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第4章~オレの幼なじみがこんなに素直なわけがない~第4話
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「え? えぇ~~~!?」
リッちゃんの提案に、誰よりも早く声を上げたのは、名指をしされたぼく自身だった。
中浜先生も驚いた表情で、
「ムネシゲくん、白いケモノの役をやってみたいの?」
と、たずねてくる。
たしかに、『泣き虫なケモノのおはなし』の絵本を読んだとき、リッちゃんに、
「ぼくは、白いケモノが優しくて好きだな」
と言ったことはあるけど……。
そんな風に、何日か前のことを思い返していると、リッちゃんが、ふたたび、口を開く。
「ムネリンは、泣き虫だけど優しいし、お友だちをロッカーに閉じ込めるような人よりは、向いてると思いま~す。ねぇ、やってみない? ムネリン!」
さっき、お遊戯室から、ゾウ組の部屋に戻って来る前に、彼女は、
「ムネリンも、イヤなことや、やりたいことは、ハッキリ言わなきゃダメだよ!」
と言っていた。
それに、中浜先生は、ぼくをロッカーに閉じ込めた3人と無理やり仲直りさせようとしたけど、ぼく自身は、そのことに納得したわけではない。
ここで、ケンタくんとヒロアキくんに役を譲ってしまうのは、なんだか悔しい気がした。
「リっちゃんは、ああ言ってるけど……どうなの、ムネシゲくん?」
再度たずねてきた先生の目を見据えて、ぼくは答えた。
「ぼくも、白いケモノの役をやってみたい!」
自己主張が苦手だったぼくの一言に、中浜先生は驚いたようだ。
そして、希望した役をすんなりと得ることが出来なかったケンタくんとヒロアキくんの二人は、露骨に、
「えぇ~」
と、不満の声を上げる。
まあ、ここまでは、予想どおりの展開だ。
いままでのぼくなら、クラスの子たちが不満を言うことを予想して、自分のやりたいことを我慢していたと思う。
お遊戯室で、ケンタくんとヒロアキくんから理不尽な仕打ちを受けたから、ということも理由の一つだけど、なにより、リっちゃんの一言が、ぼくの背中を押したことは間違いないと思う。
「それじゃあ、公平にじゃんけんで決めようか?」
という先生の提案に、ぼくたちは「は~い」と答える。
公平な選考を行った結果、じゃんけんには、ぼくとケンタくんが、勝ち残った。
じゃんけんで、グーを出したまま、握りこぶしを作って、喜びを噛み締めていたぼくに、リッちゃんが
「良かったね、ムネリン! でも、せきにんじゅうだいだよ、がんばってね!」
と、声をかけてきた。
このときの自分には、『せきにんじゅうだい』という言葉の意味が良くわからなかったけど、勢いに押されて、
「うん、がんばる!」
と、応える。
本人は、「お家のタブレットで、いろんな動画を見ているから、それで勉強してるの」と言っていたが、リッちゃんは、園児の割に、難しい言葉を良く話していたことを覚えている。
その後の配役は順当に決まり、リッちゃんは、エリちゃんとともに、黒いケモノの役を演じることになった。
そして、翌日から、本格的に劇の練習が始まった。
ところが――――――。
・
・
・
むかしむかし、とある山の中に、白くて毛むくじゃらのケモノが住んでいました。
そのケモノは、絵本に出てくる悪いケモノとは違って、とても大人しい性格で、人間の言葉を理解し、話すことが出来ました。
だけど、やっぱり、目は大きくギョロギョロしていて、頭には曲がったツノもついています。
それでは、やっぱり、油断のできない怪しいケモノだと人々は思うでしょう。
ところが、そうではありません。
むしろ、優しい素直な気持ちを持ったケモノです。
ケモノは、まだ若かったので、とても強い力を持っていました。
けれども、仲間のケモノをいじめたことはありません。
心は優しいけれど、友だちの少ないケモノは、ずっと人間と仲良くなりたいと思っていました。
「に、に、人間のみんなと仲良くなりたいな……」
「え、え~と……ぼ、ぼくはどうすればイイだろう?」
「そ、そ、そうだ!」
色々と考えた白いケモノは、自分の家の前に、こんな看板を立てました。
「心のやさしい? ケダモノの家です。」
「だ、だ、ダレでもおっこしください。」
「おいしいお茶がありますよ。」
「あたたたたたかいお菓子もありますよ。」
・
・
・
「はい、ストップ!」
と、中浜先生が声をかける。
「ケンタくん、お家でも練習してきてね、って先生が言ったこと覚えてる? 最後のところは、『おいしいお菓子がありますよ』『あたたかいお茶もありますよ』だからね」
劇の前半の白いケモノを演じることになったケンタくんは、セリフを覚えられないのか、それとも、緊張しているのか、あきらかに声が上ずって、まともに劇中のセリフを話すことが出来ないでいた。
動揺する彼に、出番を待つクラスの子たちから、声が飛ぶ。
「ケンタ~、ちゃんとやれよ~!」
「わたしたちの出番は、まだなんだから、早くしてよ~」
ヒロアキくんやエリちゃんが語ると、ゾウ組の部屋には笑いが起こった。
その雰囲気に、ケンタくんは、涙目になり、うつむいてしまった。
「みんな、笑わないでよ! ケンタくんも、がんばってるんだから!」
ぼくと同じ、白いケモノを演じる子が泣き出しそうになっているのを見て、つい、声が出てしまう。
自分で発した声に、自分自身が驚いていると、中浜先生も、パンパンと軽く手を叩いて、
「そうね、ムネシゲくんの言うとおり! みんな、他の子が演技をしているときは、心のなかで応援しましょう」
と、注意をうながす。
先生に名前を呼ばれたことで恥ずかしくなったぼくが、赤くなってうつむいていると、リッちゃんが、こっそりと声をかけてきた。
リッちゃんの提案に、誰よりも早く声を上げたのは、名指をしされたぼく自身だった。
中浜先生も驚いた表情で、
「ムネシゲくん、白いケモノの役をやってみたいの?」
と、たずねてくる。
たしかに、『泣き虫なケモノのおはなし』の絵本を読んだとき、リッちゃんに、
「ぼくは、白いケモノが優しくて好きだな」
と言ったことはあるけど……。
そんな風に、何日か前のことを思い返していると、リッちゃんが、ふたたび、口を開く。
「ムネリンは、泣き虫だけど優しいし、お友だちをロッカーに閉じ込めるような人よりは、向いてると思いま~す。ねぇ、やってみない? ムネリン!」
さっき、お遊戯室から、ゾウ組の部屋に戻って来る前に、彼女は、
「ムネリンも、イヤなことや、やりたいことは、ハッキリ言わなきゃダメだよ!」
と言っていた。
それに、中浜先生は、ぼくをロッカーに閉じ込めた3人と無理やり仲直りさせようとしたけど、ぼく自身は、そのことに納得したわけではない。
ここで、ケンタくんとヒロアキくんに役を譲ってしまうのは、なんだか悔しい気がした。
「リっちゃんは、ああ言ってるけど……どうなの、ムネシゲくん?」
再度たずねてきた先生の目を見据えて、ぼくは答えた。
「ぼくも、白いケモノの役をやってみたい!」
自己主張が苦手だったぼくの一言に、中浜先生は驚いたようだ。
そして、希望した役をすんなりと得ることが出来なかったケンタくんとヒロアキくんの二人は、露骨に、
「えぇ~」
と、不満の声を上げる。
まあ、ここまでは、予想どおりの展開だ。
いままでのぼくなら、クラスの子たちが不満を言うことを予想して、自分のやりたいことを我慢していたと思う。
お遊戯室で、ケンタくんとヒロアキくんから理不尽な仕打ちを受けたから、ということも理由の一つだけど、なにより、リっちゃんの一言が、ぼくの背中を押したことは間違いないと思う。
「それじゃあ、公平にじゃんけんで決めようか?」
という先生の提案に、ぼくたちは「は~い」と答える。
公平な選考を行った結果、じゃんけんには、ぼくとケンタくんが、勝ち残った。
じゃんけんで、グーを出したまま、握りこぶしを作って、喜びを噛み締めていたぼくに、リッちゃんが
「良かったね、ムネリン! でも、せきにんじゅうだいだよ、がんばってね!」
と、声をかけてきた。
このときの自分には、『せきにんじゅうだい』という言葉の意味が良くわからなかったけど、勢いに押されて、
「うん、がんばる!」
と、応える。
本人は、「お家のタブレットで、いろんな動画を見ているから、それで勉強してるの」と言っていたが、リッちゃんは、園児の割に、難しい言葉を良く話していたことを覚えている。
その後の配役は順当に決まり、リッちゃんは、エリちゃんとともに、黒いケモノの役を演じることになった。
そして、翌日から、本格的に劇の練習が始まった。
ところが――――――。
・
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・
むかしむかし、とある山の中に、白くて毛むくじゃらのケモノが住んでいました。
そのケモノは、絵本に出てくる悪いケモノとは違って、とても大人しい性格で、人間の言葉を理解し、話すことが出来ました。
だけど、やっぱり、目は大きくギョロギョロしていて、頭には曲がったツノもついています。
それでは、やっぱり、油断のできない怪しいケモノだと人々は思うでしょう。
ところが、そうではありません。
むしろ、優しい素直な気持ちを持ったケモノです。
ケモノは、まだ若かったので、とても強い力を持っていました。
けれども、仲間のケモノをいじめたことはありません。
心は優しいけれど、友だちの少ないケモノは、ずっと人間と仲良くなりたいと思っていました。
「に、に、人間のみんなと仲良くなりたいな……」
「え、え~と……ぼ、ぼくはどうすればイイだろう?」
「そ、そ、そうだ!」
色々と考えた白いケモノは、自分の家の前に、こんな看板を立てました。
「心のやさしい? ケダモノの家です。」
「だ、だ、ダレでもおっこしください。」
「おいしいお茶がありますよ。」
「あたたたたたかいお菓子もありますよ。」
・
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・
「はい、ストップ!」
と、中浜先生が声をかける。
「ケンタくん、お家でも練習してきてね、って先生が言ったこと覚えてる? 最後のところは、『おいしいお菓子がありますよ』『あたたかいお茶もありますよ』だからね」
劇の前半の白いケモノを演じることになったケンタくんは、セリフを覚えられないのか、それとも、緊張しているのか、あきらかに声が上ずって、まともに劇中のセリフを話すことが出来ないでいた。
動揺する彼に、出番を待つクラスの子たちから、声が飛ぶ。
「ケンタ~、ちゃんとやれよ~!」
「わたしたちの出番は、まだなんだから、早くしてよ~」
ヒロアキくんやエリちゃんが語ると、ゾウ組の部屋には笑いが起こった。
その雰囲気に、ケンタくんは、涙目になり、うつむいてしまった。
「みんな、笑わないでよ! ケンタくんも、がんばってるんだから!」
ぼくと同じ、白いケモノを演じる子が泣き出しそうになっているのを見て、つい、声が出てしまう。
自分で発した声に、自分自身が驚いていると、中浜先生も、パンパンと軽く手を叩いて、
「そうね、ムネシゲくんの言うとおり! みんな、他の子が演技をしているときは、心のなかで応援しましょう」
と、注意をうながす。
先生に名前を呼ばれたことで恥ずかしくなったぼくが、赤くなってうつむいていると、リッちゃんが、こっそりと声をかけてきた。
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