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第七章 真実の愛
<15>レヴィの悪だくみ①
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「で、でもあの子は魔力のない出来損ないですよ。もしかして公爵は騙されているんじゃないかしら」
「失礼ですエリスは強い魔力を持っていますよ。おそらくあなた方よりも。それに意味のない無駄遣いもしないし他人を蔑んだり馬鹿にしたりしません」
「あいつに魔力が? そんなわけないでしょう。何かの間違いですよ」
エリスの兄の言葉に公爵夫妻は激しく同意する。
「あの子は魔力量の診断で、ほとんどゼロに近いと判定されたのです
「妻の言うとおり。エリスに魔力があるなんてはずがありませんよ」
本当にどうしようもない人たちだ。
「僕はこの目で何度もみています。彼が魔力を使うところを。察するに魔力量が大きすぎて診断できる神官がいなかったのでしょう」
「そんなはずはないわっ!!」
噛み付くように叫ぶ夫人にエヴァンズ公爵が厳し言い放つ。
「義姉さんもうやめてください。彼は私の商談相手としてこの場にいらしてくださっているんですよ。それにここへ来た要件はなんです? 早く済ませてお帰りいただきたいのですが」
「そ、そうね。ヴァンダービルト公爵、ちょっと失礼致しますわ」
夫人は息子を引っ張るとラムズデール公爵とともにエヴァンズ公爵の方へ近寄っていく。
「エドガー、実は今月末にプリシラの誕生パーティを開かなくてはならくてね。わかるだろう? 我がラムズデール家は家の格に見合ったパーティを開かなければならないのだよ」
エヴァンズ公爵はなにも答えない。ただ黙って自分の兄を見つめていた。
「つまり、なんだ……その、少しばかり費用を負担してはくれないだろうか。頼むよ、兄弟というのは互いに支えが必要なときは助け合う者だろう?」
猫なで声でエヴァンズ公爵を取り囲むラムズデール一家に吐き気がする。
エヴァンズ公爵は厳しい表情で静かに言葉を吐く。
「兄上、申し訳ございません。ご協力はできかねます」
弟の言葉にラムズデール公爵は目を剥いた。
「なんだと!? ふざけるな!!」
「失礼を申し上げたことはお詫び致します。ですが兄上、今のままでは生活が破綻してしまいます。今一度、出費を見直してみてはいかがです」
「少し事業がうまくいっているぐらいで調子に乗りおって! 兄に尽くさない弟など聞いたことがない!」
「お言葉ですが……私が今までどれほど兄上のためにご用立てしてきたか。いい加減に――」
「ラムズデール公爵、エヴァンズ公爵」
僕が呼びかけると二人はハッと我に返り、気まずそうにこっちに視線を向ける。
「申し訳ございません。ヴァンダービルト公爵。お見苦しいところを」
エヴァンズ公爵がすぐに頭を下げた。
「いえいえ、どうかお気になさらず。家族や親族は時にはぶつかることもありますから」
ラムズデール公爵は目を細めてうんうんと頷く。
「その通り。さすがヴァンダービルト公爵ですな。それによくよく考えればエリスを妻にしておられる時点で公爵は婿殿。我が家族です」
僕はできるだけ嬉しそうに見えるように笑った。
「はい、僕もそのつもりです。ですからその費用、僕に負担させていただけないでしょうか」
「ヴァンダービルト公爵!?」
今度はエヴァンズ公爵が目を剥いている。僕は大丈夫だと目で合図して、ラムズデール公爵に向き直った。
「エリスの家族は僕の家族です。半分と言わず、全額負担させてください」
先ほどまで怒鳴り散らしていたラムズデール公爵は、あっという間に上機嫌になっている。
「なんと……よろしいのですか。それではぜひお願い致します」
「ええ。金額はいくらでも構いません。かわりに僕から一つお願いをしても?」
「もちろんです。私にできることなら、ですが」
条件を出されたことに警戒したのか、ラムズデール公爵の目が蛇のように光った。
僕はそれに気づかない振りをして笑みを深める。
「簡単なことです。僕ら夫婦もそのパーティーに招待していただきたいのです」
「そうでしたか! それならお安い御用ですぞ。なにせ我々は家族ですからな。今度も助け合っていくことも多々あるでしょうし、ぜひとも交流を深めましょう」
ラムズデール公爵が顔を天井に向けて大笑いをする。やがて夫人と息子も追従するようにゲラゲラと笑いだした。
馬鹿みたいに笑い続ける兄一家を前にエヴァンズ公爵が不安そうな目で僕を見る。
後でエヴァンズ公爵には企みを打ち明けようと思いながら、僕はラムズデール一家と笑顔で目を合わせた。
(笑っていられるのも今のうちさ。楽しいパーティーにしてやるよ)
胸糞悪い奴らにちょっとした復讐をするくらい罰は当たらないだろう。
これから楽しくなりそうだ。
「失礼ですエリスは強い魔力を持っていますよ。おそらくあなた方よりも。それに意味のない無駄遣いもしないし他人を蔑んだり馬鹿にしたりしません」
「あいつに魔力が? そんなわけないでしょう。何かの間違いですよ」
エリスの兄の言葉に公爵夫妻は激しく同意する。
「あの子は魔力量の診断で、ほとんどゼロに近いと判定されたのです
「妻の言うとおり。エリスに魔力があるなんてはずがありませんよ」
本当にどうしようもない人たちだ。
「僕はこの目で何度もみています。彼が魔力を使うところを。察するに魔力量が大きすぎて診断できる神官がいなかったのでしょう」
「そんなはずはないわっ!!」
噛み付くように叫ぶ夫人にエヴァンズ公爵が厳し言い放つ。
「義姉さんもうやめてください。彼は私の商談相手としてこの場にいらしてくださっているんですよ。それにここへ来た要件はなんです? 早く済ませてお帰りいただきたいのですが」
「そ、そうね。ヴァンダービルト公爵、ちょっと失礼致しますわ」
夫人は息子を引っ張るとラムズデール公爵とともにエヴァンズ公爵の方へ近寄っていく。
「エドガー、実は今月末にプリシラの誕生パーティを開かなくてはならくてね。わかるだろう? 我がラムズデール家は家の格に見合ったパーティを開かなければならないのだよ」
エヴァンズ公爵はなにも答えない。ただ黙って自分の兄を見つめていた。
「つまり、なんだ……その、少しばかり費用を負担してはくれないだろうか。頼むよ、兄弟というのは互いに支えが必要なときは助け合う者だろう?」
猫なで声でエヴァンズ公爵を取り囲むラムズデール一家に吐き気がする。
エヴァンズ公爵は厳しい表情で静かに言葉を吐く。
「兄上、申し訳ございません。ご協力はできかねます」
弟の言葉にラムズデール公爵は目を剥いた。
「なんだと!? ふざけるな!!」
「失礼を申し上げたことはお詫び致します。ですが兄上、今のままでは生活が破綻してしまいます。今一度、出費を見直してみてはいかがです」
「少し事業がうまくいっているぐらいで調子に乗りおって! 兄に尽くさない弟など聞いたことがない!」
「お言葉ですが……私が今までどれほど兄上のためにご用立てしてきたか。いい加減に――」
「ラムズデール公爵、エヴァンズ公爵」
僕が呼びかけると二人はハッと我に返り、気まずそうにこっちに視線を向ける。
「申し訳ございません。ヴァンダービルト公爵。お見苦しいところを」
エヴァンズ公爵がすぐに頭を下げた。
「いえいえ、どうかお気になさらず。家族や親族は時にはぶつかることもありますから」
ラムズデール公爵は目を細めてうんうんと頷く。
「その通り。さすがヴァンダービルト公爵ですな。それによくよく考えればエリスを妻にしておられる時点で公爵は婿殿。我が家族です」
僕はできるだけ嬉しそうに見えるように笑った。
「はい、僕もそのつもりです。ですからその費用、僕に負担させていただけないでしょうか」
「ヴァンダービルト公爵!?」
今度はエヴァンズ公爵が目を剥いている。僕は大丈夫だと目で合図して、ラムズデール公爵に向き直った。
「エリスの家族は僕の家族です。半分と言わず、全額負担させてください」
先ほどまで怒鳴り散らしていたラムズデール公爵は、あっという間に上機嫌になっている。
「なんと……よろしいのですか。それではぜひお願い致します」
「ええ。金額はいくらでも構いません。かわりに僕から一つお願いをしても?」
「もちろんです。私にできることなら、ですが」
条件を出されたことに警戒したのか、ラムズデール公爵の目が蛇のように光った。
僕はそれに気づかない振りをして笑みを深める。
「簡単なことです。僕ら夫婦もそのパーティーに招待していただきたいのです」
「そうでしたか! それならお安い御用ですぞ。なにせ我々は家族ですからな。今度も助け合っていくことも多々あるでしょうし、ぜひとも交流を深めましょう」
ラムズデール公爵が顔を天井に向けて大笑いをする。やがて夫人と息子も追従するようにゲラゲラと笑いだした。
馬鹿みたいに笑い続ける兄一家を前にエヴァンズ公爵が不安そうな目で僕を見る。
後でエヴァンズ公爵には企みを打ち明けようと思いながら、僕はラムズデール一家と笑顔で目を合わせた。
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これから楽しくなりそうだ。
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