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第一章 無能令息と最強王子
<2>最強の王子アラン・ベリンガム1
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前世の俺はベリンガム帝国の第五王子、アラン・ベリンガム。帝国最強の魔力を持つと言われていた王子で、ベリンガム家特有の黒髪と赤い目をした男だった。最強と言われた俺だったが、大陸全土を巻き込んだ大戦で騎士団長として戦い命を落とした。
そうして今の俺は帝国の隣国であるアイルズベリー王国の公爵家の三男として生まれ変わった。ラムズデール家は王族の血を引く名門で、代々癒しの魔力を持つ一族として大陸でも名を馳せている。
癒しの魔力はさまざまなものを治癒できる力や呪いを解除できる聖なる力だ。けれどこの大陸では癒しの魔力はラムズデール家の他にはギルドフォード帝国のグレイ伯爵家の人間にしか発現しない。そのためラムズデールは国内でも特に優遇されていて、両親はその特権をフル活用して贅沢三昧の生活を送っている。俺――エリスも両親に愛され、何不自由なく育てられた。15歳の時に魔力とバース性の判定が下るまでは。
この大陸ではどの国も15歳まで魔力量とバース性を判定することができない。またアルファもオメガも、そして魔力も王侯貴族にしか現れない。特にオメガは女でも男でも子を成すことができるため、貴族のように子を権力維持や拡大の駒として扱う社会では重宝されてるのが実情だ。
従って王侯貴族の子どもたちは15歳の誕生日を迎えると、すぐに各国の魔法省の神官によってバース性と魔力量の判定を受ける。
15歳の誕生日の翌日、俺へ下された判定は「魔力量はほぼゼロに等しいオメガ」。
それを聞いた父は青ざめ、母は悲鳴を上げた後、失神した。
そうして俺は翌日から突然、家族の寝室の居並ぶ階から使用人の棟へと寝室を移された。服は使用人が着る制服と寝巻着、それに外出をするための粗末な庶民の衣服が1着与えらえただけ。食事は毎食、粗末なスープと硬いパンで、日によってはスープすら与えられなかった。
以前と変わらず接してくれるのは乳兄弟のリアムとその母で俺の乳母だったセオドシア、そして年の離れた妹のプリシラだけ。何の説明もなく生活が一変した俺は、しばらくの間混乱していた。
何かの間違いだ、両親が自分にこんな仕打ちをするはずがない。そう思っていた。だがある日、その思いは打ち砕かれることになる。
夜会に出かける両親にどうしてこんな酷いめにあわなければならないのかと訴えたのだ。
両親は眉を顰め、汚らしいものでも見るかのような冷たい瞳で俺を見下ろした。
「おまえのような無能は者はもう私の息子ではない。目ざわりだ、失せろ」
父の言葉に頭を鈍器で殴られたような衝撃を受ける。縋るように母に視線を移すと、さらに厳しい言葉を浴びせられた。
「そうよ、あなたはもう私たちの子どもではないわ。私から魔力ゼロの子どもが生まれるなんて……きっと誰かが赤ん坊を取り違えたに決まってるわ……無能なおまえを置いてあげているのだから、せめて使用人として私たちの役に立ってちょうだい」
その場に崩れ落ちる俺に見向きもせず、両親は着飾った兄や弟を引きつれて華やかな馬車に乗って出かけて行ったのだった。
そうして今の俺は帝国の隣国であるアイルズベリー王国の公爵家の三男として生まれ変わった。ラムズデール家は王族の血を引く名門で、代々癒しの魔力を持つ一族として大陸でも名を馳せている。
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この大陸ではどの国も15歳まで魔力量とバース性を判定することができない。またアルファもオメガも、そして魔力も王侯貴族にしか現れない。特にオメガは女でも男でも子を成すことができるため、貴族のように子を権力維持や拡大の駒として扱う社会では重宝されてるのが実情だ。
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「そうよ、あなたはもう私たちの子どもではないわ。私から魔力ゼロの子どもが生まれるなんて……きっと誰かが赤ん坊を取り違えたに決まってるわ……無能なおまえを置いてあげているのだから、せめて使用人として私たちの役に立ってちょうだい」
その場に崩れ落ちる俺に見向きもせず、両親は着飾った兄や弟を引きつれて華やかな馬車に乗って出かけて行ったのだった。
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