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第七十六話 ホウリ準決勝 ザヨゴォォォォォォォ!
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───医者───
異世界にも医者は存在しており、主にスキルで治療できない病気などを治すことが仕事である。薬の処方なども行っており、ヒーラーとは役割が明確に異なっている。しかし、ヒーラーの希少性が高い事もあり給料が高いのは医者よりもヒーラーである。そのため、年々医者の数が減っている事が問題視されている。────Maoupediaより抜粋
☆ ☆ ☆ ☆
「ロワ!」
試合が終わった後、わしらは医務室へと駆けつける。ロワは傷だらけでベッドに寝かされておった。横におる医者がわしらに会釈する。
「お仲間の方ですか?」
「はいそうです。ところで、ロワの容体は?」
「傷は深くないです。後でヒーラーが来ますから心配ないでしょう」
「良かった……」
医者の言葉を聞いたミエルは安心したように息を吐く。
それを見た医者はカルテを閉じると席を立った。
「では、私は行きます。話は通しておくので彼が目覚めるまで傍に居てあげてください」
「ありがとうございます」
医者が出ていくとミエルはロワの手を握りしめる。
「ねーねー、ノエルが治しちゃダメなの?」
「ならん。ホウリから止められておる」
ボロボロのロワを見て心苦しく思うが、ホウリから治癒系の使用は禁じられておるしヒーラーが来るまでおとなしくしておるしか無い。とはいえ、命に関わる状況では無いみたいじゃな。安心したわい。
「ミエル、わしらはパイナの試合を見てくるがお主はどうする?」
「……私はここに居る」
「分かった。先に行っておるぞ」
わしはノエルの手を取って医務室を出る。
これでホウリが勝たなければわしらは終わりじゃ。まあ、ホウリなら何とかしてくれるじゃろう
☆ ☆ ☆ ☆
わしとノエルは席に戻ってきて戦場へと視線を向ける。戦場ではプラムがマジックを披露しており、観客からの歓声を受けておる。どうやら3回戦は全て終わっておるようじゃな。
さて、解説席はどうなって…………
『話してください!ロワ!今行きますわよ!』
『落ち着けって。医者は命の危険はないって言ってただろ?』
『ロワ!ロワァァァ!』
『いい加減にしろ。さっきの試合中もロワの名前叫んでばっかりで解説してなかっただろうが』
『放しなさい!パパ放しなさい!HA☆NA☆SE』
『はいはい、今日の試合が全部終わるまでは拘束を解かないからな。……これで真面目にやってくれればいいが』
『ロワァァァァ!』
『……とりあえず、音声切っておくか』
ブチッという音と共に解説席の声が完全に聞こえなくなる。ロワが倒れた時からこうなるとは思っておったが、音声を切る事になるとはのう。
心配事が増えながらもプラムのマジックをボーっと眺める。
「そう言えばお姉ちゃん、一つ聞いていい?」
「なんじゃ?」
「ロワお兄ちゃんって遠距離の物理攻撃を無効化できるよね?なんでプラムさんの攻撃を無効化しなかったの?」
「あのトランプは念動力で動いておるからな。厳密には遠距離攻撃ではないんじゃ」
この世界には遠距離攻撃に見えてそうではない攻撃がある。詳しく説明すると時間が掛かってしまうが、自身の意思で操れる攻撃は遠距離ではないと思っておけばよい。無論、例外もあるがのう。
「うーん、あのトランプって結構避けにくいと思うけどお兄ちゃんはどうするのかな?」
「さあのう。今回ばかりは搦手は使えそうにないがどうするつもりなんじゃろうな?」
今回ばかりは戦闘せずに勝つ事は出来ないじゃろう。ホウリの事じゃし考えがある筈じゃが。
「パイナが負けるとは考えにくいが、後がないと思うと中々に気持ちが────わしの後ろを取るとは、命知らずじゃのう、ナップ?」
「す、すみません」
振り返ると慌てて手を引っ込めたナップがおった。ナップは引っ込めた手で額の汗を拭いながら笑う。
「いやあ、流石ですねフランさん」
「あたりまえじゃ、わしを誰だと思っとる?」
「……そういえばフランさんって何者なんですか?」
「一介の冒険者じゃぞ?」
「一介の冒険者はA級パーティーを瞬殺出来ないですよ」
ナップはノエルの席へと座るとノエルの頭をグシャグシャに掻き回す。
「よう、ちびっこ。元気だったか?」
「むー!ノエルはちびっこじゃない!」
「はっはっは、元気そうで何よりだ」
再び頭を掻きまわすナップが嫌なのか、ノエルがわしにしがみ付いてくる。
「お姉ちゃーん」
「これこれ、あまりノエルをいじめるでない」
「すみません、つい」
「それに無理に敬語を使わんでも良いぞ。もう、わしの気を引く必要もないじゃろ?」
「そう……だな。これからは普通に話させてもらおう」
「それでよい。無理は良くないからのう」
ナップは少々無理しているみたいじゃったし、わしも敬語は好かん。無理して続けることも無かろう。
「それで、なんでお主がここにおるんじゃ?」
「チケットが1枚しか手に入らなくてな。公正なるじゃんけんの結果、俺が見に来たわけだ」
「そこにわしらがおった訳じゃな」
という事は他のメンバーはおらんのか。シースがおらんのは助かるのう。
ナップは大きく伸びをすると、わしの傍の弁当に目を付ける。
「フランさん、それ食ってもいいか?」
「よいぞ。いっぱいあるから何個でも食うがよい」
「サンキュー」
ナップは幕の内弁当を開けると凄い勢いで食い始める。余程腹が減っておったようじゃな。
『皆さんお待たせしました!準決勝第一回戦を始めます!』
(わあぁぁぁぁ!)
スピーカーから試合開始の宣言が流れ会場から歓声が上がる。なんとかチフールを抑え込んだみたいじゃな。
『準決勝進出者、まずはこいつだ!マジックには仕掛けがその強さに仕掛けなし!ライチ・チェリモ!』
(わああああああ!)
既に戦場に出ていたプラムがシルクハットを振って歓声に応える。表情は相変わらず笑顔じゃ。
『次はこいつだ!予想外の戦い方で連戦連勝!今大会のダークホース!パイナ!』
(ぶううううう!)
パイナが戦場に姿を表した瞬間、観客から一斉にブーイングが飛んで来る。2回続けての搦手じゃったからな。仕方がないといえよう。
ブーイングの中でナップはマイペースに弁当を頬張る。
「このブーイングの中だとホウリもやり難いだろうな」
「そうじゃな……お主、パイナの正体を知っておるのか?」
ナップが箸を空の弁当箱に入れ手を合わせる。
「事前にあいつから聞いていたんだよ。パイナ名義で出るってな」
「お主に伝えるとは意外じゃな」
「あんな戦い方する奴はあいつ以外にいないだろ?『どうせバレるなら伝えといた方がいい』だとよ」
「それもそうじゃな」
確かにホウリを知っておる奴であれば一発で分かるような戦い方じゃな。
「じゃが、不用意に奴の名前を出すでないぞ?大変な事になるぞ?」
「大変な事ってなんだ?」
「わしが舌を引っこ抜く」
「物理的な制裁!?」
ホウリにとってはかなり重要な事みたいじゃからな。じゃったら仕方ないのう。
わしらがコント紛いのやり取りをしていると、戦場ではプラムがパイナに笑顔で挨拶をしている。また何を話しているか聞いてみるとしよう。
「君の運命を占ってあげよう、このトランプから1枚引いてみてくれないかい?」
「…………」
差し出されたトランプからパイナは無言で1枚引く。それを見たプラムは意地悪そうな笑顔を浮かべる。
「おっと、運が悪いね。試合前にジョーカーを…………え?」
トランプの絵柄を見たパイナの表情が笑顔から驚愕の物へと変わる。パイナの手に握られていたカードはジョーカーではなくダイヤのAだった。
プラムはパイナからトランプを受け取ると表情を笑顔に戻す。
「なるほど、同業という訳か。尚更負けられないな」
「…………」
パイナは何も答えず、自分の立ち位置へと向かう。無視される形になったプラムは肩をすくめて自分の立ち位置へと向かう。
それを見ていたナップは不思議そうに首を傾げる。
「あいつら何してるんだ?」
「プラムがジョーカーを引かせて相手の動揺を誘おうとしたが、パイナにやり返されたんじゃよ」
「随分とくだらない事やってるな」
「本人たちにとっては大真面目なんじゃろ」
2人が立ち位置に付き向かい合う。さて、どういう試合になるかのう?
『それでは、試合開始ぃぃぃぃ!』
(わああああああ!)
試合開始の宣言と同時にプラムが懐から金属製トランプを取り出して周りに展開する。
「早々に決める!いけ!」
複数枚のトランプがパイナに向かって襲い掛かる。
様々な角度から迫ってくるトランプ。誰もがパイナが切り刻まれる様子を想像したじゃろう。じゃが、
(バン!バン!バン!)
「へ?」
全てのトランプに穴が開きコントロールを失ったように落下する。
何が起きたか分からないのかプラムがパイナへと視線を向ける。すると、ローブの一部がめくれパイナの右手に握られている黒光りする武器、ノエルの銃が現れた。
「あれは銃か?」
「よく分かったのう。あれはリボルバーといってのう、弾を6発込められる拳銃じゃ」
この世界では銃は珍しい筈じゃがナップには分かったみたいじゃ。流石A級パーティーのメンバーじゃな。
「銃なんてものどこから持ってきたんだ?」
「ふふん、ノエルがお兄ちゃんに貸したんだよ。すごいでしょ?」
胸を張っているノエルをナップは驚きの表情で見つめる。
「あの銃ってちびっこの物なのか!?なんで子供に銃なんて持たせてるんだ!?」
「ノエルちびっこじゃないもん!」
頬を膨らませているノエルを宥めてナップに説明する。
「護身用にという事で奴が用意してな。それをノエルに与えた訳じゃ」
「でも弾丸って高いんだろ?どうやって用意を……フランさんがいるから問題ないか」
「そういう事じゃ」
正しくはノエルが弾丸を複製し、わしが鑑定で問題ないか確認していたんじゃがな。部外者に詳細を教えなくても良かろう。
「くっ!これならどうだ!」
パイナはトランプの枚数を増やしてホウリへと放つ。さっきとは異なり飛んで来る方向は1か所のみじゃが、枚数は明らかに6枚よりも多い。銃のみで対応することは不可能じゃろう。
迫りくるトランプを銃で撃ち落すパイナ。じゃが、すぐに弾は切れ残りのトランプが迫りくる。
「今度こそ終わりだ!」
パイナを捕えたと思ったのかプラムがニヤリと不敵に笑う。じゃが、
「なぁ!?」
パイナが何かを振るうと大半のトランプが叩き落された。残りのトランプはパイナの体を掠める形で通り過ぎていく。
パイナの左手には黒く輝く長い棒状の武器が握られていた。この武器で自分に当たりそうなトランプだけを叩き落したんじゃな。
「なあ、あれって新月か?」
「そうじゃ。色は変えておるが新月じゃ」
パイナが唯一、相手にダメージを与えられる武器である新月じゃ。色は審判の色でごまかしておるが、正体がホウリと分かっておる奴が見たらバレバレじゃな。じゃが、正体が知られていなければ何か分からぬし、正体が分からぬ分不気味に思うじゃろうな
案の定、プラムは警戒してトランプを放とうとしない。パイナの思うがままじゃな。
動かないと見るとパイナはプラムの元へと走り出す。プラムもこのまま動かないのは悪手と判断したのかトランプを周りに展開する。
パイナはさっきと同じようにトランプを撃ち落そうと銃を構える。すると、プラムがニヤリと笑った。
「かかったな!」
瞬間、何かが下から飛んできてパイナが手にしていた銃が真っ二つに切断された。パイナの頭上へと視線を向けると、1枚のトランプが空に向かって飛んでいくのが見えた。
「はっはっは!さっきの攻撃で地面にトランプを仕込んでおいたんだ!これで銃は使えないな!」
勝ち誇るプラムがパイナに向けて更にトランプを放つ。
それを見たパイナは慌てる様子も無く、懐から2丁目の銃を取り出してトランプを撃ち落とした。こんなこともあろうかと、わしが予備の銃を5丁ほど複製しておいた。パイナ相手に全部破壊できるとは思わぬことじゃな。
「な!?」
銃がもう1丁出てくるとは思わなかったのかプラムの顔から血の気が引く。
「こうなったら!」
プラムが懐をまさぐって金色のカードを手に取る。ロワと戦った時にも使っておったジョーカーじゃ。
「これでもくら……え?」
ジョーカーをパイナに向けて放とうとしたプラムじゃったが、その動きが完全に止まる。
それを見たナップが不思議そうに首を傾げる。
「なんでジョーカーを投げない?ジョーカーだったら簡単に撃ち落されないだろうし、ためらう理由はないと思うんだが?」
「その理由はパイナを見れば分かる」
ナップはわしに言われるがままパイナに視線を向ける。すると、パイナの懐に金色に輝くカードが見えた。
「あれは……ジョーカー!?」
「の複製じゃな」
「なんだ複製か。驚かせやがって」
胸を撫でおろしたナップであったがすぐに首を傾げた。
「あれ?なんで複製を見たプラムはジョーカーを投げないんだ?」
「最初のやり取りの結果じゃよ」
「最初のやり取り?トランプを引いたあれか?あれが何だっていうんだ?」
わしは大きく頷きながら答える。
「パイナがダイヤのAを引いた事によってプラムはパイナがマジシャンだと思っておる」
「ふむふむ」
「自分ほどのマジシャンを欺くほどの腕を思っておる相手が自分の切り札らしきものを持っておる。するとプラムはなんて思う?」
「……なるほど、どこかですり替えられたんじゃないかと思う訳か。だから、すぐには投げられなかった」
「そういうことじゃ」
あの意味が無さそうなやり取りでも、しっかりと仕込みをしておく。流石というかなんというか。
プラムが固まっている隙を見逃さずパイナはジョーカーに向かって発砲する。
(パァン!)
「!?、しまっ────」
パイナの手から離れたジョーカーに向かってパイナは続けざまに発砲する。
(パパパパパァン)
5発もの弾丸を立て続けに受けたジョーカーは真ん中から砕け散る。
「お、俺の切り札が……」
悲痛な表情のプラムに間髪入れずにパイナが迫る。
「う、うわあああああ!」
余程気が動転しておるのか、距離が10mまで迫っているパイナに向かってプラムは全てのトランプを放つ。
「こ、この近さで100枚以上のトランプだ!捌けるもんなら捌いてみろ!」
確かにこの近さで100枚以上のトランプがパイナに迫ってきておる。撃ち落すのも叩き落すのも無理じゃろう。
じゃが、パイナは速度を緩めることなくプラムに迫る。そして、膝を深く曲げると……
「と、飛んだぁぁぁ!?」
靴底からロケットのようなジェット噴射が吹き出し靴を燃やしながらパイナは5メートル以上も飛び上がる。その様子を見たノエルがわしの袖を引っ張ってくる。
「ねーねーお姉ちゃん、もしかしてあれってミエルお姉ちゃんの家でやったもの?」
「そうじゃな、原理はアレと全く同じじゃ」
違う所と言えば、魔道具が禁止されているから科学的な仕組みで飛んでおる事ぐらいか。些細な違いではあるがのう。
パイナは最高地点に到達すると後方に小型の爆弾を投げつけ起爆させる。すると、爆風に押される形でパイナが猛スピードでプラムへと迫る。そして、燃えている片足を突き出すとキックの体勢を取る。
「セイヤァァァァ!」
叫びながら猛スピードで迫りくるパイナにトランプを全て失ったプラムが対抗できる筈もなく、キックを胸に受けてしまう。
「ぐわっ!」
キックをまともに受けたプラムは数メートル後方にある壁へと叩きつけられる。その胸にはパイナの靴底の跡がしっかりと残っておった。
地面を滑りながら着地したパイナはプラムが地面に倒れ伏したことを確認すると、出入り口へと踵を返す。
『プラム・チェリモ選手戦闘不能により、勝者、パイナ選手!』
(わあああああ!)
☆ ☆ ☆ ☆
「うーん……ここは……?」
「ロワ!気が付いたか!」
「僕は試合に負けて?」
「いいんだ。ロワは立派に戦っていたぞ」
「えーっと、記憶が曖昧なんですけど僕はどうやって負けました?」
「なぜそんな事を聞く?」
「ホウリさんから頼まれごとをされてまして。どうでしたか?」
「……ジョーカーでトリシューラの複製を砕かれて、そのまま勝負が決まった」
「よかった、やるべき事は出来たようですね」
「ホウリからは何を頼まれたんだ?」
「1番はプラムさんに勝て、それが出来ない場合は相手のジョーカーにダメージを与えておけと言われました。ジョーカーにダメージを与えられれば壊しやすくなるからだそうです」
「なるほど、ホウリの考えそうな事だ」
「僕は負けてしまいましたが、ホウリさんなら絶対勝ってくれます」
「そうだな。あいつならやってくれる。信じよう」
「……あの、一ついいですか?」
「なんだ?」
「その……手」
「…………あ!その、ちちちがうんだ!寝ている時にコッソリ触ろうなんて思っていた訳では!」
「離さなくていいですよ」
「え?」
「僕も心細いんです。このまま手を握っていてくれませんか?」
「そ、そういう事なら────」
「そこまでですわ!」
「うぃーっす、ロワいるか?」
「父さん!?姉さん!?」
「そこの雌豚!今すぐロワから離れなさい!さもなくば、この弓で射抜きますわよ!」
「お、ロワの彼女か?結婚式には呼んでくれよ?」
「違うから!ミエルさんとはそういうのじゃないから!姉さんも弓を仕舞ってよ!」
「ロワがが弱っている時に付けこむだなんて……、恥を知りなさい!」
「そそそそそんな事していない!ただ、ロワが心配で」
「問答無用!」
「孫は3人は欲しいな。勿論、それ以上でも俺は構わないぞ?」
「ああもう!皆落ち着いてよ!」
異世界にも医者は存在しており、主にスキルで治療できない病気などを治すことが仕事である。薬の処方なども行っており、ヒーラーとは役割が明確に異なっている。しかし、ヒーラーの希少性が高い事もあり給料が高いのは医者よりもヒーラーである。そのため、年々医者の数が減っている事が問題視されている。────Maoupediaより抜粋
☆ ☆ ☆ ☆
「ロワ!」
試合が終わった後、わしらは医務室へと駆けつける。ロワは傷だらけでベッドに寝かされておった。横におる医者がわしらに会釈する。
「お仲間の方ですか?」
「はいそうです。ところで、ロワの容体は?」
「傷は深くないです。後でヒーラーが来ますから心配ないでしょう」
「良かった……」
医者の言葉を聞いたミエルは安心したように息を吐く。
それを見た医者はカルテを閉じると席を立った。
「では、私は行きます。話は通しておくので彼が目覚めるまで傍に居てあげてください」
「ありがとうございます」
医者が出ていくとミエルはロワの手を握りしめる。
「ねーねー、ノエルが治しちゃダメなの?」
「ならん。ホウリから止められておる」
ボロボロのロワを見て心苦しく思うが、ホウリから治癒系の使用は禁じられておるしヒーラーが来るまでおとなしくしておるしか無い。とはいえ、命に関わる状況では無いみたいじゃな。安心したわい。
「ミエル、わしらはパイナの試合を見てくるがお主はどうする?」
「……私はここに居る」
「分かった。先に行っておるぞ」
わしはノエルの手を取って医務室を出る。
これでホウリが勝たなければわしらは終わりじゃ。まあ、ホウリなら何とかしてくれるじゃろう
☆ ☆ ☆ ☆
わしとノエルは席に戻ってきて戦場へと視線を向ける。戦場ではプラムがマジックを披露しており、観客からの歓声を受けておる。どうやら3回戦は全て終わっておるようじゃな。
さて、解説席はどうなって…………
『話してください!ロワ!今行きますわよ!』
『落ち着けって。医者は命の危険はないって言ってただろ?』
『ロワ!ロワァァァ!』
『いい加減にしろ。さっきの試合中もロワの名前叫んでばっかりで解説してなかっただろうが』
『放しなさい!パパ放しなさい!HA☆NA☆SE』
『はいはい、今日の試合が全部終わるまでは拘束を解かないからな。……これで真面目にやってくれればいいが』
『ロワァァァァ!』
『……とりあえず、音声切っておくか』
ブチッという音と共に解説席の声が完全に聞こえなくなる。ロワが倒れた時からこうなるとは思っておったが、音声を切る事になるとはのう。
心配事が増えながらもプラムのマジックをボーっと眺める。
「そう言えばお姉ちゃん、一つ聞いていい?」
「なんじゃ?」
「ロワお兄ちゃんって遠距離の物理攻撃を無効化できるよね?なんでプラムさんの攻撃を無効化しなかったの?」
「あのトランプは念動力で動いておるからな。厳密には遠距離攻撃ではないんじゃ」
この世界には遠距離攻撃に見えてそうではない攻撃がある。詳しく説明すると時間が掛かってしまうが、自身の意思で操れる攻撃は遠距離ではないと思っておけばよい。無論、例外もあるがのう。
「うーん、あのトランプって結構避けにくいと思うけどお兄ちゃんはどうするのかな?」
「さあのう。今回ばかりは搦手は使えそうにないがどうするつもりなんじゃろうな?」
今回ばかりは戦闘せずに勝つ事は出来ないじゃろう。ホウリの事じゃし考えがある筈じゃが。
「パイナが負けるとは考えにくいが、後がないと思うと中々に気持ちが────わしの後ろを取るとは、命知らずじゃのう、ナップ?」
「す、すみません」
振り返ると慌てて手を引っ込めたナップがおった。ナップは引っ込めた手で額の汗を拭いながら笑う。
「いやあ、流石ですねフランさん」
「あたりまえじゃ、わしを誰だと思っとる?」
「……そういえばフランさんって何者なんですか?」
「一介の冒険者じゃぞ?」
「一介の冒険者はA級パーティーを瞬殺出来ないですよ」
ナップはノエルの席へと座るとノエルの頭をグシャグシャに掻き回す。
「よう、ちびっこ。元気だったか?」
「むー!ノエルはちびっこじゃない!」
「はっはっは、元気そうで何よりだ」
再び頭を掻きまわすナップが嫌なのか、ノエルがわしにしがみ付いてくる。
「お姉ちゃーん」
「これこれ、あまりノエルをいじめるでない」
「すみません、つい」
「それに無理に敬語を使わんでも良いぞ。もう、わしの気を引く必要もないじゃろ?」
「そう……だな。これからは普通に話させてもらおう」
「それでよい。無理は良くないからのう」
ナップは少々無理しているみたいじゃったし、わしも敬語は好かん。無理して続けることも無かろう。
「それで、なんでお主がここにおるんじゃ?」
「チケットが1枚しか手に入らなくてな。公正なるじゃんけんの結果、俺が見に来たわけだ」
「そこにわしらがおった訳じゃな」
という事は他のメンバーはおらんのか。シースがおらんのは助かるのう。
ナップは大きく伸びをすると、わしの傍の弁当に目を付ける。
「フランさん、それ食ってもいいか?」
「よいぞ。いっぱいあるから何個でも食うがよい」
「サンキュー」
ナップは幕の内弁当を開けると凄い勢いで食い始める。余程腹が減っておったようじゃな。
『皆さんお待たせしました!準決勝第一回戦を始めます!』
(わあぁぁぁぁ!)
スピーカーから試合開始の宣言が流れ会場から歓声が上がる。なんとかチフールを抑え込んだみたいじゃな。
『準決勝進出者、まずはこいつだ!マジックには仕掛けがその強さに仕掛けなし!ライチ・チェリモ!』
(わああああああ!)
既に戦場に出ていたプラムがシルクハットを振って歓声に応える。表情は相変わらず笑顔じゃ。
『次はこいつだ!予想外の戦い方で連戦連勝!今大会のダークホース!パイナ!』
(ぶううううう!)
パイナが戦場に姿を表した瞬間、観客から一斉にブーイングが飛んで来る。2回続けての搦手じゃったからな。仕方がないといえよう。
ブーイングの中でナップはマイペースに弁当を頬張る。
「このブーイングの中だとホウリもやり難いだろうな」
「そうじゃな……お主、パイナの正体を知っておるのか?」
ナップが箸を空の弁当箱に入れ手を合わせる。
「事前にあいつから聞いていたんだよ。パイナ名義で出るってな」
「お主に伝えるとは意外じゃな」
「あんな戦い方する奴はあいつ以外にいないだろ?『どうせバレるなら伝えといた方がいい』だとよ」
「それもそうじゃな」
確かにホウリを知っておる奴であれば一発で分かるような戦い方じゃな。
「じゃが、不用意に奴の名前を出すでないぞ?大変な事になるぞ?」
「大変な事ってなんだ?」
「わしが舌を引っこ抜く」
「物理的な制裁!?」
ホウリにとってはかなり重要な事みたいじゃからな。じゃったら仕方ないのう。
わしらがコント紛いのやり取りをしていると、戦場ではプラムがパイナに笑顔で挨拶をしている。また何を話しているか聞いてみるとしよう。
「君の運命を占ってあげよう、このトランプから1枚引いてみてくれないかい?」
「…………」
差し出されたトランプからパイナは無言で1枚引く。それを見たプラムは意地悪そうな笑顔を浮かべる。
「おっと、運が悪いね。試合前にジョーカーを…………え?」
トランプの絵柄を見たパイナの表情が笑顔から驚愕の物へと変わる。パイナの手に握られていたカードはジョーカーではなくダイヤのAだった。
プラムはパイナからトランプを受け取ると表情を笑顔に戻す。
「なるほど、同業という訳か。尚更負けられないな」
「…………」
パイナは何も答えず、自分の立ち位置へと向かう。無視される形になったプラムは肩をすくめて自分の立ち位置へと向かう。
それを見ていたナップは不思議そうに首を傾げる。
「あいつら何してるんだ?」
「プラムがジョーカーを引かせて相手の動揺を誘おうとしたが、パイナにやり返されたんじゃよ」
「随分とくだらない事やってるな」
「本人たちにとっては大真面目なんじゃろ」
2人が立ち位置に付き向かい合う。さて、どういう試合になるかのう?
『それでは、試合開始ぃぃぃぃ!』
(わああああああ!)
試合開始の宣言と同時にプラムが懐から金属製トランプを取り出して周りに展開する。
「早々に決める!いけ!」
複数枚のトランプがパイナに向かって襲い掛かる。
様々な角度から迫ってくるトランプ。誰もがパイナが切り刻まれる様子を想像したじゃろう。じゃが、
(バン!バン!バン!)
「へ?」
全てのトランプに穴が開きコントロールを失ったように落下する。
何が起きたか分からないのかプラムがパイナへと視線を向ける。すると、ローブの一部がめくれパイナの右手に握られている黒光りする武器、ノエルの銃が現れた。
「あれは銃か?」
「よく分かったのう。あれはリボルバーといってのう、弾を6発込められる拳銃じゃ」
この世界では銃は珍しい筈じゃがナップには分かったみたいじゃ。流石A級パーティーのメンバーじゃな。
「銃なんてものどこから持ってきたんだ?」
「ふふん、ノエルがお兄ちゃんに貸したんだよ。すごいでしょ?」
胸を張っているノエルをナップは驚きの表情で見つめる。
「あの銃ってちびっこの物なのか!?なんで子供に銃なんて持たせてるんだ!?」
「ノエルちびっこじゃないもん!」
頬を膨らませているノエルを宥めてナップに説明する。
「護身用にという事で奴が用意してな。それをノエルに与えた訳じゃ」
「でも弾丸って高いんだろ?どうやって用意を……フランさんがいるから問題ないか」
「そういう事じゃ」
正しくはノエルが弾丸を複製し、わしが鑑定で問題ないか確認していたんじゃがな。部外者に詳細を教えなくても良かろう。
「くっ!これならどうだ!」
パイナはトランプの枚数を増やしてホウリへと放つ。さっきとは異なり飛んで来る方向は1か所のみじゃが、枚数は明らかに6枚よりも多い。銃のみで対応することは不可能じゃろう。
迫りくるトランプを銃で撃ち落すパイナ。じゃが、すぐに弾は切れ残りのトランプが迫りくる。
「今度こそ終わりだ!」
パイナを捕えたと思ったのかプラムがニヤリと不敵に笑う。じゃが、
「なぁ!?」
パイナが何かを振るうと大半のトランプが叩き落された。残りのトランプはパイナの体を掠める形で通り過ぎていく。
パイナの左手には黒く輝く長い棒状の武器が握られていた。この武器で自分に当たりそうなトランプだけを叩き落したんじゃな。
「なあ、あれって新月か?」
「そうじゃ。色は変えておるが新月じゃ」
パイナが唯一、相手にダメージを与えられる武器である新月じゃ。色は審判の色でごまかしておるが、正体がホウリと分かっておる奴が見たらバレバレじゃな。じゃが、正体が知られていなければ何か分からぬし、正体が分からぬ分不気味に思うじゃろうな
案の定、プラムは警戒してトランプを放とうとしない。パイナの思うがままじゃな。
動かないと見るとパイナはプラムの元へと走り出す。プラムもこのまま動かないのは悪手と判断したのかトランプを周りに展開する。
パイナはさっきと同じようにトランプを撃ち落そうと銃を構える。すると、プラムがニヤリと笑った。
「かかったな!」
瞬間、何かが下から飛んできてパイナが手にしていた銃が真っ二つに切断された。パイナの頭上へと視線を向けると、1枚のトランプが空に向かって飛んでいくのが見えた。
「はっはっは!さっきの攻撃で地面にトランプを仕込んでおいたんだ!これで銃は使えないな!」
勝ち誇るプラムがパイナに向けて更にトランプを放つ。
それを見たパイナは慌てる様子も無く、懐から2丁目の銃を取り出してトランプを撃ち落とした。こんなこともあろうかと、わしが予備の銃を5丁ほど複製しておいた。パイナ相手に全部破壊できるとは思わぬことじゃな。
「な!?」
銃がもう1丁出てくるとは思わなかったのかプラムの顔から血の気が引く。
「こうなったら!」
プラムが懐をまさぐって金色のカードを手に取る。ロワと戦った時にも使っておったジョーカーじゃ。
「これでもくら……え?」
ジョーカーをパイナに向けて放とうとしたプラムじゃったが、その動きが完全に止まる。
それを見たナップが不思議そうに首を傾げる。
「なんでジョーカーを投げない?ジョーカーだったら簡単に撃ち落されないだろうし、ためらう理由はないと思うんだが?」
「その理由はパイナを見れば分かる」
ナップはわしに言われるがままパイナに視線を向ける。すると、パイナの懐に金色に輝くカードが見えた。
「あれは……ジョーカー!?」
「の複製じゃな」
「なんだ複製か。驚かせやがって」
胸を撫でおろしたナップであったがすぐに首を傾げた。
「あれ?なんで複製を見たプラムはジョーカーを投げないんだ?」
「最初のやり取りの結果じゃよ」
「最初のやり取り?トランプを引いたあれか?あれが何だっていうんだ?」
わしは大きく頷きながら答える。
「パイナがダイヤのAを引いた事によってプラムはパイナがマジシャンだと思っておる」
「ふむふむ」
「自分ほどのマジシャンを欺くほどの腕を思っておる相手が自分の切り札らしきものを持っておる。するとプラムはなんて思う?」
「……なるほど、どこかですり替えられたんじゃないかと思う訳か。だから、すぐには投げられなかった」
「そういうことじゃ」
あの意味が無さそうなやり取りでも、しっかりと仕込みをしておく。流石というかなんというか。
プラムが固まっている隙を見逃さずパイナはジョーカーに向かって発砲する。
(パァン!)
「!?、しまっ────」
パイナの手から離れたジョーカーに向かってパイナは続けざまに発砲する。
(パパパパパァン)
5発もの弾丸を立て続けに受けたジョーカーは真ん中から砕け散る。
「お、俺の切り札が……」
悲痛な表情のプラムに間髪入れずにパイナが迫る。
「う、うわあああああ!」
余程気が動転しておるのか、距離が10mまで迫っているパイナに向かってプラムは全てのトランプを放つ。
「こ、この近さで100枚以上のトランプだ!捌けるもんなら捌いてみろ!」
確かにこの近さで100枚以上のトランプがパイナに迫ってきておる。撃ち落すのも叩き落すのも無理じゃろう。
じゃが、パイナは速度を緩めることなくプラムに迫る。そして、膝を深く曲げると……
「と、飛んだぁぁぁ!?」
靴底からロケットのようなジェット噴射が吹き出し靴を燃やしながらパイナは5メートル以上も飛び上がる。その様子を見たノエルがわしの袖を引っ張ってくる。
「ねーねーお姉ちゃん、もしかしてあれってミエルお姉ちゃんの家でやったもの?」
「そうじゃな、原理はアレと全く同じじゃ」
違う所と言えば、魔道具が禁止されているから科学的な仕組みで飛んでおる事ぐらいか。些細な違いではあるがのう。
パイナは最高地点に到達すると後方に小型の爆弾を投げつけ起爆させる。すると、爆風に押される形でパイナが猛スピードでプラムへと迫る。そして、燃えている片足を突き出すとキックの体勢を取る。
「セイヤァァァァ!」
叫びながら猛スピードで迫りくるパイナにトランプを全て失ったプラムが対抗できる筈もなく、キックを胸に受けてしまう。
「ぐわっ!」
キックをまともに受けたプラムは数メートル後方にある壁へと叩きつけられる。その胸にはパイナの靴底の跡がしっかりと残っておった。
地面を滑りながら着地したパイナはプラムが地面に倒れ伏したことを確認すると、出入り口へと踵を返す。
『プラム・チェリモ選手戦闘不能により、勝者、パイナ選手!』
(わあああああ!)
☆ ☆ ☆ ☆
「うーん……ここは……?」
「ロワ!気が付いたか!」
「僕は試合に負けて?」
「いいんだ。ロワは立派に戦っていたぞ」
「えーっと、記憶が曖昧なんですけど僕はどうやって負けました?」
「なぜそんな事を聞く?」
「ホウリさんから頼まれごとをされてまして。どうでしたか?」
「……ジョーカーでトリシューラの複製を砕かれて、そのまま勝負が決まった」
「よかった、やるべき事は出来たようですね」
「ホウリからは何を頼まれたんだ?」
「1番はプラムさんに勝て、それが出来ない場合は相手のジョーカーにダメージを与えておけと言われました。ジョーカーにダメージを与えられれば壊しやすくなるからだそうです」
「なるほど、ホウリの考えそうな事だ」
「僕は負けてしまいましたが、ホウリさんなら絶対勝ってくれます」
「そうだな。あいつならやってくれる。信じよう」
「……あの、一ついいですか?」
「なんだ?」
「その……手」
「…………あ!その、ちちちがうんだ!寝ている時にコッソリ触ろうなんて思っていた訳では!」
「離さなくていいですよ」
「え?」
「僕も心細いんです。このまま手を握っていてくれませんか?」
「そ、そういう事なら────」
「そこまでですわ!」
「うぃーっす、ロワいるか?」
「父さん!?姉さん!?」
「そこの雌豚!今すぐロワから離れなさい!さもなくば、この弓で射抜きますわよ!」
「お、ロワの彼女か?結婚式には呼んでくれよ?」
「違うから!ミエルさんとはそういうのじゃないから!姉さんも弓を仕舞ってよ!」
「ロワがが弱っている時に付けこむだなんて……、恥を知りなさい!」
「そそそそそんな事していない!ただ、ロワが心配で」
「問答無用!」
「孫は3人は欲しいな。勿論、それ以上でも俺は構わないぞ?」
「ああもう!皆落ち着いてよ!」
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