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14話 あ、お久しぶりですぅ〜
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「しっかし待ってる間何すっかねぇ」
「そう離れる訳にもいかんしな。武器の手入れくらいしか出来ないか」
「ま、そうなるか」
そう言ってガレフさん達は各々の武器を取り出して手入れを始めた。現代のようにスマホがある訳でもないから、暇を潰す手段はそれくらいしかないんだろうね。……いや待って? 確か初めて会った人達、スマホみたいなの持ってたよね?
(でもここは完全な異世界っぽいし…)
アリーシャさんの口ぶり的に、日本語が通じる国はあるみたいだけれどね。とするとその国にだけ存在する魔導具的なものなんだろうか。うぅん……喋れれば直ぐにでも結論が出るのになぁ……もどかしい。
まぁ筆談が通じるアリーシャさんが帰ってきたら考えるとしよう。今は私もする事が無いから、取り敢えずガレフさん達の様子を眺めていよう。
リンダさんが手に持っていたのは、上半身を覆えるほどの盾。装飾もそんなにされていない実用性重視の堅牢な盾って感じ。それと傍らには短めの持ち手が付いた斧。所謂バトルアックスって呼ばれる類いのものかな? となるとリンダさんは重戦士的な役割を担っているのかも。
対するガレフさんはでっかい両手剣を持っていた。幅も広いしそれ自体が盾としても使えそうだ。切るというより叩き潰す為の剣って感じだね。
(改めて感じる異世界感……)
本当にファンタジーの世界に迷い込んだんだなぁってしみじみ思う。……まぁ私の存在そのものがファンタジーなんだから、そう思うのも今更なんだけど。
「アヤメ。煩くないか? 気分が悪ければ離れるが…」
ガレフさんが眉を下げてそう尋ねてきた。多分刃を研ぐ金属音が不快じゃないかって心配してくれたんだろうね。そこまで気にならないから、首を振って答える。するとほっとした様な表情を浮かべて、「気になるようなら何時でも言ってくれ」と付け加えてきた。……やだ、ガレフさんってばイケメン…!
暫くの間草木の香りと涼やかな金属音を楽しんでいると、ふと私の耳がピクリと反応する。頭を上げて安全地帯の入口を見ると、そんな私に気付いたのかガレフ三達も手を止めて同じ方を見詰める。
そうして少し待っていると、私が反応したものの正体が入口から姿を現した。
「―――おや、先客がいた、の……」
「ちょっとシオン。いきなり止まらない、で…」
「何二人とも固まって……」
現れたのはなんと私が最初に会った女性三人組。最初は笑顔を浮かべていたのだけれど、ある一点に目を留めた瞬間ガチンッと身体が固まった。……うん、まぁ原因私だよね。
「あー…コイツは安全だから安心してくれていいぞ」
「俺たちの命の恩人なんだ。嫌わないでもらえると嬉しい」
そんな三人の反応を見て、苦笑を零したガレフさん達が私の事を紹介してくれた。そうですよ、わたしわるいおおかみじゃないんですよ。ほらほら尻尾も振ってあげるから。可愛いでしょ?
「……ほ、ほんとに?」
「ああ。じゃなかったら俺たちがこんなに寛いでる訳ねぇだろ」
「ま、まぁ確かに…」
何とか再起動を果たした三人組が、恐る恐るといった様子で安全地帯へと入ってくる。私にとっては久しぶりだけれど、この人達にとっては初めましてなんだから仕方無いと言えば仕方無い。
……甘えた鳴き声でも研究してみようか。甘えてくる動物って老若男女に好かれるし。
というか普通に会話が成立しているね。文字は通じなかったのに……なんというか不思議な感じだ。
「でか…」
「誰かがテイムしているんですか?」
「いや? 名前はあるがテイムされてる訳じゃねぇみたいだ」
「名前?」
「アヤメというらしい。賢い子で、文字を書いて教えてくれたんだ」
「アヤメって…絶対名前付けたのガイアメルク出身じゃないの」
「だろうな。そう言うお前さん達も呼び合う名前的にガイアメルク出身だろ?」
「ええそうよ。私はアイナ。こっちの剣士はシオン。それで…」
「リサです。あの、撫でていいですか…っ!」
「それは本人に聞いてくれ」
リンダさんにそう言われ、そのまま正直に私に対して撫でていいか聞いてくるリサさん。目がキラキラしてるし、多分ミリアさんと同類だね…勿論撫でる事は構わないので頷いておく。
「わぁぁ…っ!」
「……言葉を完全に理解しているのね」
「賢いだろ?」
「ええ。…アヤメだったわね。ごめんなさい、リサは昔から動物が好きなんだけど肝心の動物からは嫌われるタイプで…」
あぁ~…たまに居るよね、そういう人。好きなのにあっちは嫌ってくるから心折られるんだ……そういう事なら遠慮無く撫でていいよ。お腹も触らせてあげるから。
「いいんですかっ!?」
すっごい興奮した様子だけど触り方は優しくて、この人が凄く動物好きなのが良く分かる。中々の撫でテク……ミリアさんも同じくらいあるのかな。ミリアさんは私のお腹で寝るだけで、撫でたりとかはしてこなかったから分かんないや。
「私たちは少し離れたところで休ませてもらうわ」
「リサは…申し訳ないけど、満足するまでそっとしておいてもらえると嬉しい」
「構わない。俺たちは仲間を待っている関係上暫く動けないからな」
満足…するのかなぁ……今も私のお腹に顔を埋めて猫吸いならぬ狼吸いしてるし…。
「あぁ…幸せぇ……」
うんうん良かったねぇー…でもお願いだから涎付けるのだけは止めてね。マジで。
「そう離れる訳にもいかんしな。武器の手入れくらいしか出来ないか」
「ま、そうなるか」
そう言ってガレフさん達は各々の武器を取り出して手入れを始めた。現代のようにスマホがある訳でもないから、暇を潰す手段はそれくらいしかないんだろうね。……いや待って? 確か初めて会った人達、スマホみたいなの持ってたよね?
(でもここは完全な異世界っぽいし…)
アリーシャさんの口ぶり的に、日本語が通じる国はあるみたいだけれどね。とするとその国にだけ存在する魔導具的なものなんだろうか。うぅん……喋れれば直ぐにでも結論が出るのになぁ……もどかしい。
まぁ筆談が通じるアリーシャさんが帰ってきたら考えるとしよう。今は私もする事が無いから、取り敢えずガレフさん達の様子を眺めていよう。
リンダさんが手に持っていたのは、上半身を覆えるほどの盾。装飾もそんなにされていない実用性重視の堅牢な盾って感じ。それと傍らには短めの持ち手が付いた斧。所謂バトルアックスって呼ばれる類いのものかな? となるとリンダさんは重戦士的な役割を担っているのかも。
対するガレフさんはでっかい両手剣を持っていた。幅も広いしそれ自体が盾としても使えそうだ。切るというより叩き潰す為の剣って感じだね。
(改めて感じる異世界感……)
本当にファンタジーの世界に迷い込んだんだなぁってしみじみ思う。……まぁ私の存在そのものがファンタジーなんだから、そう思うのも今更なんだけど。
「アヤメ。煩くないか? 気分が悪ければ離れるが…」
ガレフさんが眉を下げてそう尋ねてきた。多分刃を研ぐ金属音が不快じゃないかって心配してくれたんだろうね。そこまで気にならないから、首を振って答える。するとほっとした様な表情を浮かべて、「気になるようなら何時でも言ってくれ」と付け加えてきた。……やだ、ガレフさんってばイケメン…!
暫くの間草木の香りと涼やかな金属音を楽しんでいると、ふと私の耳がピクリと反応する。頭を上げて安全地帯の入口を見ると、そんな私に気付いたのかガレフ三達も手を止めて同じ方を見詰める。
そうして少し待っていると、私が反応したものの正体が入口から姿を現した。
「―――おや、先客がいた、の……」
「ちょっとシオン。いきなり止まらない、で…」
「何二人とも固まって……」
現れたのはなんと私が最初に会った女性三人組。最初は笑顔を浮かべていたのだけれど、ある一点に目を留めた瞬間ガチンッと身体が固まった。……うん、まぁ原因私だよね。
「あー…コイツは安全だから安心してくれていいぞ」
「俺たちの命の恩人なんだ。嫌わないでもらえると嬉しい」
そんな三人の反応を見て、苦笑を零したガレフさん達が私の事を紹介してくれた。そうですよ、わたしわるいおおかみじゃないんですよ。ほらほら尻尾も振ってあげるから。可愛いでしょ?
「……ほ、ほんとに?」
「ああ。じゃなかったら俺たちがこんなに寛いでる訳ねぇだろ」
「ま、まぁ確かに…」
何とか再起動を果たした三人組が、恐る恐るといった様子で安全地帯へと入ってくる。私にとっては久しぶりだけれど、この人達にとっては初めましてなんだから仕方無いと言えば仕方無い。
……甘えた鳴き声でも研究してみようか。甘えてくる動物って老若男女に好かれるし。
というか普通に会話が成立しているね。文字は通じなかったのに……なんというか不思議な感じだ。
「でか…」
「誰かがテイムしているんですか?」
「いや? 名前はあるがテイムされてる訳じゃねぇみたいだ」
「名前?」
「アヤメというらしい。賢い子で、文字を書いて教えてくれたんだ」
「アヤメって…絶対名前付けたのガイアメルク出身じゃないの」
「だろうな。そう言うお前さん達も呼び合う名前的にガイアメルク出身だろ?」
「ええそうよ。私はアイナ。こっちの剣士はシオン。それで…」
「リサです。あの、撫でていいですか…っ!」
「それは本人に聞いてくれ」
リンダさんにそう言われ、そのまま正直に私に対して撫でていいか聞いてくるリサさん。目がキラキラしてるし、多分ミリアさんと同類だね…勿論撫でる事は構わないので頷いておく。
「わぁぁ…っ!」
「……言葉を完全に理解しているのね」
「賢いだろ?」
「ええ。…アヤメだったわね。ごめんなさい、リサは昔から動物が好きなんだけど肝心の動物からは嫌われるタイプで…」
あぁ~…たまに居るよね、そういう人。好きなのにあっちは嫌ってくるから心折られるんだ……そういう事なら遠慮無く撫でていいよ。お腹も触らせてあげるから。
「いいんですかっ!?」
すっごい興奮した様子だけど触り方は優しくて、この人が凄く動物好きなのが良く分かる。中々の撫でテク……ミリアさんも同じくらいあるのかな。ミリアさんは私のお腹で寝るだけで、撫でたりとかはしてこなかったから分かんないや。
「私たちは少し離れたところで休ませてもらうわ」
「リサは…申し訳ないけど、満足するまでそっとしておいてもらえると嬉しい」
「構わない。俺たちは仲間を待っている関係上暫く動けないからな」
満足…するのかなぁ……今も私のお腹に顔を埋めて猫吸いならぬ狼吸いしてるし…。
「あぁ…幸せぇ……」
うんうん良かったねぇー…でもお願いだから涎付けるのだけは止めてね。マジで。
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