魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子

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第三章 ベリンガム帝国の異変

<7>好機と決意

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夢中になって帝国の異変について調べているうちに、気付いたらもう1ヶ月近くたっている。その頃にはもう、俺の中ではある決意が生まれていた。

そういえばレヴィはいつ頃帰ってくるのだろうかと思い始めた頃、シェーンが嬉しそうに部屋に飛び込んできた。

「エリス様! レヴィ様は明日お戻りになられるそうです」
「明日? ずいぶん急だな」

「レヴィ様はいつもそうなんです。思い立ったらすぐ行動なさるので、突然どこかへ行ってしまわれたり、帰ってたりなさるんです」
「そりゃおまえたちも大変だな」

「いえ、生まれた時からお供させていただいているので、もう慣れました!」
シェーンは屈託なく笑う。この1ヶ月でシェーンだけではなく使用人たちとも随分と打ち解けられた気がする。レヴィについて戦場へ赴いていたマークとも顔を合わせていないが、せっかくだから彼らとも少しは仲良くなりたい気もする。

(でも、レヴィの気持ちを考えるとあんまり良くないのかもな)
仲良くなりすぎたら、ボロが出てしまう可能性もある。それを考えると、必要最低限の関りしか持たないというレヴィの提案は正しいのだろう。

(それに、帰ってきたら父上に会わせてもらなわきゃいけない)
さまざまな資料や本を読んで調べ、前世の記憶を隅々まで掘り起こした今、俺にはこの国を救うある策が浮かんでいた。

「レヴィ様は、今度はどれぐらいここにいるんだ? またすぐ出かけるのか?」
シェーンは首を横に振る。

「いえ。今回は少なくとも1ヶ月はお屋敷にいらっしゃるはずです。それに国王陛下へのエリス様のお披露目もありますから」
「国王陛下へのお披露目!?」

思いもよらない好機に前のめりになってしまう。シェーンは少し驚いた様子だったが、先を続けてくれた。

「ええ。披露宴や式は挙げませんでしたが、貴族は結婚した際に国王陛下へその報告とお相手の紹介という儀式を行わなければならないのです。レヴィ様のお仕事は陛下からのご命令でしたから、制圧が済んだら速やかに王宮へ参じるようにと言われているのです」
「全然、知らなかった」

これでレヴィに話を通す手間が省けた。心の中でガッツポーズを決める。
「明日の昼頃には戻られて、夜にレヴィ様がエリス様のお部屋へいらっしゃるそうです」

「わかった」
「神出鬼没で気まぐれな方ですから、早めに準備しておきましょうね」

その夜はあれこれと考えてしまって、なかなか眠りにつくことができなかった。薄闇の中、これからの行動や作戦について、何度も何度も考えてしまう。

この作戦は事前に誰かに共有するわけにはいかない。父上に会うまでは、俺ひとりでやり遂げなければならない。

大きく深呼吸をして、星を描いた天蓋の内側を睨みつけるように見つめた。
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