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30話 ですよねぇ〜
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アイテム袋を渡されたは良いんだけど、これって結局人間用だから私持てないのよね。どうするんだろって思ってたら、当然そこも考えてくれていたらしい。長いベルトを使って私の横にぶら下げるっていう単純な方法。ただこれには問題もあって……うん、着けた状態だと私が取り出せないんだよね。
「要救助者に自分で取って貰うしか方法は無さそうね」
「でもそれって要救助者がパーティーを組んでいるか、動けたらの話ですよね?」
「まぁアヤメが行動する範囲でソロの冒険者はいないから問題はそうないと思うんだけど…たまに馬鹿がいるからなんともね」
馬鹿って言うのはつまり実力を過信して潜った人って事かな……馬鹿につける薬はないって言うし、いっそ諦めるのも手だと思う。
……待って。私今何を考えた?
(……この身体になってから、倫理観が失われていってる気がする)
でも仕方の無い事なのかもしれない。だって人間じゃないし。更には少なからず狼としての本能も存在しているのは分かってるし。しかも抗えないタイプの。
人間だった事を忘れたい訳じゃない。でもそんな事を何時までも引き摺っていても無駄だと思ってる自分がいる。
「アヤメ? どうしましたか?」
おっと。少しミリアさんに勘付かれてしまったみたい。うんやめやめ。暗いことを何時までも考えるなんて私らしくない。お顔ベロベロ~。
「みにゃっ!?」
よしっ。
「アヤメが取り出せない問題については一先ずこちらで試行錯誤をしてみる事にするわ。それでもう一つアヤメに渡すものが…これね」
おや? これで全部かと思ったのだけれどまだあったらしい。
クーリアさんが最後に取り出したのは、革製に見える大きな何か……あっ、分かったコレ。でも多分……
「聞いていた大きさで鞍を作ってみたの」
「必要ないです」
「えっ」
「要らないです」
うん、まぁそうだよね。ミリアさんなら絶対拒否すると思ってた。私の毛並み大好きだし。
「アヤメには必要ありませんそもそも柔らかいですしその上温かいし良い匂いもするのでとても心地が良いですし乗り心地が悪いと思った事などありませんし今後そう思う事もありません」
「そ、そう…」
ダメだよミリアさん、クーリアさんが引いてるからね。ちなみに私もちょっと引いてるからね。一息で言い切ったでしょ今の。
折角作ってくれたクーリアさんには悪いけれど、私に一番乗る機会があるミリアさんが拒否するなら無理だわ。ごめんね?
「よし。アヤメ、これ着けてみてくれるか?」
「ガウ?」
そんな一悶着が落ち着いた頃にガレフさんが何やら持ってきた。ガレフさんがさっきからゴソゴソしていたのは気付いていたけど、契約するって事もあってあんまり見てなかったんだよね。あっ、ちなみにリンダさんは早々に寝てるよ。こういうの興味無さそうだもんね。
それでガレフさんや。一体何を……あっ!?
「よし。大丈夫そうだな」
ガレフさんが持ってきたのは、なんとクーリアさんが私の脚を見て諦めたあの腕章。ゴソゴソしていたのは、どうやら私に合わせて縫い直しをしていたからだったみたい。しかもこれゴム? なんか妙に締め付けがあってそう簡単には取れなさそう。もうプロですやん……。
「これでれっきとしたギルド職員に見えるな」
「まぁ前例は無いから一見しても分からないでしょうけどね…」
それはそう。
契約も済んで渡すものも渡したということで、クーリアさんが帰る準備を始めた。最初こそ緊張していたけれど、始まってみればあっという間に終わったね。ギルド長も優しい人で良かった。
「ギルド長。良ければアヤメを撫でてみませんか?」
「えっ?」
帰ろうとしてたクーリアさんを呼び止め、そんな事を言い出すミリアさん。そういえば確かに触ってないね。触ります? 今ならヘソ天もサービスしますよ? ほれほれ。
「っ!」
「…アヤメって自分の可愛さを理解してる節があるわよね」
「そこも可愛いです」
可愛いは正義だからねっ。
最初こそ戸惑っていたクーリアさんだけれど、おずおずと近付いてきてゆっくりと私のお腹に触れた。私は見逃さなかったよ。一瞬表情が喜色に彩られたの。
「……」
片手だったのがいつの間にかもう一本増えて、無言でモニモニと私のお腹を触るクーリアさん。今までにないタイプだ……。
「…売れそう」
「っ!?」
「ぁ、ち、違うのよアヤメ。この毛並みの寝具があれば売れそうって意味だからね!?」
ずっと無言だったクーリアさんからやっと出てきた言葉にビックリしちゃったけれど、それに気付いたクーリアさんが慌てて弁明し始める。びっくりしたぁ…私をお金としか見ていないのかと思った。
「ちなみにミリアは毎日アヤメのお腹で寝てるわね」
「快眠です」
「えぇ…」
ほんとに私も驚くくらいの早さでミリアさんって寝るからね。凄いのよ、私のお腹に転がった途端寝息が聞こえるから。
「一先ず今日は帰るわ。数日後都合が付いたら状況を確認しに来るわね」
はーい。
私がしっかりと頷いたのを見てなんとも言えない表情を浮かべたクーリアさんだったけれど、そのまま帰還石で帰って行った。でも数日後って具体的には何時か分からなくて困るよね。
「クーリアはあれで忙しい身の上なのよね」
「ギルド長とはそういうものですから。冒険者同士のいざこざにも気を配る必要もありますし」
……今度来たらお昼寝にお誘いしようかな。サービスで抱き締めたりしたらストレスとかも緩和されたりしない? 今夜ミリアさんでた~めそっと。
「要救助者に自分で取って貰うしか方法は無さそうね」
「でもそれって要救助者がパーティーを組んでいるか、動けたらの話ですよね?」
「まぁアヤメが行動する範囲でソロの冒険者はいないから問題はそうないと思うんだけど…たまに馬鹿がいるからなんともね」
馬鹿って言うのはつまり実力を過信して潜った人って事かな……馬鹿につける薬はないって言うし、いっそ諦めるのも手だと思う。
……待って。私今何を考えた?
(……この身体になってから、倫理観が失われていってる気がする)
でも仕方の無い事なのかもしれない。だって人間じゃないし。更には少なからず狼としての本能も存在しているのは分かってるし。しかも抗えないタイプの。
人間だった事を忘れたい訳じゃない。でもそんな事を何時までも引き摺っていても無駄だと思ってる自分がいる。
「アヤメ? どうしましたか?」
おっと。少しミリアさんに勘付かれてしまったみたい。うんやめやめ。暗いことを何時までも考えるなんて私らしくない。お顔ベロベロ~。
「みにゃっ!?」
よしっ。
「アヤメが取り出せない問題については一先ずこちらで試行錯誤をしてみる事にするわ。それでもう一つアヤメに渡すものが…これね」
おや? これで全部かと思ったのだけれどまだあったらしい。
クーリアさんが最後に取り出したのは、革製に見える大きな何か……あっ、分かったコレ。でも多分……
「聞いていた大きさで鞍を作ってみたの」
「必要ないです」
「えっ」
「要らないです」
うん、まぁそうだよね。ミリアさんなら絶対拒否すると思ってた。私の毛並み大好きだし。
「アヤメには必要ありませんそもそも柔らかいですしその上温かいし良い匂いもするのでとても心地が良いですし乗り心地が悪いと思った事などありませんし今後そう思う事もありません」
「そ、そう…」
ダメだよミリアさん、クーリアさんが引いてるからね。ちなみに私もちょっと引いてるからね。一息で言い切ったでしょ今の。
折角作ってくれたクーリアさんには悪いけれど、私に一番乗る機会があるミリアさんが拒否するなら無理だわ。ごめんね?
「よし。アヤメ、これ着けてみてくれるか?」
「ガウ?」
そんな一悶着が落ち着いた頃にガレフさんが何やら持ってきた。ガレフさんがさっきからゴソゴソしていたのは気付いていたけど、契約するって事もあってあんまり見てなかったんだよね。あっ、ちなみにリンダさんは早々に寝てるよ。こういうの興味無さそうだもんね。
それでガレフさんや。一体何を……あっ!?
「よし。大丈夫そうだな」
ガレフさんが持ってきたのは、なんとクーリアさんが私の脚を見て諦めたあの腕章。ゴソゴソしていたのは、どうやら私に合わせて縫い直しをしていたからだったみたい。しかもこれゴム? なんか妙に締め付けがあってそう簡単には取れなさそう。もうプロですやん……。
「これでれっきとしたギルド職員に見えるな」
「まぁ前例は無いから一見しても分からないでしょうけどね…」
それはそう。
契約も済んで渡すものも渡したということで、クーリアさんが帰る準備を始めた。最初こそ緊張していたけれど、始まってみればあっという間に終わったね。ギルド長も優しい人で良かった。
「ギルド長。良ければアヤメを撫でてみませんか?」
「えっ?」
帰ろうとしてたクーリアさんを呼び止め、そんな事を言い出すミリアさん。そういえば確かに触ってないね。触ります? 今ならヘソ天もサービスしますよ? ほれほれ。
「っ!」
「…アヤメって自分の可愛さを理解してる節があるわよね」
「そこも可愛いです」
可愛いは正義だからねっ。
最初こそ戸惑っていたクーリアさんだけれど、おずおずと近付いてきてゆっくりと私のお腹に触れた。私は見逃さなかったよ。一瞬表情が喜色に彩られたの。
「……」
片手だったのがいつの間にかもう一本増えて、無言でモニモニと私のお腹を触るクーリアさん。今までにないタイプだ……。
「…売れそう」
「っ!?」
「ぁ、ち、違うのよアヤメ。この毛並みの寝具があれば売れそうって意味だからね!?」
ずっと無言だったクーリアさんからやっと出てきた言葉にビックリしちゃったけれど、それに気付いたクーリアさんが慌てて弁明し始める。びっくりしたぁ…私をお金としか見ていないのかと思った。
「ちなみにミリアは毎日アヤメのお腹で寝てるわね」
「快眠です」
「えぇ…」
ほんとに私も驚くくらいの早さでミリアさんって寝るからね。凄いのよ、私のお腹に転がった途端寝息が聞こえるから。
「一先ず今日は帰るわ。数日後都合が付いたら状況を確認しに来るわね」
はーい。
私がしっかりと頷いたのを見てなんとも言えない表情を浮かべたクーリアさんだったけれど、そのまま帰還石で帰って行った。でも数日後って具体的には何時か分からなくて困るよね。
「クーリアはあれで忙しい身の上なのよね」
「ギルド長とはそういうものですから。冒険者同士のいざこざにも気を配る必要もありますし」
……今度来たらお昼寝にお誘いしようかな。サービスで抱き締めたりしたらストレスとかも緩和されたりしない? 今夜ミリアさんでた~めそっと。
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