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㉓俺の事で泣かないでいいよ
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「⋯⋯泣いてんの?」
「⋯⋯⋯⋯ 涙腺 弱い って、前に言ったでしょ」
「だからって何で 俺より」
俯いているロティルの瞳から、こぼれる雫がポタポタと止め処なく落ちていく。消え入りそうな涙声で祈るように願いを口にした。
「⋯⋯お願いだから 消えないで⋯⋯⋯⋯
俺の前から いなくなったりしないで⋯⋯」
「! ⋯⋯」
涙しながら自分の存在を切願してくれる人。カヤミは身体を寄せて片手をそちらへと伸ばす。
細い指先がロティルの赤い髪に触れてそっと撫でると、そのまま頭を抱き寄せ、額と額を貼り合わせるようにくっつける。今までで、一番近い2人の距離。
「っ!! ⋯⋯カ ヤ 」
文字通り目の前にいる恋する相手。動いたら口付け出来てしまいそうな近さに、ロティルの体温が急速に上昇していく。
驚きと泣いていることもあってか、声が掠れて出てこない。余裕も声も無く、狼狽えているロティルに対して言葉を綴っていくカヤミ。
「ここは⋯⋯知らない世界だった筈なのに、こっちの方がすごく居心地がいい。こうやって、一緒に居るのも落ち着くし、安心してる」
「⋯⋯ん」
もう片方の手が濡れたロティルの頬に触れ、親指で雫の流れを拭う。優しくされるその行為に、涙と共に感情がもっと あふれ出して止めることが出来ない。
堪えきれず、体温を確認するようにカヤミの肩に顔を埋めると、抱き留めて受け入れてくれた。ロティルは少し躊躇いながらもカヤミの背中から腰あたりにかけて両腕を回し、弱々しく手を添える。
森の中でカヤミを助け、抱き寄せた時の力強さは今はどこにもない。
「この場所には、ずっといたいって⋯⋯そう思ってるから。
消えたりしない。だから俺の事で泣かないでいいよ」
「⋯⋯っ⋯⋯」
ロティルの不安を取り除いてあげたくて、心が鎮まるように、目を閉じて静かな声で伝える。
「⋯⋯俺が ちゃんと ここにいるって伝わった?」
「うん⋯⋯」
「ん、良かった」
「⋯⋯⋯⋯カヤミ⋯⋯っ」
名前を口にすると、ロティルは目一杯開いた大きな掌で、カヤミの肩と細い腰を掴み、限界まで自分へ抱き寄せ密着させた。無意識に寄せた口唇が白く細い首に触れ、熱い吐息があたる。
先程よりも抱きしめられる力を強くされたカヤミからは、小さな声が漏れた。
その後もロティルの頭を手櫛で髪を梳かすように撫でる仕草を、あやすようにゆっくりと続け、2人の時間が流れていく⋯⋯
「そろそろ泣きやんだか」
「ん⋯⋯ ごめん、困らせて」
視覚ではなく抱擁でお互いを認識した状態のまま、会話を続ける。声の振動も伝わってくる。
「帰ってきてから1度も笑ってなかった。ホントわかりやすいよな⋯⋯こっちも見ないし」
「全然そんなつもりは」
「俺と違って、ロティルは作り笑い出来ないから」
「そ、そうだけど さ」
「でも、 そういうところがいいと思うよ。 俺は」
「⋯⋯っ カヤミ ありがとう⋯⋯」
肯定されたような、そんな風に言われて口元が緩む。ロティルは久しぶりに笑うことが出来た。
カヤミに触れてもらえることが嬉しい
あんなに落ち込んでいたくせに⋯⋯
今は それで頭が いっぱいだ
ボーっとしてくる⋯⋯
体温 匂い 身体の感触
全部心地いい 全部愛おしい
離れたくない 離したくない ⋯⋯離れるのが怖い
「⋯⋯カヤミ、もうちょっとだけ このままでいたい」
「うん⋯⋯いいよ」
またお願いをして、これはすぐに叶えてもらえた。カヤミが優しく慰めてくれるのに かこつけて甘えている自分をズルいとロティルは思う。
しかし、今はそれでも構わない。そのくらい、この ひと時は譲れない。
「⋯⋯⋯⋯ 涙腺 弱い って、前に言ったでしょ」
「だからって何で 俺より」
俯いているロティルの瞳から、こぼれる雫がポタポタと止め処なく落ちていく。消え入りそうな涙声で祈るように願いを口にした。
「⋯⋯お願いだから 消えないで⋯⋯⋯⋯
俺の前から いなくなったりしないで⋯⋯」
「! ⋯⋯」
涙しながら自分の存在を切願してくれる人。カヤミは身体を寄せて片手をそちらへと伸ばす。
細い指先がロティルの赤い髪に触れてそっと撫でると、そのまま頭を抱き寄せ、額と額を貼り合わせるようにくっつける。今までで、一番近い2人の距離。
「っ!! ⋯⋯カ ヤ 」
文字通り目の前にいる恋する相手。動いたら口付け出来てしまいそうな近さに、ロティルの体温が急速に上昇していく。
驚きと泣いていることもあってか、声が掠れて出てこない。余裕も声も無く、狼狽えているロティルに対して言葉を綴っていくカヤミ。
「ここは⋯⋯知らない世界だった筈なのに、こっちの方がすごく居心地がいい。こうやって、一緒に居るのも落ち着くし、安心してる」
「⋯⋯ん」
もう片方の手が濡れたロティルの頬に触れ、親指で雫の流れを拭う。優しくされるその行為に、涙と共に感情がもっと あふれ出して止めることが出来ない。
堪えきれず、体温を確認するようにカヤミの肩に顔を埋めると、抱き留めて受け入れてくれた。ロティルは少し躊躇いながらもカヤミの背中から腰あたりにかけて両腕を回し、弱々しく手を添える。
森の中でカヤミを助け、抱き寄せた時の力強さは今はどこにもない。
「この場所には、ずっといたいって⋯⋯そう思ってるから。
消えたりしない。だから俺の事で泣かないでいいよ」
「⋯⋯っ⋯⋯」
ロティルの不安を取り除いてあげたくて、心が鎮まるように、目を閉じて静かな声で伝える。
「⋯⋯俺が ちゃんと ここにいるって伝わった?」
「うん⋯⋯」
「ん、良かった」
「⋯⋯⋯⋯カヤミ⋯⋯っ」
名前を口にすると、ロティルは目一杯開いた大きな掌で、カヤミの肩と細い腰を掴み、限界まで自分へ抱き寄せ密着させた。無意識に寄せた口唇が白く細い首に触れ、熱い吐息があたる。
先程よりも抱きしめられる力を強くされたカヤミからは、小さな声が漏れた。
その後もロティルの頭を手櫛で髪を梳かすように撫でる仕草を、あやすようにゆっくりと続け、2人の時間が流れていく⋯⋯
「そろそろ泣きやんだか」
「ん⋯⋯ ごめん、困らせて」
視覚ではなく抱擁でお互いを認識した状態のまま、会話を続ける。声の振動も伝わってくる。
「帰ってきてから1度も笑ってなかった。ホントわかりやすいよな⋯⋯こっちも見ないし」
「全然そんなつもりは」
「俺と違って、ロティルは作り笑い出来ないから」
「そ、そうだけど さ」
「でも、 そういうところがいいと思うよ。 俺は」
「⋯⋯っ カヤミ ありがとう⋯⋯」
肯定されたような、そんな風に言われて口元が緩む。ロティルは久しぶりに笑うことが出来た。
カヤミに触れてもらえることが嬉しい
あんなに落ち込んでいたくせに⋯⋯
今は それで頭が いっぱいだ
ボーっとしてくる⋯⋯
体温 匂い 身体の感触
全部心地いい 全部愛おしい
離れたくない 離したくない ⋯⋯離れるのが怖い
「⋯⋯カヤミ、もうちょっとだけ このままでいたい」
「うん⋯⋯いいよ」
またお願いをして、これはすぐに叶えてもらえた。カヤミが優しく慰めてくれるのに かこつけて甘えている自分をズルいとロティルは思う。
しかし、今はそれでも構わない。そのくらい、この ひと時は譲れない。
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