狼になっちゃった!

家具屋ふふみに

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5話 どこ行った?

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 まぁ今はその事については置いておく。今大事なのは、目の前にいる三人組が帰ろうとしている事だ。
 このまま彼女達の後をつければ、多分この洞窟の出口に辿り着ける…はず。

「もうちょい稼ぎたかったね~」

「命あるだけ儲けものでしょ」

 軽口を叩きながら、先程来た道を戻っていく。まだ外に出るつもりは無いから敢えて探していなかったのだけれど、まさかこんな形で知る事になるとは思わなかった。
 ……なーんて、思っていたんだけどさ。

「おっ。ここなら帰れるね」

 ずっとスマホらしき板…もうスマホでいいや。スマホを見ていた人―――アイナがふと呟いた。

「場所によって帰れないのは困るよねー」

 そう言いながら三人が取り出したのは、小さな石。ゴブリンから出た物に似ているけれど、それとは違って何やら文字が真ん中にあるように見える。
 そして手にしたその石が一気に光を放ったと思えば、そこから三人の姿は影も形も無くなっていて。

(……えー)

 思わず唖然として軽く絶望する。帰る手段が歩き以外にあるとは思わないじゃん…。

(でも逆に言えば、アレを私が使えば外に出れる?)

 何処にあるのか、そもそもこの洞窟で見つかるものなのかは不明だけどね。
 ただ彼女達の会話内容的にはここはかなり深いみたいだし、あれをわざわざ使うくらいには離れていると思った方がいい。なら、強ち間違った選択肢では無いのかもしれない。

 兎も角私の拠点まで戻って一人作戦会議。

 まず一つ目。この世界は異世界かと思っていたけれど、まさかの地球説が浮上。でも同じ世界なのかは不明。

 二つ目。この洞窟に来る人は、魔物が落とす結晶を集めているみたい。多分換金出来るんだろうね。使い道は分からないけれど。

 三つ目。この洞窟から瞬時に脱出出来る道具があるらしい。聞こえた内容的に、何処でもという訳では無いみたいだけどね。

 さてさて…分かったのはこのあたりかな。三つ目に関しては少し探してみたい気もするけれど、私が使ったら何処に出るのか。そもそも使えるのかすら不明なので一旦保留。

(どーしよっかなぁ…)

 ゴロンと草原に寝転がり天井を仰ぐ。おぉ…ちゃんと空だ…。

 ……よし。取り敢えず結晶を集める方針で動こう。ここにただこうしていても、何も始まらないんだから。

(問題はどうやって持ち帰るか、だね)

 両手いっぱいにーっていうのは、まず今の私には無理。咥えて運ぶにも限界がある。というか小さ過ぎて飲み込んじゃいそう。
 可能性としては……やっぱり魔法かなぁ? 異空間に収納する魔法とかありそうだし。

 イメージ、イメージ……だだっ広い空間に物入れたら取り出せなくなりそうだし、まずは部屋みたいな空間を作って…そこに扉を付けて……

(……出来たっぽい?)

 突如私の目の前にポツンと開いた、小さな穴。すっごい簡単に出来ちゃったけど…いいの? これ。

 取り敢えず木の実を咥えてその穴に入れてみる。スルンっと木の実が穴の中に消えて、取り出したいと思えば、ポンッと木の実が吐き出された。よしよし、成功したみたい。
 あとはいっぱい結晶を取るのみ! もっと下に行けば良いのが沢山取れそうだし、今日はいつもより下に行こうかな?
 早く新しい人間来ないかなぁ~。



 ◆ ◆ ◆



「はぁ…はぁ……」

 ジクジクと痛みを訴える傷口に手を当て、震える足で一歩ずつ進んでいく。本当についてない。転移トラップを踏んだ先で接敵するなんて。

「どこか…安全地帯があれば……」

 帰還石が入った荷物はトラップを踏んだ際に落としてしまった。この怪我では歩いて戻るなんて不可能だし、第一接敵すれば抵抗なんて出来ない。
 一縷の望みをかけて安全地帯を目指す。それが今の私が助かる唯一の道だから。

 ドクドクと絶え間なく血が溢れ続けているのを感じる。傷口は熱を帯びるのに、身体からはどんどん熱が奪われていくようで。

「ぅ……」

 壁に寄りかかりながら、気力だけで必死に歩みを進める。ここで倒れてしまえば、助かる見込みはゼロだ。
 荷物を失っても【夜目】のスキルは持っているから、辛うじて道は見える。でもそれももう限界かもしれない。

 感覚が薄くなる。視界が次第に暗くなって、足に力が入らない。

「やだ…」

 こんなところで死にたくない。誰にも気付かれないまま、死ぬなんて……

「ぁ……」

 カクンと身体が落ちる。もう、指一本も動かせる気がしない。
 じわりじわりと死が近付いていく感覚が、私を蝕む。こんなことなら、いっそあの時殺してもらえば良かった……

「………」

 視界が閉じる。身体の感覚が無くなって、次第に意識が暗く深く沈んでいく。
 あぁ…短い人生だった……。


 ◆ ◆ ◆


 ………うーんとね。確かに人間来ないかなぁとは思ってたよ? でもさ、瀕死の状態で出会うとは思わないじゃん!?

(い、生きてるよね…?)

 取り敢えず発見した段階でかなり深い切り傷が腰に見えたから、直ぐに治療は済ませた。でも多分失った血の量が多いんだろうな…。

(一先ず運んであげよう)

 風の魔法でふわりと持ち上げ、私の背中に乗せる。そして落とさないよう慎重に来た道を戻り始めた。

(出来ることなら仲良くなりたいけど…)

 そもそもこのままでは、死んでしまう可能性の方が高そうだ。流石に私も死者の蘇生はイメージ出来ない。
 ……もし死んでしまった時は、あの箱庭に埋めてあげよう。こんな冷たい岩肌で死にたくは無いだろうからね。











     
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