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第百八十四話 背中痛ぁ!
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「ノエルちゃん、どこのクラブに入るか決まった?」
学校が終わって教科書を鞄に詰めていると、コアコちゃんがウキウキ顔でやってきた。
「クラブ?」
「もしかして決まってないの?」
「コアコちゃんに言われて思い出した」
初日のホームルームに言われてた気がするけど、今まで忘れちゃってた。
「ノエルちゃんって勉強もスポーツも出来るし、色んな人から声掛けられたんじゃない?」
「皆からこのスポーツ楽しいよとか言われたけど、クラブに誘われてはないかな?」
「それって遠回しに誘われてない?」
「そうなの?」
お話したら皆と仲良くなったし、楽しかったってしか思わなかったや。
「ってことは、どのクラブに入るかは決まってないの?」
「うん」
「じゃあさ、私が作るクラブに入らない?」
クラブって作れたんだ。初耳だ。
「どんなクラブを作るの?」
ノエルの質問にコアコちゃんが目を輝かせる。
「私はねオカルト研究クラブを作ろうと思うの!」
「オカルト研究クラブ?」
ホウリお兄ちゃんから少し聞いた気もするけど詳しくは覚えてないや。
「どんなクラブなの?」
「不思議な事を皆で調べるクラブだよ!この学校にある七不思議とか、お化けが出る廃病院とか!夜中に皆で活動とか楽しそうじゃない!?」
ノエルの質問にコアコちゃんが頬を赤くしながら答える。七不思議が好きだって事は知ってたけど、他の不思議な事が好きなのは知らなかった。
いつもの大人しい様子からは想像が出来ないほどに興奮しているコアコちゃん。これはかなり本気みたいだ。
コアコちゃんは一通り話し終わると、肩で息をしながら額に滲んだ汗をぬぐう。
「ふー、疲れた」
「お疲れ様。つまり、皆で不思議な事を調べようって事?」
「そうだよ。試しに入ってみない?他に入りたいクラブがあるなら無理にとは言わないけど……」
コアコちゃんの熱が下がって、もじもじとお腹の前でもじもじと手を絡ませる。
うーん、特に入りたいクラブもないし……。
「面白そう!ノエル入る!」
ノエルが手を上げて宣言すると、コアコちゃんの顔が笑顔になる。
「ありがとうノエルちゃん!」
「早速クラブ活動しようよ。部室はどこ?」
「えっとそれが……」
コアコちゃんが気まずそうに顔を背ける。何かあったのかな?
「コアコちゃん?どうしたの?」
「……実はまだ人数が集まってなくて、クラブの申請が出来ないの」
「何人必要なの?」
「5人」
「何人集まってるの?」
「2人」
「コアコちゃんとノエルだけって事?」
コアコちゃんが無言でうなずく。
「入ってくれそうな人に心当たりはない?」
「うーん、他のクラブに入っていなくて、ノエルたちと一緒にクラブに入ってくれそうな子……」
ノエルの視線が自然にとある方向に向く。そこには荷物をまとめて、そそくさと帰ろうとしているサルミちゃんがいた。
ノエルは魔装を使ってサルミちゃんの背後に素早く近づく。足音と気配を消しているからサルミちゃんはノエルに全く気付いていない。
気付かれない内にノエルは一気にサルミちゃんの目を塞ぐ。
「だーれだ」
「ひゃ!?」
いきなり視界が塞がれて、サルミちゃんが悲鳴を上げる。
だけど、ノエルの声を聞いて安心したのか、ノエルの手を無理やり引きはがしにかかる。
「ノエル、こんなくだらない事してないで、さっさと帰り……って力強っ!?」
「ふっふっふ、サルミちゃん、ノエルと来てもらおうか」
「嫌よ!あたしは帰ってから勉強するの!」
「そういう事ならノエルの話を聞いても良いんじゃない?多分力になれるよ?」
「どういう意味よ?」
「詳しくはノエルの席で話そっか」
ノエルはサルミちゃんの視界を塞いだまま、ノエルの席まで連行する。
使ってない椅子を持ってきてサルミちゃんを座らせたところで、ノエルは手を離す。
サルミちゃんはぶすっとした顔で頬杖を突くとノエルを睨みつけてくる。
「で、話ってなによ」
「コアコちゃんがね、オカルト研究クラブを作りたいんだって」
「私に入れって言いたい訳?」
「うん!」
「帰るわね」
腰を上げたサルミちゃんの手をノエルは掴む。
「なによ、早く帰って勉強したいのよ」
「ちょっと待って!その判断は全部話を聞いてからでも遅くないよ!」
「そんな事言われても……痛い痛い痛い!分かった!分かったから力を緩めなさい!」
ノエルはサルミちゃんの手から手を離す。必死だったから力が入りすぎちゃった。反省反省。
ノエルはアイテムボックスからポーションを取り出してサルミちゃんに渡す。
「ごめんね。はい、ポーション」
「これ位なら自分で治せるし別にいいわよ」
サルミちゃんは赤く腫れた手にヒールをかける。サルミちゃんは軽い回復スキルが使えるみたいで、擦り傷とか軽い捻挫だったら自分で治せるんだって。
ノエルもセイントヒールが使えるんだけど、神の使いだってバレちゃうと悪い人がいっぱい来ちゃうってホウリお兄ちゃんが言ってた。
絶対に他の人に話しちゃいけない訳じゃないんだけど、今は話さない方がいいと思う。だから、魔装もこっそり使うようにしてるんだ。
サルミちゃんが治している間にノエルは話を続ける。
「あのね、新しいクラブ活動を作るには5人必要なんだって」
「知ってるわよ。知らないのはあんたくらいじゃないの?」
「の、ノエルだって知ってたし!」
「あんた、嘘吐くのだけ下手よね」
「な、何のことかな?」
「あはは、ちょっと話がそれてないかな?」
「あ、そうだった」
コアコちゃんに指摘されて、話を元に戻す。
「で、サルミちゃんにはオカルト研究クラブに入ってもらいたいの」
「私に何かメリットはある訳?」
「勿論!サルミちゃんって勉強がしたいんでしょ?」
「したい訳じゃないわよ。やらないといけないかやってるだけ」
「オカルト研究クラブが出来たら部室でやればいいんだよ!そしたら静かに勉強できるでしょ?ノエルも分かる所は教えるからさ!」
「……案外良い条件ね?」
サルミちゃんが顎に手を当てて考え出す。
お?これは好感触じゃないかな?ここで畳みかけて「げんち」を取ろう!
「活動もちょっと参加するだけでいいし、用事があるなら帰ってもいいし」
「……確かに家だとパパがうるさいし、良いかもしれないわね」(ぼそっ)
「え?」
「何でもないわ。そういう事なら入ってあげる」
「ありがと!」
「別にお礼いわれる言われるような事じゃ……って抱きつかないでよ!」
嬉しさのあまりサルミちゃんに抱き着く。
「あんた抱き着き癖なんとかしなさい!……って痛い痛い痛い!こんな細身のどこにこんなバカ力があるのよ!」
「あ、ごめん」
思わずちょっと魔装しちゃった。危ない危ない。
「全く、気を付けなさいよ」
「えへへへ」
抱き着くのをやめると、サルミちゃんが全身を回復し始める。
「ポーションいる?」
「もらうわ」
サルミちゃんが貰ったポーションを一気に飲み干す。
「ふー、落ち着いたわね」
空き瓶を机に置くサルミちゃん。そんなサルミちゃんにコアコちゃんが恐る恐る手を差し出す。
「これからよろしくお願いします。キンツさん」
「サルミで良いわよ。あと、パパが憲兵長だからって敬語使わなくていいわよ」
「わ、分かったよ。サルミちゃん。よろしくね」
「よろしく」
サルミちゃんとコアコちゃんが固く握手する。コアコちゃんはちょっと緊張しているみたいだけど、仲良くなれるといいな。
「で、3人集まった訳だけど残りの2人に心当たりはあるの?」
「1人はあるよ」
「誰?」
「今は図書館にいるんじゃないかな?皆で行こう」
「え、ちょっと」
「待ちなさいノエル」
2人をつれて図書館まで走る。
図書館までの道のりを2分で駆け抜け、扉を勢いよく開く。
「たのもー!」
「図書館で叫ぶな。ぶん殴るぞ?」
カウンターに座っている上級生の人に睨まれる。
「ごめんなさい」
「次はないからな?」
上級生の人が手に持っている本に視線を向ける。
「あんた何叫んでるのよ」
「はぁはぁ、ノエルちゃん早いよ~」
2人が後ろから追いついてくる。
サルミちゃんは呆れたようにため息を吐き、コアコちゃんは苦笑いしながらズレている丸眼鏡を直す。
「図書館では静かにしないとダメだよ?」
「ごめんなさい……」
「それよりも、勧誘でしょ。どこの誰よ」
「いつもなら窓際の席にいるんだけど……」
図書館の奥まで入って探す。いつもだったらこの辺りに……いた!
ノエルはお目当ての子を見つけて駆け寄る。
『マカダ君!』
『……ノエル?』
日の光を浴びながら本を読んでいるマカダ君に声をかける。
『今日もお日様が気持ちいいね。人語の勉強してるの?』
『ああ。いつまでもノエルに頼ってられないからな』
さすがマカダ君、勉強熱心だなぁ。
「ノエル、もしかしてマカダを誘うの?」
「そうだよ。前にクラブに入ってないって言ってたから丁度いいかなって思って」
「でも、マカダさんって人語離せないよね?」
「そうだけど、ノエルが翻訳するし大丈夫でしょ。マカダ君だって勉強してるんだし、喋れるようになるでしょ」
「あんたね、同じクラブに言語が通じない人がいるのは不安なのよ」
「マカダ君だって私達と一緒で不安じゃないかな?」
「それはマカダ君自身に聞かないと分からないでしょ」
入るかどうかも本人に聞かないと分からない。ノエルたちで決めちゃダメだ。
何が起こっているか分からないという顔のマカダ君。そんなマカダ君に向き直ってノエルは口を開く。
『ねぇねぇ、マカダ君』
『なんだ?また勉強を見てくれるのか?』
『今日は勉強じゃなくて、お話しにきたの』
『話?』
『うん、これからオカルト研究会っていうクラブを作りたいんだけど、マカダ君も入らないかなって思って』
『オカルト研究会?』
ノエルはオカルト研究会の説明をする。といっても、さっきコアコちゃんに聞いたことを伝えるだけなんだけどね。
『……って事なんだけど』
『この学校ってクラブ活動あったのか』
『ノエルも今日知ったんだ』
『そうだったのか。ノエルは入っているのか?』
『うん!ノエルも入っているよ!』
『そうだな……』
マカダ君が考え込む。やっぱり人国の人とクラブ活動はしたくないのかな?
『ダメだったら大丈夫だよ?他の人に頼んでみるから……』
『入ってもいいぜ』
『本当!?』
『ああ。ただし、部室で人語教えてくれよ?』
『勿論!』
『ちなみに、他の男はいるのか?』
『今の所、私達だけだよ?』
『そうか』
マカダ君が机の下で小さくガッツポーズをする。クラブに入れて嬉しいみたいで何よりだ。
「マカダ君入ってくれるって!」
「本当!?」
「どんな話をしたのよ」
「普通にお話しただけだよ?」
「ちゃんと説明した?」
「コアコちゃんに言われた事をそのまま伝えたよ?」
「本当かしら?」
「本当だよー」
疑わし気な目をするサルミちゃん。
とはいえ、これで4人。この調子であと一人集めちゃおう。
学校が終わって教科書を鞄に詰めていると、コアコちゃんがウキウキ顔でやってきた。
「クラブ?」
「もしかして決まってないの?」
「コアコちゃんに言われて思い出した」
初日のホームルームに言われてた気がするけど、今まで忘れちゃってた。
「ノエルちゃんって勉強もスポーツも出来るし、色んな人から声掛けられたんじゃない?」
「皆からこのスポーツ楽しいよとか言われたけど、クラブに誘われてはないかな?」
「それって遠回しに誘われてない?」
「そうなの?」
お話したら皆と仲良くなったし、楽しかったってしか思わなかったや。
「ってことは、どのクラブに入るかは決まってないの?」
「うん」
「じゃあさ、私が作るクラブに入らない?」
クラブって作れたんだ。初耳だ。
「どんなクラブを作るの?」
ノエルの質問にコアコちゃんが目を輝かせる。
「私はねオカルト研究クラブを作ろうと思うの!」
「オカルト研究クラブ?」
ホウリお兄ちゃんから少し聞いた気もするけど詳しくは覚えてないや。
「どんなクラブなの?」
「不思議な事を皆で調べるクラブだよ!この学校にある七不思議とか、お化けが出る廃病院とか!夜中に皆で活動とか楽しそうじゃない!?」
ノエルの質問にコアコちゃんが頬を赤くしながら答える。七不思議が好きだって事は知ってたけど、他の不思議な事が好きなのは知らなかった。
いつもの大人しい様子からは想像が出来ないほどに興奮しているコアコちゃん。これはかなり本気みたいだ。
コアコちゃんは一通り話し終わると、肩で息をしながら額に滲んだ汗をぬぐう。
「ふー、疲れた」
「お疲れ様。つまり、皆で不思議な事を調べようって事?」
「そうだよ。試しに入ってみない?他に入りたいクラブがあるなら無理にとは言わないけど……」
コアコちゃんの熱が下がって、もじもじとお腹の前でもじもじと手を絡ませる。
うーん、特に入りたいクラブもないし……。
「面白そう!ノエル入る!」
ノエルが手を上げて宣言すると、コアコちゃんの顔が笑顔になる。
「ありがとうノエルちゃん!」
「早速クラブ活動しようよ。部室はどこ?」
「えっとそれが……」
コアコちゃんが気まずそうに顔を背ける。何かあったのかな?
「コアコちゃん?どうしたの?」
「……実はまだ人数が集まってなくて、クラブの申請が出来ないの」
「何人必要なの?」
「5人」
「何人集まってるの?」
「2人」
「コアコちゃんとノエルだけって事?」
コアコちゃんが無言でうなずく。
「入ってくれそうな人に心当たりはない?」
「うーん、他のクラブに入っていなくて、ノエルたちと一緒にクラブに入ってくれそうな子……」
ノエルの視線が自然にとある方向に向く。そこには荷物をまとめて、そそくさと帰ろうとしているサルミちゃんがいた。
ノエルは魔装を使ってサルミちゃんの背後に素早く近づく。足音と気配を消しているからサルミちゃんはノエルに全く気付いていない。
気付かれない内にノエルは一気にサルミちゃんの目を塞ぐ。
「だーれだ」
「ひゃ!?」
いきなり視界が塞がれて、サルミちゃんが悲鳴を上げる。
だけど、ノエルの声を聞いて安心したのか、ノエルの手を無理やり引きはがしにかかる。
「ノエル、こんなくだらない事してないで、さっさと帰り……って力強っ!?」
「ふっふっふ、サルミちゃん、ノエルと来てもらおうか」
「嫌よ!あたしは帰ってから勉強するの!」
「そういう事ならノエルの話を聞いても良いんじゃない?多分力になれるよ?」
「どういう意味よ?」
「詳しくはノエルの席で話そっか」
ノエルはサルミちゃんの視界を塞いだまま、ノエルの席まで連行する。
使ってない椅子を持ってきてサルミちゃんを座らせたところで、ノエルは手を離す。
サルミちゃんはぶすっとした顔で頬杖を突くとノエルを睨みつけてくる。
「で、話ってなによ」
「コアコちゃんがね、オカルト研究クラブを作りたいんだって」
「私に入れって言いたい訳?」
「うん!」
「帰るわね」
腰を上げたサルミちゃんの手をノエルは掴む。
「なによ、早く帰って勉強したいのよ」
「ちょっと待って!その判断は全部話を聞いてからでも遅くないよ!」
「そんな事言われても……痛い痛い痛い!分かった!分かったから力を緩めなさい!」
ノエルはサルミちゃんの手から手を離す。必死だったから力が入りすぎちゃった。反省反省。
ノエルはアイテムボックスからポーションを取り出してサルミちゃんに渡す。
「ごめんね。はい、ポーション」
「これ位なら自分で治せるし別にいいわよ」
サルミちゃんは赤く腫れた手にヒールをかける。サルミちゃんは軽い回復スキルが使えるみたいで、擦り傷とか軽い捻挫だったら自分で治せるんだって。
ノエルもセイントヒールが使えるんだけど、神の使いだってバレちゃうと悪い人がいっぱい来ちゃうってホウリお兄ちゃんが言ってた。
絶対に他の人に話しちゃいけない訳じゃないんだけど、今は話さない方がいいと思う。だから、魔装もこっそり使うようにしてるんだ。
サルミちゃんが治している間にノエルは話を続ける。
「あのね、新しいクラブ活動を作るには5人必要なんだって」
「知ってるわよ。知らないのはあんたくらいじゃないの?」
「の、ノエルだって知ってたし!」
「あんた、嘘吐くのだけ下手よね」
「な、何のことかな?」
「あはは、ちょっと話がそれてないかな?」
「あ、そうだった」
コアコちゃんに指摘されて、話を元に戻す。
「で、サルミちゃんにはオカルト研究クラブに入ってもらいたいの」
「私に何かメリットはある訳?」
「勿論!サルミちゃんって勉強がしたいんでしょ?」
「したい訳じゃないわよ。やらないといけないかやってるだけ」
「オカルト研究クラブが出来たら部室でやればいいんだよ!そしたら静かに勉強できるでしょ?ノエルも分かる所は教えるからさ!」
「……案外良い条件ね?」
サルミちゃんが顎に手を当てて考え出す。
お?これは好感触じゃないかな?ここで畳みかけて「げんち」を取ろう!
「活動もちょっと参加するだけでいいし、用事があるなら帰ってもいいし」
「……確かに家だとパパがうるさいし、良いかもしれないわね」(ぼそっ)
「え?」
「何でもないわ。そういう事なら入ってあげる」
「ありがと!」
「別にお礼いわれる言われるような事じゃ……って抱きつかないでよ!」
嬉しさのあまりサルミちゃんに抱き着く。
「あんた抱き着き癖なんとかしなさい!……って痛い痛い痛い!こんな細身のどこにこんなバカ力があるのよ!」
「あ、ごめん」
思わずちょっと魔装しちゃった。危ない危ない。
「全く、気を付けなさいよ」
「えへへへ」
抱き着くのをやめると、サルミちゃんが全身を回復し始める。
「ポーションいる?」
「もらうわ」
サルミちゃんが貰ったポーションを一気に飲み干す。
「ふー、落ち着いたわね」
空き瓶を机に置くサルミちゃん。そんなサルミちゃんにコアコちゃんが恐る恐る手を差し出す。
「これからよろしくお願いします。キンツさん」
「サルミで良いわよ。あと、パパが憲兵長だからって敬語使わなくていいわよ」
「わ、分かったよ。サルミちゃん。よろしくね」
「よろしく」
サルミちゃんとコアコちゃんが固く握手する。コアコちゃんはちょっと緊張しているみたいだけど、仲良くなれるといいな。
「で、3人集まった訳だけど残りの2人に心当たりはあるの?」
「1人はあるよ」
「誰?」
「今は図書館にいるんじゃないかな?皆で行こう」
「え、ちょっと」
「待ちなさいノエル」
2人をつれて図書館まで走る。
図書館までの道のりを2分で駆け抜け、扉を勢いよく開く。
「たのもー!」
「図書館で叫ぶな。ぶん殴るぞ?」
カウンターに座っている上級生の人に睨まれる。
「ごめんなさい」
「次はないからな?」
上級生の人が手に持っている本に視線を向ける。
「あんた何叫んでるのよ」
「はぁはぁ、ノエルちゃん早いよ~」
2人が後ろから追いついてくる。
サルミちゃんは呆れたようにため息を吐き、コアコちゃんは苦笑いしながらズレている丸眼鏡を直す。
「図書館では静かにしないとダメだよ?」
「ごめんなさい……」
「それよりも、勧誘でしょ。どこの誰よ」
「いつもなら窓際の席にいるんだけど……」
図書館の奥まで入って探す。いつもだったらこの辺りに……いた!
ノエルはお目当ての子を見つけて駆け寄る。
『マカダ君!』
『……ノエル?』
日の光を浴びながら本を読んでいるマカダ君に声をかける。
『今日もお日様が気持ちいいね。人語の勉強してるの?』
『ああ。いつまでもノエルに頼ってられないからな』
さすがマカダ君、勉強熱心だなぁ。
「ノエル、もしかしてマカダを誘うの?」
「そうだよ。前にクラブに入ってないって言ってたから丁度いいかなって思って」
「でも、マカダさんって人語離せないよね?」
「そうだけど、ノエルが翻訳するし大丈夫でしょ。マカダ君だって勉強してるんだし、喋れるようになるでしょ」
「あんたね、同じクラブに言語が通じない人がいるのは不安なのよ」
「マカダ君だって私達と一緒で不安じゃないかな?」
「それはマカダ君自身に聞かないと分からないでしょ」
入るかどうかも本人に聞かないと分からない。ノエルたちで決めちゃダメだ。
何が起こっているか分からないという顔のマカダ君。そんなマカダ君に向き直ってノエルは口を開く。
『ねぇねぇ、マカダ君』
『なんだ?また勉強を見てくれるのか?』
『今日は勉強じゃなくて、お話しにきたの』
『話?』
『うん、これからオカルト研究会っていうクラブを作りたいんだけど、マカダ君も入らないかなって思って』
『オカルト研究会?』
ノエルはオカルト研究会の説明をする。といっても、さっきコアコちゃんに聞いたことを伝えるだけなんだけどね。
『……って事なんだけど』
『この学校ってクラブ活動あったのか』
『ノエルも今日知ったんだ』
『そうだったのか。ノエルは入っているのか?』
『うん!ノエルも入っているよ!』
『そうだな……』
マカダ君が考え込む。やっぱり人国の人とクラブ活動はしたくないのかな?
『ダメだったら大丈夫だよ?他の人に頼んでみるから……』
『入ってもいいぜ』
『本当!?』
『ああ。ただし、部室で人語教えてくれよ?』
『勿論!』
『ちなみに、他の男はいるのか?』
『今の所、私達だけだよ?』
『そうか』
マカダ君が机の下で小さくガッツポーズをする。クラブに入れて嬉しいみたいで何よりだ。
「マカダ君入ってくれるって!」
「本当!?」
「どんな話をしたのよ」
「普通にお話しただけだよ?」
「ちゃんと説明した?」
「コアコちゃんに言われた事をそのまま伝えたよ?」
「本当かしら?」
「本当だよー」
疑わし気な目をするサルミちゃん。
とはいえ、これで4人。この調子であと一人集めちゃおう。
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