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㉕恋敵(?)へ の嫉妬
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「ここはカヤミ一緒にきて以来か」
現在、ロティルは森の探索中である。心身共に疲弊した状態で帰還した昨日、カヤミの前で涙を流し、優しく慰めてもらった。その甘美な時間の余韻に浸りながら、たっぷりと睡眠をとる⋯⋯と、いきたいところだったが。
1日入院する患者の為にベッドを空けて準備しなければならず、普段よりも早く起床した。
まだ疲れは抜け切らないけど
心の方は カヤミのおかげで かなり満たされた
あんだけ泣いたあとだから
今朝は顔を合わすの恥ずかしかったな⋯⋯
『⋯⋯おはよ』
『おはよう。 眠れた?』
『それなり、かな⋯⋯まだ寝足りないけど』
洗面所で顔を洗い終えると、カヤミと鉢合わせになった。既に白衣を羽織っていて仕事の準備が整っている。
『目、腫れなかっただろ?』
『うん。あのあと 持ってきてくれた冷たいタオル、ちゃんと目に乗せておいたから』
『泣いたら冷やす って覚えておきなよ』
『そうそう泣かない予定だけど⋯⋯俺が泣くときは、カヤミが側にいてくれる⋯⋯?』
『甘ったれだな⋯⋯ 隣にいるから』
カヤミが笑いかけながら手を伸ばし、赤い髪を2回撫でる。ロティルは憂いのある笑顔で、ありがとう と口にするとその場を後にした。
隣にいるけど届かない 近くて遠い そんな存在
言ったそばから泣きそうになってちゃ世話ないな
また少しだけ態度が変わったように思う
俺がカヤミのことで泣いたから⋯⋯?
その数時間後に訪れた1日入院する患者とは、遠目に見ただけで関わっていない。突然 現れたと思ったら、カヤミの手を握るという何とも不快な場面を見せつけられてしまった。
ロティルは、自分が それをやめさせに出て行くのは不自然であり、そんな権限も ないとわかっている。悔しいが、ただただ我慢するしかなかった。
ポーラから得た情報によれば、ロティルが旅で1ヶ月ほど不在の間に通院し始めた患者で、名前を レンデュラ という。年齢は19歳。
海辺の町の治療院に来る為、親と共に宿に長期滞在をし、しばらく通ったのち、一旦は帰宅。そして、今日の入院の為に再訪。今回は1日入院、退院の明日には帰る かなり短い日程らしい。
朝食中、ポーラにその話を聞きながらロティルは、つい愚痴りもした。
『何かさぁ、カヤミに馴れ馴れしくないか?』
『やたらと気に入られたみたいでね。わざわざ指名されたり。あの子は対応が優しいから』
診察時のカヤミの対応が優しいのは共感できるが、あの行動は腹が立って仕方がない。幸い1日入院はジゼが担当し、カヤミはいつもの診察へ。
じっとしていても余計な思考を巡らせてしまうので、鬱憤を晴らすつもりで森へ薬草の採取をしに訪れ、今に至る。溜め息をついては独りでボヤいてばかりいた。
「はぁ⋯⋯嫉妬ってすごいな。自分以外に怒りが湧くのも久しぶりだ。人を好きになるのって、こんなに凄まじいものだっけ⋯⋯
恋なんて、カヤミのこと以外もう何も覚えてないや⋯⋯」
解毒薬の蜜を採取していると、カヤミの記憶がまた蘇る。それと同時にレンデュラがちょっかいを出しにいくのでは という不安も湧いて⋯⋯
入院とはいえ、絶対部屋から出るな、とは言われていないはずである。嫉妬が渦巻き、まるで逃げるように ここに来てしまったものの、やはり気が気ではない。
「これ採ったら、すぐ戻ろう」
現在、ロティルは森の探索中である。心身共に疲弊した状態で帰還した昨日、カヤミの前で涙を流し、優しく慰めてもらった。その甘美な時間の余韻に浸りながら、たっぷりと睡眠をとる⋯⋯と、いきたいところだったが。
1日入院する患者の為にベッドを空けて準備しなければならず、普段よりも早く起床した。
まだ疲れは抜け切らないけど
心の方は カヤミのおかげで かなり満たされた
あんだけ泣いたあとだから
今朝は顔を合わすの恥ずかしかったな⋯⋯
『⋯⋯おはよ』
『おはよう。 眠れた?』
『それなり、かな⋯⋯まだ寝足りないけど』
洗面所で顔を洗い終えると、カヤミと鉢合わせになった。既に白衣を羽織っていて仕事の準備が整っている。
『目、腫れなかっただろ?』
『うん。あのあと 持ってきてくれた冷たいタオル、ちゃんと目に乗せておいたから』
『泣いたら冷やす って覚えておきなよ』
『そうそう泣かない予定だけど⋯⋯俺が泣くときは、カヤミが側にいてくれる⋯⋯?』
『甘ったれだな⋯⋯ 隣にいるから』
カヤミが笑いかけながら手を伸ばし、赤い髪を2回撫でる。ロティルは憂いのある笑顔で、ありがとう と口にするとその場を後にした。
隣にいるけど届かない 近くて遠い そんな存在
言ったそばから泣きそうになってちゃ世話ないな
また少しだけ態度が変わったように思う
俺がカヤミのことで泣いたから⋯⋯?
その数時間後に訪れた1日入院する患者とは、遠目に見ただけで関わっていない。突然 現れたと思ったら、カヤミの手を握るという何とも不快な場面を見せつけられてしまった。
ロティルは、自分が それをやめさせに出て行くのは不自然であり、そんな権限も ないとわかっている。悔しいが、ただただ我慢するしかなかった。
ポーラから得た情報によれば、ロティルが旅で1ヶ月ほど不在の間に通院し始めた患者で、名前を レンデュラ という。年齢は19歳。
海辺の町の治療院に来る為、親と共に宿に長期滞在をし、しばらく通ったのち、一旦は帰宅。そして、今日の入院の為に再訪。今回は1日入院、退院の明日には帰る かなり短い日程らしい。
朝食中、ポーラにその話を聞きながらロティルは、つい愚痴りもした。
『何かさぁ、カヤミに馴れ馴れしくないか?』
『やたらと気に入られたみたいでね。わざわざ指名されたり。あの子は対応が優しいから』
診察時のカヤミの対応が優しいのは共感できるが、あの行動は腹が立って仕方がない。幸い1日入院はジゼが担当し、カヤミはいつもの診察へ。
じっとしていても余計な思考を巡らせてしまうので、鬱憤を晴らすつもりで森へ薬草の採取をしに訪れ、今に至る。溜め息をついては独りでボヤいてばかりいた。
「はぁ⋯⋯嫉妬ってすごいな。自分以外に怒りが湧くのも久しぶりだ。人を好きになるのって、こんなに凄まじいものだっけ⋯⋯
恋なんて、カヤミのこと以外もう何も覚えてないや⋯⋯」
解毒薬の蜜を採取していると、カヤミの記憶がまた蘇る。それと同時にレンデュラがちょっかいを出しにいくのでは という不安も湧いて⋯⋯
入院とはいえ、絶対部屋から出るな、とは言われていないはずである。嫉妬が渦巻き、まるで逃げるように ここに来てしまったものの、やはり気が気ではない。
「これ採ったら、すぐ戻ろう」
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