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第三章 ベリンガム帝国の異変
<15>狼神との対面2
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魔力を使えばあっという間に飛べる距離も、自力では骨が折れる。だが狼神と対面するまでは魔力を使ってはいけないという。
1時間ほど歩いたところで、狼たちはやっと歩みを止めた。ラムズデール家で朝から晩まで肉体労働を課せられていたおかげで、細身ながらも以前に負けない体力を保てていて本当に良かった。
2匹が立ち止まったのは、大きな洞窟の前だ。一見、大きくはあるが普通の洞窟に見える。だが強い結界が張り巡らされていることがわかる。
青い目の狼が振り返った。
「これから狼神がいらっしゃる」
俺は黙って頷くと、洞窟の入口を見つめた。やがて強い風が吹き、2匹が遠吠えを始める。空に浮かぶ月にかかっていた雲が勢いよく流れていく。あまりの強風に思わず目を閉じる。
やがて風がおさまり目を開けると、月の光がまるでスポットライトのように照らす中、いつの間にか巨大な赤い目の狼が俺の前に座っていた。
(これが、狼神……)
ただそこにいるだけで、恐ろしいほどのプレッシャーを感じる。まるで上から両肩を強く押されるほどの圧に、俺は膝をついた。
狼神は何も言わず俺をじっと見下ろしている。しばらくすると低くしゃがれた声が頭の中に響いてきた。
「やっと来たな……ベリンガムの子よ。今回はずいぶんと時間がかかった」
片膝を立てて深く頭を下げる。
「申し訳ございません狼神。実は一度、命を落としてしまいまして。最近になって記憶を取り戻したばかりなのです」
「そうか……だから変わった髪と目の色をしているのだな。ベリンガムの子には生まれない色だ」
「はい。今世はアイルズベリーの公爵家に生まれました」
狼神はゆっくりと首を縦に振った。
「問題ない。おまえの魂はベリンガムの子のものだからな。魂の色は何度も生まれ変わろうとも、変わらない。だが、今回のようなことは初めてだ。長く生きていると、色々なことがあるものだ……さて、無駄話はこれぐらいにして、魔力を分け与えてもらおうか」
「はい」
狼神が俺に向かって片足をかざすと、体の内側から強く力で引っ張られるのを感じる。何とも言えない気持ち悪さに顔を顰めていると、狼神が笑った気配がした。
「大丈夫だ、もうすぐ終わる」
その言葉とともに、力がおさまる。同時に俺の胸からルビー色の光る玉がいくつも出てくる。それらは空中はふわふわと浮遊しながら狼神の体の中に消えていく。
かぞえきれない程の玉が俺の身体から放出して狼神の中に取り込まれていった。ようやく玉がなくなった頃には、体がガクガクしてフェンリルで支えてやっと立っていられる状態だった。
「おまえの魔力は今までのどの子よりも心地良い……素晴らしい魔力だ。そうだ、私からもおまえに力を授けよう」
今度は狼神の口から大きな黒く光る玉が吐き出される。それは俺の胸の中に飛び込むようにして消えた。
「……ぐっ」
体の中にアランのものでもエリスのものでもない魔力が巡る。2つの魔力はなじむのが早かったが、狼神の魔力は少し強すぎる。未消化の食べ物が胃に滞留しているかのような気持ち悪さが消えるまで、額に脂汗をかきながらじっとうずくまっていた。
1時間ほど歩いたところで、狼たちはやっと歩みを止めた。ラムズデール家で朝から晩まで肉体労働を課せられていたおかげで、細身ながらも以前に負けない体力を保てていて本当に良かった。
2匹が立ち止まったのは、大きな洞窟の前だ。一見、大きくはあるが普通の洞窟に見える。だが強い結界が張り巡らされていることがわかる。
青い目の狼が振り返った。
「これから狼神がいらっしゃる」
俺は黙って頷くと、洞窟の入口を見つめた。やがて強い風が吹き、2匹が遠吠えを始める。空に浮かぶ月にかかっていた雲が勢いよく流れていく。あまりの強風に思わず目を閉じる。
やがて風がおさまり目を開けると、月の光がまるでスポットライトのように照らす中、いつの間にか巨大な赤い目の狼が俺の前に座っていた。
(これが、狼神……)
ただそこにいるだけで、恐ろしいほどのプレッシャーを感じる。まるで上から両肩を強く押されるほどの圧に、俺は膝をついた。
狼神は何も言わず俺をじっと見下ろしている。しばらくすると低くしゃがれた声が頭の中に響いてきた。
「やっと来たな……ベリンガムの子よ。今回はずいぶんと時間がかかった」
片膝を立てて深く頭を下げる。
「申し訳ございません狼神。実は一度、命を落としてしまいまして。最近になって記憶を取り戻したばかりなのです」
「そうか……だから変わった髪と目の色をしているのだな。ベリンガムの子には生まれない色だ」
「はい。今世はアイルズベリーの公爵家に生まれました」
狼神はゆっくりと首を縦に振った。
「問題ない。おまえの魂はベリンガムの子のものだからな。魂の色は何度も生まれ変わろうとも、変わらない。だが、今回のようなことは初めてだ。長く生きていると、色々なことがあるものだ……さて、無駄話はこれぐらいにして、魔力を分け与えてもらおうか」
「はい」
狼神が俺に向かって片足をかざすと、体の内側から強く力で引っ張られるのを感じる。何とも言えない気持ち悪さに顔を顰めていると、狼神が笑った気配がした。
「大丈夫だ、もうすぐ終わる」
その言葉とともに、力がおさまる。同時に俺の胸からルビー色の光る玉がいくつも出てくる。それらは空中はふわふわと浮遊しながら狼神の体の中に消えていく。
かぞえきれない程の玉が俺の身体から放出して狼神の中に取り込まれていった。ようやく玉がなくなった頃には、体がガクガクしてフェンリルで支えてやっと立っていられる状態だった。
「おまえの魔力は今までのどの子よりも心地良い……素晴らしい魔力だ。そうだ、私からもおまえに力を授けよう」
今度は狼神の口から大きな黒く光る玉が吐き出される。それは俺の胸の中に飛び込むようにして消えた。
「……ぐっ」
体の中にアランのものでもエリスのものでもない魔力が巡る。2つの魔力はなじむのが早かったが、狼神の魔力は少し強すぎる。未消化の食べ物が胃に滞留しているかのような気持ち悪さが消えるまで、額に脂汗をかきながらじっとうずくまっていた。
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