界が必要無い場所って事なのかな。
「アヤメ。本当に申し訳ないんだけど、ちょっとお願いを聞いてくれないかしら…?」
「クゥン?」
「ミリアを運んで貰いたくて……」
あぁ成程。それくらいならお安い御用だと示すように、身体を伏せて背中に乗りやすいように動く。
それでちゃんと伝わったのか、アリーシャさんがありがとうと言ってからミリアさんに近付いて、肩を貸して立ち上がらせる。
そのままこちらへと歩いてくると、心做しかミリアさんの目が輝いているように見えた。
「ほ、ほんとに乗っていいんですか…!」
「……そう言えばミリアって動物好きだっけ」
あー…確かにそれならワクワクするのも分かるかも。でっかいモフモフってそれだけで癒しだよね。……魔法で毎日綺麗にしておいて良かった。
「アヤメ、落としちゃ駄目だからね?」
当然落とすつもりはない。意識の無いミスズさんを運んだ時も落とさなかったのだから、問題は無いはずだ。
ミリアさんがしっかりと乗ったのを背中で感じてから、ゆっくりと立ち上がる。その瞬間「わぁぁ…っ」っとまるで燥ぐ子供みたいな声が上から聞こえた。ふふん。存分に堪能するが良い。
「病み上がりなんだから大人しくしなさい」
「だってすっごいんですよっ! 凄いフワフワであったかくて…っ!」
「はいはい……」
……なんだかミリアさんが幼児退行してない? 語彙力皆無なんだけど。でもアリーシャさんの反応的にこれは初めての事ではないらしい。それに加えてさっきまで瀕死状態だったから、アドレナリンどばどばなのかも。
キャッキャと燥ぐミリアさんを下からアリーシャさんが宥めつつ、ガレフさんの先導でその場を後にする。でもこうして姿を見せたままこの洞窟を歩くっているのは、何気に初めてかも。だから私もミリアさんの事言えないくらい、ちょっとワクワクしてたりする。
とはいえ怪我人を連れているからかガレフさん達は本当に慎重に進んでいて、今のところ魔物と出会う様子は無い。まぁ出会ったら出会ったで、私を見た瞬間逃げていきそうな気はするけど。
「あったぞ」
先行して道を確認していたリンダさんが戻ってくる。無事に発見できたらしく、リンダさんの案内で先へ進む。すると向こう側から見覚えのある光が見え始めた。
そのまま安全地帯と呼ばれた場所へと足を踏み入れれば、そこは洞窟の中とは思えない程に綺麗な外の風景が広がっていて……まぁつまり、私が拠点と呼んでいた空間と全く同じ姿をしていた。成程、ここが安全地帯だったのか。
「やっと着いたわ…アヤメ、ありがとね。ゆっくり屈んでくれる?」
「えー! まだ乗っていたいです…」
「文句言わない。アヤメの負担でしょうが」
駄々をこねるミリアさんを、アリーシャさんが屈んだ私から引き摺り下ろす。ミリアさんって最初見た時は優しいお姉さんみたいな感じがしたのに、今やその影はまるでない。まぁそれだけ楽しんでくれたと思えば悪い気はしないけど。
「ガウッ」
「え? ……あぁ成程。ほらミリア。見かねたアヤメが枕になってくれるそうよ」
「良いんですかっ!」
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……まぁ、いっか。緩みきったその顔は絶対他の人には見せられないけど。
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