32 / 60
第3章~彼の幼馴染みと彼女が修羅場すぎる~第3話
しおりを挟む
「あっ、ムネリン!」
クラスメート同士の修羅場の場面を目撃することになった翌日――――――。
教室に登校したオレの姿を見つけた塚口まことが、声をかけてきた。いつも、くだらないことを話しかけてくる後方の席のクラスメートは、今日も今日とて、どうでも良い話題をオレに振ってくる。
まことは、自分のスマホの画面をコチラにかざしながら、したり顔で解説をはじめた。
「ねぇねぇ、ムネリンは、白草四葉ちゃんの配信動画って見てる? その動画でさ、この前、恋愛のお悩み相談のコーナーをしてたんだけど、その時の相談の内容が、ボクたちのクラスで起こった出来事とそっくりなんだ! それでね……」
前日、名和立夏が言っていた女子の間でウワサになっているという話しは、ついに男子生徒の耳にも入ったようだ。根拠のないウワサ話の駆け巡るスピードが、速いということは認識していたが、まさか、ここまでとは……。
まことの口からその話しが出たということは、クラスでも、それなりの人数の生徒が、すでに、あの投稿と上坂部葉月の関係を疑っているということだ。
だが、それならそれで、逆に都合が良い―――。
オレは、前日の放課後から考えていたある決意を固めて、教室前方の教壇に向かう。
「まこりんペン、ちょっと、ついて来てくれ!」
塚口まことに、そう声をかけると、
「あ~、その呼び方はヤメてって、いつも言ってるじゃん!」
と、言いながらも、クラスメートは律儀にオレの後を追って来て、教壇に立ったオレの隣で、登校してきている生徒に顔を見渡している。
「き、今日は、みんにゃに聞いてほしいことがありゅ!」
普段、大きな声を出し慣れていないので、第一声は、噛み噛みな上に語尾も怪しくなってしまったが、気にせずに語り続ける。
「いま、塚口からも、話しを振られたんだが、この前の白草四葉ちゃんの動画チャンネル『クローバー・フィールド』で取り上げられたお悩み相談について、オレから、みんなに伝えたいことがあるんだ!」
第一声で声を張った効果があったのか、今度は、セリフを噛まずに、最後までハッキリと言い切ることができた。その直後、クラスの視線は、一気に前方に集中し、教室内は喧騒に包まれる。
普段、クラスでは完全な空気キャラである立花宗重が、朝のショート・ホーム・ルーム直前の教室が最も騒がしい時間帯に、何事かを叫びだしたのだから、それも当然のことだろう。
「なんだよ~、立花! いきなりデカい声を出して!」
「おまえ、白草四葉の動画とか見てるのかよ、似合わね~! ちょっとは、自分のキャラを考えろよ?」
男子生徒の水堂と御園が、教壇のオレに向かって、ツッコミを入れてくる。
だが、これくらいは、この場でカミングアウトをすると、覚悟を決めたときから想定していたことだ。
「あぁ、まったく似合わないことを前提で、あらためて聞いてほしい!」
ここで、間をおいたオレは、スマホを取り出して、あらかじめ準備していた画面を表示させ、そこに記された文面を読み上げる。
「『相談したいのは、クラスメートのことです』『自分のクラスには、幼なじみで良い雰囲気の男女が居るのですが・・・』『この春、転入生が転校してきて、男子の方が、その転入生と付き合い始めてしまいました』『自分としては思うところがあって、幼なじみ同士の二人を応援したい気持ちがあります』『彼女がデキてしまった男子と付き合うための方法があれば教えてもらえないでしょうか?』」
そうして、先日の投稿内容の文面を読み終えたあと、クラス中を見渡しながら、宣言する。
「こんな内容で、四葉ちゃんにお悩み相談をしたのは――――――なにを隠そう、このオレだ!」
オレが、そう断言し終えると、一瞬、静寂に覆われた教室から、盛大な笑い声の渦が巻き起こる。
「うわ~、ナニ考えてんだ、コイツ! キメェ~」
「ヤバッ……ただの陰キャだと思ってたら、そんな危ないヤツだったのかよ……」
そんな声が大半を占める喧騒の中、ふたたび、口を開いたオレが、
「ちなみに、この内容は、100パーセント、オレの創作なので……もし、なにか、誤解をしてる人間がいたり、誤解を受けたりしてるヒトがいたら、この場で謝っておく。本当に申し訳ない」
と言ってから、教壇を前にして頭を下げると、これまで発言していた男子生徒だけでなく、女子からも声が上がった。
「ちょw ないわ~、どうやったら、そんなキモい内容、考えられるの?」
隣に目を向ければ、オレが教室に戻ってきたとき、楽しげに話しかけてきたクラスメートも、さすがに、ドン引きした様子で、オレにたずねてくる。
「ね、ねぇ、ムネリン……なんで、こんな内容で、四葉ちゃんに相談しようと思ったの? なにか、事情があったとか?」
「事情……か? 特別な事情と言えば、以前から四葉ちゃんが、幼なじみに強い関心を示していたからかな? 登校する内容に、そのフレーズを入れれば、動画で取り上げてくれる可能性が高いと思ったんだよ」
「へ、へぇ~……そうなんだ」
塚口まことは、オレの返答に弱々しく言葉を返す。
後方の席のクラスメートの顔色が変化していくのを見ていると、
(これで、また、明日からは空気キャラ以上の過酷な日々が始まるのか……)
と、感情が胸の奥から、モクモクと湧き上がってきた。
上坂部葉月の了解を取らずに、勝手に相談を投稿してしまった自分の行いが招いた結果とは言え、二年生が始まってから二ヶ月足らずで、またもクラス内ぼっちが確定することを覚悟しながら、オレは、心の中でため息をついた。
クラスメート同士の修羅場の場面を目撃することになった翌日――――――。
教室に登校したオレの姿を見つけた塚口まことが、声をかけてきた。いつも、くだらないことを話しかけてくる後方の席のクラスメートは、今日も今日とて、どうでも良い話題をオレに振ってくる。
まことは、自分のスマホの画面をコチラにかざしながら、したり顔で解説をはじめた。
「ねぇねぇ、ムネリンは、白草四葉ちゃんの配信動画って見てる? その動画でさ、この前、恋愛のお悩み相談のコーナーをしてたんだけど、その時の相談の内容が、ボクたちのクラスで起こった出来事とそっくりなんだ! それでね……」
前日、名和立夏が言っていた女子の間でウワサになっているという話しは、ついに男子生徒の耳にも入ったようだ。根拠のないウワサ話の駆け巡るスピードが、速いということは認識していたが、まさか、ここまでとは……。
まことの口からその話しが出たということは、クラスでも、それなりの人数の生徒が、すでに、あの投稿と上坂部葉月の関係を疑っているということだ。
だが、それならそれで、逆に都合が良い―――。
オレは、前日の放課後から考えていたある決意を固めて、教室前方の教壇に向かう。
「まこりんペン、ちょっと、ついて来てくれ!」
塚口まことに、そう声をかけると、
「あ~、その呼び方はヤメてって、いつも言ってるじゃん!」
と、言いながらも、クラスメートは律儀にオレの後を追って来て、教壇に立ったオレの隣で、登校してきている生徒に顔を見渡している。
「き、今日は、みんにゃに聞いてほしいことがありゅ!」
普段、大きな声を出し慣れていないので、第一声は、噛み噛みな上に語尾も怪しくなってしまったが、気にせずに語り続ける。
「いま、塚口からも、話しを振られたんだが、この前の白草四葉ちゃんの動画チャンネル『クローバー・フィールド』で取り上げられたお悩み相談について、オレから、みんなに伝えたいことがあるんだ!」
第一声で声を張った効果があったのか、今度は、セリフを噛まずに、最後までハッキリと言い切ることができた。その直後、クラスの視線は、一気に前方に集中し、教室内は喧騒に包まれる。
普段、クラスでは完全な空気キャラである立花宗重が、朝のショート・ホーム・ルーム直前の教室が最も騒がしい時間帯に、何事かを叫びだしたのだから、それも当然のことだろう。
「なんだよ~、立花! いきなりデカい声を出して!」
「おまえ、白草四葉の動画とか見てるのかよ、似合わね~! ちょっとは、自分のキャラを考えろよ?」
男子生徒の水堂と御園が、教壇のオレに向かって、ツッコミを入れてくる。
だが、これくらいは、この場でカミングアウトをすると、覚悟を決めたときから想定していたことだ。
「あぁ、まったく似合わないことを前提で、あらためて聞いてほしい!」
ここで、間をおいたオレは、スマホを取り出して、あらかじめ準備していた画面を表示させ、そこに記された文面を読み上げる。
「『相談したいのは、クラスメートのことです』『自分のクラスには、幼なじみで良い雰囲気の男女が居るのですが・・・』『この春、転入生が転校してきて、男子の方が、その転入生と付き合い始めてしまいました』『自分としては思うところがあって、幼なじみ同士の二人を応援したい気持ちがあります』『彼女がデキてしまった男子と付き合うための方法があれば教えてもらえないでしょうか?』」
そうして、先日の投稿内容の文面を読み終えたあと、クラス中を見渡しながら、宣言する。
「こんな内容で、四葉ちゃんにお悩み相談をしたのは――――――なにを隠そう、このオレだ!」
オレが、そう断言し終えると、一瞬、静寂に覆われた教室から、盛大な笑い声の渦が巻き起こる。
「うわ~、ナニ考えてんだ、コイツ! キメェ~」
「ヤバッ……ただの陰キャだと思ってたら、そんな危ないヤツだったのかよ……」
そんな声が大半を占める喧騒の中、ふたたび、口を開いたオレが、
「ちなみに、この内容は、100パーセント、オレの創作なので……もし、なにか、誤解をしてる人間がいたり、誤解を受けたりしてるヒトがいたら、この場で謝っておく。本当に申し訳ない」
と言ってから、教壇を前にして頭を下げると、これまで発言していた男子生徒だけでなく、女子からも声が上がった。
「ちょw ないわ~、どうやったら、そんなキモい内容、考えられるの?」
隣に目を向ければ、オレが教室に戻ってきたとき、楽しげに話しかけてきたクラスメートも、さすがに、ドン引きした様子で、オレにたずねてくる。
「ね、ねぇ、ムネリン……なんで、こんな内容で、四葉ちゃんに相談しようと思ったの? なにか、事情があったとか?」
「事情……か? 特別な事情と言えば、以前から四葉ちゃんが、幼なじみに強い関心を示していたからかな? 登校する内容に、そのフレーズを入れれば、動画で取り上げてくれる可能性が高いと思ったんだよ」
「へ、へぇ~……そうなんだ」
塚口まことは、オレの返答に弱々しく言葉を返す。
後方の席のクラスメートの顔色が変化していくのを見ていると、
(これで、また、明日からは空気キャラ以上の過酷な日々が始まるのか……)
と、感情が胸の奥から、モクモクと湧き上がってきた。
上坂部葉月の了解を取らずに、勝手に相談を投稿してしまった自分の行いが招いた結果とは言え、二年生が始まってから二ヶ月足らずで、またもクラス内ぼっちが確定することを覚悟しながら、オレは、心の中でため息をついた。
3
あなたにおすすめの小説
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
高校生なのに娘ができちゃった!?
まったりさん
キャラ文芸
不思議な桜が咲く島に住む主人公のもとに、主人公の娘と名乗る妙な女が現われた。その女のせいで主人公の生活はめちゃくちゃ、最初は最悪だったが、段々と主人公の気持ちが変わっていって…!?
そうして、紅葉が桜に変わる頃、物語の幕は閉じる。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる