裏切りダメ、絶対。

胸の轟

文字の大きさ
1 / 2

前編

しおりを挟む



それを見たのは偶然か必然か――




私には維知衣と果江という、2人の幼なじみが居る。

私達は小さい頃から、どこへ行くにも、何をするにも3人一緒。


親に内緒の森の探検、真っ直ぐに伸びる道の果てへの冒険。

虹の向こうを目指す旅に、秘密基地。

近所のテリトリーを巡る、悪ガキ共との小競り合い。


ヤンチャな私達は日々冒険や悪戯に明け暮れ、怒られたり呆れられたりだったけど、あの日々はキラキラしていた。


中学生になっても相変わらず3人一緒に過ごし、当たり前のように、高校も3人一緒の学校へ。





私達の関係が、少しずつ変化していったのは何時からだったか。


2人を誘っても断られることが増え、2人から誘われることも徐々になくなった。

きっと勉強が忙しいから――多分委員会で忙しいから。


自分を納得させる言い訳を考えてはみたけど、ある日見てしまった。

誘いを断られた日に、2人が一緒に居るのを。


知らず身体が震え、呼吸が荒くなる。


2人のもとへ駆け出したい衝動に駆られた。


まだよ、まだ解らないじゃない。――きっとこの後、新しく知り合った相手と交流を深めに行くのよ。そして絆が深まったら、私に紹介してくれるのよ。

知らない間に新しい仲間を増やし、私を驚かせる作戦ね。


自分を納得させる言い訳をし、心を落ち着かせた。






放課後、ただただボンヤリと窓の外を眺める。


どのくらいそうして居ただろう。暗い教室に独りきりだ。

いつの間にか、部活動をしていた生徒の声も聞こえなくなっていた。


教室を出ると人の気配のない暗い廊下が、薄気味の悪さを醸し出している。


最近観た映画を思い出す。

夜の学校を徘徊するゾンビの群れ―

今この瞬間、向こうの角からゾンビ達が―


自分の思い付きにちょっと震えた。



普段なら、誰かが下校を促す声を掛けるのに、今日に限って無いなんてどういうこと?まさか門を閉められてないよね…?


嫌な感じにドキドキしながら、急ぎ足で暗い廊下を進み階段を下りれば、明かりと声が漏れている教室が。


開いてるドアの前に立てば、机や椅子を移動させ、広く空いたスペースで抱き合いながら、維知衣と果江が口付けを交わしていた。

それは軽く触れるものじゃなく、お互いを貪り合うような激しいもので、いやらしい音が静かな教室に響いている。


とっくに私に気付いてるくせに、2人は口付けを止めるでもなく貪り合い、そのうち維知衣の手が、果江のスカートの中へ滑り込み・・・


明らかにこんな場所でするべき行為じゃない。


慣れた維知衣の手つきが、これが初めての行為じゃないことを物語っている。


私に隠れてコソコソと、こんなことを繰り返していたのかもしれない。


何か言うべきか言葉を探してると、さして時間も経たないうちに、意識のない女子を荷物のように担いだ数名の男子が現れた。

彼らが女子を床に寝かせると、維知衣が手を、果江のスカートから出す。


ズルリ―


その手にあるのは、大きめのナマコほどの長い物体。

物体は、分泌液にまみれた薄い膜で覆われいる。


男子の1人が女子のスカートを捲った後下着を剥ぎ取り、露になった場所を維知衣が暫しまさぐった後、手に持っていた物を、体内に全て入るように挿入した。



ゾッとした。

おぞましさに身体が震え、今すぐそんなこと止めてと叫びそうになる。


女子は未だ目覚めていない。このまま目覚めずに事が終わった方が、幸せかもしれない。――なのに、目覚めてしまう。


「…え…?」

自分の身に何が起こってるのか、理解出来なかったのだろう。

私が彼女の立場だったとしても、何が起こってるのか理解出来ず間抜け顔になるってものだ。だってそうでしょ。目覚めたら男子に囲まれてるとか意味が解らない。

しかも下半身は露出している。


「…あ、…え?幹雄君?」

どうやら男子のうち1人は知り合いだったらしい。この状態で、それが救いになるかどうかは疑問だけど。

女子の状態なんか気にも止めず、維知衣は自分のモノを露出させ、それを合図に男子達が女子の腕や足を押さえ――維知衣は一気に貫いた。


「あぐっ!!ぁあっ、やっ、やだあーッ、幹雄君助けッ――」



勿論幹雄君とやらは助けない。女子を押さえてるから。


先に挿入された物を、しっかり奥に到達させるような動きを見せた後、躊躇のない動きで、維知衣が中に仕上げを施したのが解った。

「ぁ、ぁぁ…、嘘…」



その後は、女子を押さえていた男子達が代わる代わる――





「育児袋の卵達に、定期的に栄養を与えておくように。」

「はい。」


一度目の“栄養”を与えられた、放心状態の女子育児袋は、男子達により教室から運び出されて行った。


その後、すぐやって来た別の生徒達に、私は腕を掴まれ、乱暴な扱いで果江の前に突き飛ばされ転んだ。


「痛ッ」
「ほんとアンタってドンくさいわね。維知衣もそう思うでしょ?」

「ああ。」

「維知衣は…、果江が良いの?」


維知衣は侮蔑まじりの瞳で私を見た。


「当然だ。…出来損ないの能無しのお前ではなく、俺は果江が良い。果江はスペアだと言うが、お前は何だ?スペアにすら何もかも劣るお前に、一体何が出来る?何も出来やしない。何も出来ない存在など価値がない。」


私達は何時も一緒だったけど、2人より全てが劣る私は、ハッキリ言って足手まといだった。

2人はそんな私と行動を共にしていたけど、言葉の端々やちょっとした時に、見下されているようなところが見え隠れしてたように思う。

私は2人の態度を、気付かない振り、見ない振りでいた。

だって、少しでも長く側に居たかったから。


思えば維知衣は、何時だって果江の味方だったな…。




「名ばかりの出来損ないより、私の方が女王に相応しいと思わない?」


果江の問いかけに、周りが頷く。


蔑む目が、お前などいらないと如実に語っている。


私の味方なんて1人も居なくて、誰もが私を必要じゃないと言う。胸の奥底に隠しておいた感情が、今にも顔を出してしまいそう。


現状に震えてしまいそうな身体を気付かれないように立ち上がり、スカートの埃を払う。


「そんなわけで、アンタはここで処分――」


果江は最後まで言葉を紡げなかった。何故なら―




ブジュ―




私の手に心臓を握り潰されたから。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

“いつまでも一緒”の鎖、貴方にお返しいたします

ファンタジー
男爵令嬢エリナ・ブランシュは、幼馴染であるマルグリット・シャンテリィの引き立て役だった。 マルグリットに婚約が決まり開放されると思ったのも束の間、彼女は婚約者であるティオ・ソルベに、家へ迎え入れてくれないかというお願いをする。 それをティオに承諾されたエリナは、冷酷な手段をとることを決意し……。 ※複数のサイトに投稿しております。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

聖女召喚2

胸の轟
ファンタジー
召喚に成功した男たちは歓喜した。これで憎き敵国を滅ぼすことが出来ると。

どうぞ添い遂げてください

あんど もあ
ファンタジー
スカーレット・クリムゾン侯爵令嬢は、王立学園の卒業パーティーで婚約もしていない王子から婚約破棄を宣言される。さらには、火山の噴火の生贄になるように命じられ……。 ちょっと残酷な要素があるのでR 15です。

何となくざまぁ

たぬまる
ファンタジー
 無敵の救国の聖女を追い出してしまった国の未来は?  何となくざまぁです。  

婚約破棄された私と、仲の良い友人達のお茶会

もふっとしたクリームパン
ファンタジー
国名や主人公たちの名前も決まってないふわっとした世界観です。書きたいとこだけ書きました。一応、ざまぁものですが、厳しいざまぁではないです。誰も不幸にはなりませんのであしからず。本編は女主人公視点です。*前編+中編+後編の三話と、メモ書き+おまけ、で完結。*カクヨム様にも投稿してます。

氷の薔薇は砕け散る

ファンタジー
『氷の薔薇』と呼ばれる公爵令嬢シルビア・メイソン。 彼女の人生は順風満帆といえた。 しかしルキシュ王立学園最終年最終学期に王宮に呼び出され……。 ※小説になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

処理中です...