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㉔嫌じゃないから困ってる
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心拍数は上昇し続けている筈だが、安堵したロティルを強烈な眠気が襲ってきた。昨日から一睡もせずにカヤミの元を目指して走り続けた疲労が一気に押し寄せてくる。
「寝たら⋯⋯もったいない」
無自覚にボソリと呟き、指先に またさっきより少しだけ力がこもる。この甘くて濃密な時間を終わらせたくなくて。発した声と強さが変わったことが、カヤミも伝わる。
「眠い? 動きっ放しだった⋯⋯って、さっき言ってたけど⋯⋯?」
「噂話聞いてから居ても立ってもいられなくて、昨日の夕方から走って移動して⋯⋯寝てない」
「今日の昼まで!? また無茶してんな⋯⋯」
「だって⋯⋯早く会わないと俺がどうにかなりそうだったから」
「⋯⋯ まったくさ。俺のこと 好き過ぎじゃないの?」
「!! ま、まぁな。 そんなの 当たり前じゃん⋯⋯」
呆れるカヤミから言われた核心を突くような問いかけ。嘘でも否定したくなくて、軽く告白したかのような 、そんな誤魔化し方をした。
カヤミの言っている〝 好き 〟は種類が違う。そんなことは重々わかっている。
上手い返しかどうかはともかく、まだ視線が絡まない体勢だから何とか答えられた。もし、向き合っていたら何を言ってしまっていたことか⋯⋯
「俺⋯⋯誰かといるのが苦痛で、正直嫌いだったけど、ロティルといると、一緒も悪くないなって⋯⋯思えるようになった」
「⋯⋯っっ! ⋯⋯⋯⋯うん⋯⋯カヤミにそう思ってもらえて⋯⋯良かった⋯⋯」
カヤミの言葉に、一緒にいる時間が好きだ言ってもらえたようでロティルは心底嬉しかった。そのまま心も全て自分の方を向いてくれたら⋯⋯
⋯⋯本当に 好きなんだよ
「ここで寝てれば?」
「えっ! さ、流石に それはさ⋯⋯」
「どっちにしろ⋯⋯いずれ ここで寝ることになるし」
「⋯⋯!?」
カヤミからの突然の提案。最初は素直に戸惑ったが、その次の発言が謎過ぎで、ロティルは自然と身体を離して顔を見ながら確認する。
「どういう話⋯⋯??」
「まだ聞いてないか。
明日さ、1日だけ入院の患者がいるから、ロティルの部屋を使うんだって。
だから、ロティルは俺とこの部屋使うの。ベッド狭いけど何とかなるでしょ⋯⋯」
「!??」
帰って早々、またすごい試練が待ち受けていた。カヤミが言うには元々はロティルが不在の日に実行される予定だったが、患者の都合で日にちが延び明日になったという。
旅から戻ってカヤミの部屋に直行し、そのあとシャワーに行かされたロティルは、まだ自室に足を踏み入れていない。
「部屋は掃除や片付けが終わって、大方もう準備が済んでると思う。明日はロティルに朝早めに起きてもらってから、シーツ交換してベッドを整える感じかな。確か明日の午前中には入院だから」
「⋯⋯明日」
ジワジワと状況把握してきたロティルが焦り出し、カァッと顔と身体が熱くなる。
「ソファは⋯⋯そうだ、こっちの部屋にはない のか。 え と、 俺は床でいいから」
明日 眠る予定であろうベッドに座り、目の前にはカヤミ。ロティルが冷静から程遠い精神状態なので、腕を掴まれたまま相変わらずの近距離にいる。
あまりにも、うろたえているロティルを見て、カヤミが心配そうな顔で言った。
「そんなに嫌がられると、俺も申し訳なくなってくるんだけど」
「ち、違⋯⋯っ そうじゃ なくて」
全然 嫌じゃないから困ってる⋯⋯!!
翌日の午前中に現れた人物にロティルは こんなにも動揺させられる予定は微塵もなかった。
「カヤミさん!」
水色の髪の少年のような青年が治療院に入って来るなり、他に目もくれずカヤミの元へと急ぐと、その手を両手でギュッと握りしめる。それを見たロティルは開いた口が塞がらない。
「お世話になります!」
「あの、担当するのは俺じゃなくてジゼなので⋯⋯」
「なんだ、カヤミさんが良かったなぁ。たまには部屋に顔出しに来てほしい~」
「!??」
例の患者であろう その青年のカヤミに対する馴れ馴れしさに、ロティルの中に不安で不穏な感情が渦巻き出す。
は⋯⋯? 何だ あいつ!?
「寝たら⋯⋯もったいない」
無自覚にボソリと呟き、指先に またさっきより少しだけ力がこもる。この甘くて濃密な時間を終わらせたくなくて。発した声と強さが変わったことが、カヤミも伝わる。
「眠い? 動きっ放しだった⋯⋯って、さっき言ってたけど⋯⋯?」
「噂話聞いてから居ても立ってもいられなくて、昨日の夕方から走って移動して⋯⋯寝てない」
「今日の昼まで!? また無茶してんな⋯⋯」
「だって⋯⋯早く会わないと俺がどうにかなりそうだったから」
「⋯⋯ まったくさ。俺のこと 好き過ぎじゃないの?」
「!! ま、まぁな。 そんなの 当たり前じゃん⋯⋯」
呆れるカヤミから言われた核心を突くような問いかけ。嘘でも否定したくなくて、軽く告白したかのような 、そんな誤魔化し方をした。
カヤミの言っている〝 好き 〟は種類が違う。そんなことは重々わかっている。
上手い返しかどうかはともかく、まだ視線が絡まない体勢だから何とか答えられた。もし、向き合っていたら何を言ってしまっていたことか⋯⋯
「俺⋯⋯誰かといるのが苦痛で、正直嫌いだったけど、ロティルといると、一緒も悪くないなって⋯⋯思えるようになった」
「⋯⋯っっ! ⋯⋯⋯⋯うん⋯⋯カヤミにそう思ってもらえて⋯⋯良かった⋯⋯」
カヤミの言葉に、一緒にいる時間が好きだ言ってもらえたようでロティルは心底嬉しかった。そのまま心も全て自分の方を向いてくれたら⋯⋯
⋯⋯本当に 好きなんだよ
「ここで寝てれば?」
「えっ! さ、流石に それはさ⋯⋯」
「どっちにしろ⋯⋯いずれ ここで寝ることになるし」
「⋯⋯!?」
カヤミからの突然の提案。最初は素直に戸惑ったが、その次の発言が謎過ぎで、ロティルは自然と身体を離して顔を見ながら確認する。
「どういう話⋯⋯??」
「まだ聞いてないか。
明日さ、1日だけ入院の患者がいるから、ロティルの部屋を使うんだって。
だから、ロティルは俺とこの部屋使うの。ベッド狭いけど何とかなるでしょ⋯⋯」
「!??」
帰って早々、またすごい試練が待ち受けていた。カヤミが言うには元々はロティルが不在の日に実行される予定だったが、患者の都合で日にちが延び明日になったという。
旅から戻ってカヤミの部屋に直行し、そのあとシャワーに行かされたロティルは、まだ自室に足を踏み入れていない。
「部屋は掃除や片付けが終わって、大方もう準備が済んでると思う。明日はロティルに朝早めに起きてもらってから、シーツ交換してベッドを整える感じかな。確か明日の午前中には入院だから」
「⋯⋯明日」
ジワジワと状況把握してきたロティルが焦り出し、カァッと顔と身体が熱くなる。
「ソファは⋯⋯そうだ、こっちの部屋にはない のか。 え と、 俺は床でいいから」
明日 眠る予定であろうベッドに座り、目の前にはカヤミ。ロティルが冷静から程遠い精神状態なので、腕を掴まれたまま相変わらずの近距離にいる。
あまりにも、うろたえているロティルを見て、カヤミが心配そうな顔で言った。
「そんなに嫌がられると、俺も申し訳なくなってくるんだけど」
「ち、違⋯⋯っ そうじゃ なくて」
全然 嫌じゃないから困ってる⋯⋯!!
翌日の午前中に現れた人物にロティルは こんなにも動揺させられる予定は微塵もなかった。
「カヤミさん!」
水色の髪の少年のような青年が治療院に入って来るなり、他に目もくれずカヤミの元へと急ぐと、その手を両手でギュッと握りしめる。それを見たロティルは開いた口が塞がらない。
「お世話になります!」
「あの、担当するのは俺じゃなくてジゼなので⋯⋯」
「なんだ、カヤミさんが良かったなぁ。たまには部屋に顔出しに来てほしい~」
「!??」
例の患者であろう その青年のカヤミに対する馴れ馴れしさに、ロティルの中に不安で不穏な感情が渦巻き出す。
は⋯⋯? 何だ あいつ!?
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