初恋♡リベンジャーズ

遊馬友仁

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第三部

第2章〜共鳴せよ! 市立芦宮高校文芸部〜⑭

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 ~黄瀬壮馬きせそうまの見解~

 木曜日に文化系クラブの訪問を終えたあと、図書室でインタビュー取材のロールプレイングを行い、最終下校時刻近くまで残っていたボクと文芸部のメンバーは、翌日の放課後もクラブ訪問を行った。

 予想どおり、竜児たちに先を越されていたためか、残りの運動系クラブである剣道部・卓球部・ハンドボール部などの反応は、あまり良いものとは言えなかったけど、訪問初日と違って、文芸部のみんなに落ち込んでいるようすは見られない。

 前日に訪問していたコーラス部の浦嶋部長から、竜児たちのオファーを断り、ボクたち文芸部の取材を受ける、という連絡をもらっていたことも、メンバーが自信を深めた要因かも知れない。
 
 訪問先が少なかったこともあり、早々と図書室に戻ってきたボクたちは、スプレッドシートにまとめられた情報をもとに、取材に応じてくれそうなクラブを選別していく。
 
「まず、コーラス部と吹奏楽部は確定として、あと、取材を受けてくれそうなクラブは、どこだろう?」

「茶道部・華道部・書道部、それに、美術部も反応は良かったね。この四つのクラブは、取材に応じてくれると考えて良いんじゃないかな?」

「あらためて、こうしてまとめてみると、見事に文化系のクラブばかりになっちゃたね~」

 天竹あまたけさん、石沢いしざわさん、今村いまむらさんが、データを参照しながら語り合っている。

「最初は、どうなるかと心配したけど、協力してくれそうなクラブが増えてきて良かったね!」

「だね! 今日、訪問したクラブには申し訳ないけど、断られても大丈夫だって、気楽に訪問できたよ」

 一年生の高瀬たかせさんと井戸川いどがわさんも、二日前とは異なり、訪問先の対応に一喜一憂しなくなったようだ。

「各クラブを訪問して、他に気づいたことはないかな? 私たちが聞きたい内容を伝えたときに、何か言ってなかった?」

 天竹さんが、訪問先で感じたことはないか、と文芸部のメンバーにたずねると、部員さんたちが返答する。

「文化系のクラブも、体育会系と同じように演奏会や展示会で、自分たちの活動を披露する機会があるから、それをアピールしたい、って意気込みは感じられたね!」

「私たち文芸部の『ビブリオバトル』もそうだけどさ……運動部と違って、文化系のクラブは、どのクラブが、どんな大会に出場してるかなんて、所属している部員以外には、わからないことが多いしね~」

 石沢さんの返答に、今村さんが苦笑いを浮かべながら同調した。

「それも、去年までは、感染症のおかかげで大会が中止になることが多かったんですよね……」

「だから、各クラブともに、今年の活動にかける意気込みは、私たちにも伝わってきました」

 なるほど……たしかに、高瀬さんと井戸川さんの言うとおり、ボクと天竹さんが訪問した吹奏楽部とコーラス部でも、消化不良に終わった去年までの活動を精一杯とり戻そうとする雰囲気が感じられた。

「吹奏楽部やコーラス部は、飛沫感染対策で、いちばん影響を受けたクラブかも知れないけど……他のクラブでも、やっぱり、なんらかの影響があったんだね」

 ボクが、そう口にすると、文芸部員のみんなが、一様にうなずく。

「私たちの『ビブリオバトル』も開催が危ぶまれていたからねぇ……結局、無観客開催になっちゃったけど……」

「ほんと、会場内の盛り上がりがないから、話し手としても、手応えがなかったし」

 苦笑しながら、ボクと同学年のふたりが、そう言うと、

「えっ!? でも、文芸部のプロモーションビデオって、去年の『ビブリオバトル』のときの映像ですよね?」

「動画では、かなり白熱しているように感じましたけど?」

一年生のふたりは、先輩たちの言葉に異議を唱えた。
 すると、下級生の疑問に、二年生のふたりは、ニヤリと笑みを浮かべたあと、なぜかコチラに視線を向ける。

「そこは、広報部の大エースが、に仕上げてくれたからね~」

「私たちも、自分たちが映っている映像を見て、『これ、ホントに文芸部が参加した大会なの?』って信じられなかったもん」

 同学年のふたりの意見に、一年生は「はぁ~」「黄瀬先輩、スゴい……」と、感心しているようすだけど、なんだか面映ゆい気持ちがして、ボクとしては、全身がムズ痒くなってしまう。

 一方で、ボクらの会話は、あまり耳に入っていないのか、タブレット端末を前にしてあごに手を当てながら、なにごとかを思案をしていた天竹さんが、

「各クラブで同じような想いがあるなら、この点を深堀ふかぼりしたいところですね。共通したテーマがある方が、インタビューもしやすいですし、動画を作る際にも編集しやすいんじゃないでしょうか?」

と、彼女自身の見解を述べたあと、最後はボクに質問を振ってきた。

「た、たしかに、そうだね……複数のクラブを取り上げる場合、バラバラの主張を繋ぐよりも、同じテーマがあった方が映像をまとめやすいのは事実だよ。でも、それは、あくまで、取材相手から出てきた言葉じゃないと意味がないと思う。こちら側の勝手な意図で無理やりテーマを作ることはしたくないな……」

 急に話しを振られたので、一瞬、あせったボクが、そう答えると、文芸部の部長さんは、

「そうですね……その辺りは、キッチリと注意しましよう」

と、うなずいた。

 こうして、紅野さんが所属していることで、最初から友好関係が結ばれていた吹奏楽部に加えて、コーラス部、茶道部、華道部、書道部、そして、美術部の協力を取り付けることができる見込みになった。

 活動当初の「どのクラブからも協力してもらえないんじゃないか……」という真っ暗な状況から、明るい兆しが見え始めたことで、ボクにも、俄然やる気が湧き上がってきたし、これからの活動は、順風満帆に進むだろうと考えていた。

 そう、このときまでは――――――。
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