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第五章 ヴァンダービルトの呪い
<6>レヴィの猛攻2
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「ん……っ、んぅ」
静かな部屋の中、俺の喘ぎ声と控えめな水音が響く。
魔力供給を初めてからどれくらいだったのだろう。
唇を合わせた後、舌が入り込んでくるところまではいつもと同じだった。
だが今日は激しく口内を掻きまわされることはない。レヴィの舌はゆっくりとした動きで頬の内側や上下の歯列、上顎や舌の付け根まで丁寧に繰り返し触れていく。
そのせいだろうか。少しずつ、身体の芯に熱が灯っていくような感覚を味わう。
次第に頭の中もぼうっとしてきて、何も考えられなくなっていく。
気がつくと下半身に甘い痺れのようなものを感じて、無意識に両脚を擦り合わせていた。
いつもは受けとめるだけで精一杯の行為なのに。今日はそれだけじゃない。
(やばい……俺、気持ちよくなってる……のか?)
そう思ったときにはもう遅かった。胸の中に折り畳まれていた両腕を伸ばして、レヴィの頭を抱き寄せてしまう。
驚いたのだろう。舌の動きが一瞬止まる。その隙に自ら舌を絡ませた。
こんな大胆な事をしている自分が信じられない。だが身体は止まらない。
レヴィはそれに呼応するように動いていたが、しばらくすると少しだけ強く舌に吸ついた。
今までよりも強い刺激を与えられた瞬間、身体中に快感が走り抜ける。
「あ、ン……それ、きもち、い……もっと……」
思わず口からこぼれ出た言葉にハッとして、目を開くと、アクアマリンの双眸が至近距離でこっちを凝視していた。
これは魔力の供給で、言わば俺の大事な仕事だ。
その際中に気持ちよくなってしまったなんて。しかも、淫らな言葉まで発して。
これではレヴィに軽蔑されてしまうかもしれない。
元師匠としてそれだけは避けたい。なんとか弁明をしようと顔を離したが、俺が口を開くよりも早くレヴィが真剣な目で迫ってくる。
「エリス様……いま、気持ちいいって……おっしゃいましたよね……」
「あ、う……うそ、そんな、こと」
「おっしゃいましたよね?」
綺麗な顔の真顔は怖い。そして圧がすごい。
「い、言った……っ、ごめん俺、どうかして――」
「嬉しいです」
「は?」
レヴィが好きでいれくれているのは、強い俺なはずだ。こんな淫らで頭の悪いところなんて見たら幻滅される。そう思っていたのに。
「う、嬉しい……?」
「はい。とても。エリス様が僕で気持ちよくなってくださるなんて夢のようです」
うっとりとした表情に嘘はないと思う。
「で、でも。これは魔力を共有するための大事な仕事だろ。そんな時にき、気持ち良いなんて……ダメなことじゃないのか」
「いいえ。そんなことありません。確かにこの行為は大事な仕事ですが、つらいより楽しいほうがいいに決まってます。それはどんな仕事でも同じでしょう」
「確かに……いやいや取り組むよりも楽しくやれるに越したことはないけど」
「ええ。だからエリス様が気持ち良いと感じられたことは、悪いことではありません。むしろ、素晴らしいことなんです」
レヴィは俺の頬を優しく撫でる。また少し顔が近づいてきた。
「ですから、もう少し続きをしましょう……ね?」
「え」
「……いいでしょう、エリス様。もう少しだけ、僕で気持ちよくなってください……」
見たこともない妖艶な表情で見つめられて、俺は無言で首を縦に振る。
こんなレヴィ、俺は知らない。
負けず嫌いなのに泣き虫で、少し我儘だけど賢くて素直な俺の愛弟子。
いま目の前で艶然と微笑んでいるのは俺の知らないレヴィだ。
「エリス様。もう一度目を閉じて……舌を出してください」
言われた通りにすると、レヴィが小さく笑った。
「ふふ。エリス様、いい子ですね。可愛い……」
そうしてすぐに突き出した舌はレヴィの口内に迎え入れられた。
その瞬間、この快感を自分が待ち望んでいたのだと思い知る。
「あ、ン……んっ、ん」
「気持ち良いですか?」
行為の合間にレヴィが甘く掠れた声で訊ねてきた。コクコクと首を振って同意すると、レヴィが嬉しそうな声を出す。
「いいんですよ、気持ちいいって言って。さあ、言葉にしてください……お願いします、僕に教えてください。エリス様が今、何をどう感じているのか」
どうしてだろう。恥ずかしくてそんな事したくないのに。レヴィの声にはまるで魔法がかかっているかのように逆らうことができない。
「ふ……っ、んっ……き、もちい……」
「ああ、可愛い。もっと教えてください。どこがどう気持ち良いのです?」
うっとりとした声に誘われるままに、普段の自分なら口にしないような言葉が零れ落ちる。
「舌、吸われるの……あ、ンっ……気持ちいい……」
「もっとして差し上げますね……っ」
ちゅくちゅくとこれまでとは比較にならないほど大きな水音を立てて、舌が吸われる。
涙が出そうなほど強く吸われたかと思うと、もどかしいほど優しくなったりと巧みに強弱がつけられる。
これはあくまでも魔力を供給するための行為。決してやましい気持ちがあるわけではない。それはわかっている。わかっているけれど、快感で埋め尽くされた頭ではそれ以上に何も考えることができない。
ヴァンダービルトの呪いについて話そうと思っていたはずが、気がついたらレヴィにしがみつき、導かれるままに気持ちいいと繰り返して行為に夢中になることしかできなかった。
静かな部屋の中、俺の喘ぎ声と控えめな水音が響く。
魔力供給を初めてからどれくらいだったのだろう。
唇を合わせた後、舌が入り込んでくるところまではいつもと同じだった。
だが今日は激しく口内を掻きまわされることはない。レヴィの舌はゆっくりとした動きで頬の内側や上下の歯列、上顎や舌の付け根まで丁寧に繰り返し触れていく。
そのせいだろうか。少しずつ、身体の芯に熱が灯っていくような感覚を味わう。
次第に頭の中もぼうっとしてきて、何も考えられなくなっていく。
気がつくと下半身に甘い痺れのようなものを感じて、無意識に両脚を擦り合わせていた。
いつもは受けとめるだけで精一杯の行為なのに。今日はそれだけじゃない。
(やばい……俺、気持ちよくなってる……のか?)
そう思ったときにはもう遅かった。胸の中に折り畳まれていた両腕を伸ばして、レヴィの頭を抱き寄せてしまう。
驚いたのだろう。舌の動きが一瞬止まる。その隙に自ら舌を絡ませた。
こんな大胆な事をしている自分が信じられない。だが身体は止まらない。
レヴィはそれに呼応するように動いていたが、しばらくすると少しだけ強く舌に吸ついた。
今までよりも強い刺激を与えられた瞬間、身体中に快感が走り抜ける。
「あ、ン……それ、きもち、い……もっと……」
思わず口からこぼれ出た言葉にハッとして、目を開くと、アクアマリンの双眸が至近距離でこっちを凝視していた。
これは魔力の供給で、言わば俺の大事な仕事だ。
その際中に気持ちよくなってしまったなんて。しかも、淫らな言葉まで発して。
これではレヴィに軽蔑されてしまうかもしれない。
元師匠としてそれだけは避けたい。なんとか弁明をしようと顔を離したが、俺が口を開くよりも早くレヴィが真剣な目で迫ってくる。
「エリス様……いま、気持ちいいって……おっしゃいましたよね……」
「あ、う……うそ、そんな、こと」
「おっしゃいましたよね?」
綺麗な顔の真顔は怖い。そして圧がすごい。
「い、言った……っ、ごめん俺、どうかして――」
「嬉しいです」
「は?」
レヴィが好きでいれくれているのは、強い俺なはずだ。こんな淫らで頭の悪いところなんて見たら幻滅される。そう思っていたのに。
「う、嬉しい……?」
「はい。とても。エリス様が僕で気持ちよくなってくださるなんて夢のようです」
うっとりとした表情に嘘はないと思う。
「で、でも。これは魔力を共有するための大事な仕事だろ。そんな時にき、気持ち良いなんて……ダメなことじゃないのか」
「いいえ。そんなことありません。確かにこの行為は大事な仕事ですが、つらいより楽しいほうがいいに決まってます。それはどんな仕事でも同じでしょう」
「確かに……いやいや取り組むよりも楽しくやれるに越したことはないけど」
「ええ。だからエリス様が気持ち良いと感じられたことは、悪いことではありません。むしろ、素晴らしいことなんです」
レヴィは俺の頬を優しく撫でる。また少し顔が近づいてきた。
「ですから、もう少し続きをしましょう……ね?」
「え」
「……いいでしょう、エリス様。もう少しだけ、僕で気持ちよくなってください……」
見たこともない妖艶な表情で見つめられて、俺は無言で首を縦に振る。
こんなレヴィ、俺は知らない。
負けず嫌いなのに泣き虫で、少し我儘だけど賢くて素直な俺の愛弟子。
いま目の前で艶然と微笑んでいるのは俺の知らないレヴィだ。
「エリス様。もう一度目を閉じて……舌を出してください」
言われた通りにすると、レヴィが小さく笑った。
「ふふ。エリス様、いい子ですね。可愛い……」
そうしてすぐに突き出した舌はレヴィの口内に迎え入れられた。
その瞬間、この快感を自分が待ち望んでいたのだと思い知る。
「あ、ン……んっ、ん」
「気持ち良いですか?」
行為の合間にレヴィが甘く掠れた声で訊ねてきた。コクコクと首を振って同意すると、レヴィが嬉しそうな声を出す。
「いいんですよ、気持ちいいって言って。さあ、言葉にしてください……お願いします、僕に教えてください。エリス様が今、何をどう感じているのか」
どうしてだろう。恥ずかしくてそんな事したくないのに。レヴィの声にはまるで魔法がかかっているかのように逆らうことができない。
「ふ……っ、んっ……き、もちい……」
「ああ、可愛い。もっと教えてください。どこがどう気持ち良いのです?」
うっとりとした声に誘われるままに、普段の自分なら口にしないような言葉が零れ落ちる。
「舌、吸われるの……あ、ンっ……気持ちいい……」
「もっとして差し上げますね……っ」
ちゅくちゅくとこれまでとは比較にならないほど大きな水音を立てて、舌が吸われる。
涙が出そうなほど強く吸われたかと思うと、もどかしいほど優しくなったりと巧みに強弱がつけられる。
これはあくまでも魔力を供給するための行為。決してやましい気持ちがあるわけではない。それはわかっている。わかっているけれど、快感で埋め尽くされた頭ではそれ以上に何も考えることができない。
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