魔王から学ぶ魔王の倒し方

唯野bitter

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第二百二十二話 ハルトオオオオオオオオオ!

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 何日か歩いて、ようやく僕たちはゴブリンの討伐地である森の前まで来ました。
 ゴブリンは繁殖力が強いので定期的に討滅をしないと、近くの村とかが襲われてしまう。だから、騎士団は定期的に各地のゴブリンを殲滅している訳だ。
 ミエルさんは森の前にたどり着くと、荷物を置いて鋭く声を飛ばす。
 

「ここをキャンプ地とする!準備完了後にすぐに出発だ!」
「「「はっ!」」」


 ミエルさんの声を聞いた皆さんがテントを立て始める。
 ここを拠点としてゴブリンの討伐を始めるのだろう。僕も持ってきた武器や手入れ道具を取り出して、すぐに使える状態にする。
 僕も弓を取り出して矢筒を背負う。エンチャントの矢も用意してあるし、準備万端だ。


「これでよしっと」
「準備できたか?」


 全て出し終えると、後ろからケット先輩が話しかけて来た。


「出来ましたよ」
「じゃあ行くか」


 ケット先輩は剣を腰に釣って森の方へと向く。
 ケット先輩、かなり険しい顔をしている。これから討伐が始まる。流石のケット先輩も真剣なんだろう。
 ミエルさんも更に険しい表情になっている。たかがゴブリンと侮る人はいないみたいだ。
 


「それでは出発する。気を引き締めていけ!」
「「「はい!」」」


 そういう訳で、僕たちは森の中へ入っていった。
 まずは探知スキルが使える人がゴブリンを探知して、皆で討伐。ミエルさんは前衛で攻撃を引き受けて、僕は後衛で皆さんの援護。ちなみに、ケット先輩は剣士だから前衛、リン先輩は魔法使いだから後衛だ。
 皆さんかなり強いですし、ゴブリン程度なら楽勝でしょう。まあ、何が起こるか分からない以上、油断する人はいませんけどね。
 森に入って警戒しながら歩くこと1時間、まだゴブリンは見つからない。


「少し休憩にする。見張りの者は周りを警戒しろ」
「「「はっ!」」」


 見張りの人たちは森の奥へと消えていった。森のような見晴らしの悪い所では、平地の時よりも集中力を使うから、短い時間に休憩を取る。じゃないと、もしもの時に動けないしね。
 僕の見張りは次だから今はゆっくりと休もう。


「トドール、ゴブリンの気配はあるか?」
「探知できる100mの中には無いですね」
「そうか」


 ミエルさんは探知スキルが使える一人であるトドールさんと話している。
 確認とかも大事だけど、これだとミエルさんが休めないんじゃないかな?


「ミエルさん、はやる気持ちも分かりますけど、休んだ方が良いですよ?」
「……そうだな。悪いロワ」
「悪いと思っているんだったら休んでください」
「分かった」


 ミエルさんは木にもたれかかって瞼を下ろす。
 瞬間、言いようもない嫌な気配を森の奥から感じた。僕とミエルさんは咄嗟に森の奥に視線を向ける。


「ど、どうしたんですか?」
「何かがいます。多分、かなり強い魔物だと思います」
「え?でも探知スキルには何も引っかかってないですよ?」
「だとしたら探知範囲の外からの気配です」
「気のせいでは?」
「それはありえません」


 僕とミエルさんは普段から気配を感じ取る訓練をしている。と言っても、危険な魔物とかの気配をなんとなく感じとれるくらいで、細かい距離とかは分からないんだけど。


「ミエルさん、どうします?」
「…………」
「ミエルさん?」


 返事が無いことを不審に思ってミエルさんに視線を向ける。すると、ミエルさんは額から脂汗を流しながら震えていた。


「どうしたんですか?」
「……奴だ」
「奴?」
「私の隊を壊滅させた相手、コマンドデーモンだ」


 ガチガチと歯を鳴らしながらミエルさんが答える。
 そうか、一度戦った相手だから気配だけで分かるんだ。でも、トラウマを作ったコマンドデーモンが相手だなんて、かなりついていない。


「大丈夫ですか?」
「……ああ。隊長の私が震えている訳にはいかない」


 ミエルさんは目に光を宿し立ち上がる。改めて思うけどミエルさんは強い人だ。


「トドール、探知範囲はどれだけ広げられる?」
「一瞬だけでしたら1㎞までは可能です」
「やってくれ」
「わかりました」


 トドールさんが目を瞑って集中する。そして、大きく目を見開いた。


「探知範囲にギリギリ引っかかりました。隊長の言う通り、コマンドデーモンです」
「1㎞か。こちらに気付いていないのであれば良いのだが……」
「確実に見つかってますよ」


 僕の言葉にミエルさんが頷く。気配が少しずつ大きくなってる。確実にこちらに気付いて接近しているだろう。


「どうします?」
「まずは全員を集める。バラバラになっては各個撃破されるからな。トドール、念話持ちの者に集合の連絡を取らせてくれ」
「分かりました。伝えてきます」


 トドールさんが力強く頷いて向こうに消える。


「逃げるんですか?」
「いや、奴はステータスがかなり高い。森を出る前に確実に追いつかれる」
「それは不味いですね」


 コマンドデーモンは騎士団全体で討伐に当たるくらいの大物だ。今回は魔物対策部署の半分しか連れてきていないから、勝てるか怪しい。


「トリシューラはあるか?」
「複製はありますが、本体は持ってきてないです」


 1本1億の矢をゴブリン討伐に持ってくる勇気はなかった。こんな事なら1本くらいは持ってくるんだった。


「トリシューラがあれば楽だったんだが、なければ仕方ない」
「ちなみに前回はどうやって倒したんですか?」
「コマンドデーモンはHPが低くなると攻撃力が上がる。高め切った攻撃力をプロフェクションガードで受けて、ダブルアップで倍にして返した」
「ミエルさんの必殺コンボですね」


 タイミングがかなりシビアだけど、相手の攻撃が強いほど威力を発揮するコンボだ。ミエルさんにリスクを押し付けてしまうが、今回も頼るしかない。


「敵はあとどれくらいで来ますか?」
「早ければ5分で接敵だ。今のうちに戦闘準備を整えてくれ」
「分かりました」


 僕はアイテムボックスから威力の高い矢を選んで、矢筒の矢と取り換える。
 すると、リン先輩が心配そうな表情でやってきた。


「ロワ君、コマンドデーモンが来るんだって?」
「はい。頑張って生き残りましょう」
「初めての遠征の相手がコマンドデーモンだなんて、ツイてないね」
「ははは……」


 僕は曖昧に笑う。領主から目を付けられる以上の不運があるとは思ってなかった。
 いつもフランさんと戦ってるから、全く歯が立たない事はないと思う。けど、僕の防御力だと掠っただけでも致命傷になりそうだ。気を付けて戦わないと。
 息を大きく吐いて精神を統一する。ミエルさんが止めを刺せるまで僕らがHPを削らないといけない。
 ミエルさんにはMPを温存してもらう必要があるし、気張らないとね。


「全員集合!」


 準備を終えると、ミエルさんの鋭い声が飛んできた。僕たちはすぐに一列に並ぶ。


「伝えた通り、コマンドデーモンが接近している!知っている者もいると思うが、以前の対決ではコマンドデーモンで部隊が壊滅させられたことがある!だが、今回は前回以上の戦力だ!必ず全員生きてコマンドデーモンを倒すぞ!」
「「「おおおおおお!」」」


 僕らの叫び声が森中に木霊する。すると、奥の草むらがガサガサと不自然に揺れ出した。


「全員、戦闘態勢!」


 ミエルさんの号令で皆が武器を構える。僕も矢を引き絞って草むらに狙いをつける。
 草むらの揺れは大きくなり、木々をなぎ倒しながらそいつは姿を現した。
 5mくらいはある真っ黒で巨漢に大きな角。口には鋭い牙があり腕は丸太のように太い。間違いない、コマンドデーモンだ。
 今まで戦っていた魔物が雑魚に見えるほどの威圧感。間違いなく強い。
 ミエルさんは大剣をデーモンコマンド向けて叫ぶ。


「かかれぇぇぇぇ!」
「「「「うおおおおおおお!」」」」


 ミエルさんの号令で無数の矢や魔法が飛んでいく。


「ぐおおおおおおお!」


 コマンドデーモンは腕を一振りするだけで、全ての矢と魔法を弾き飛ばす。
 あれだけの攻撃で無傷!?これは温存とか考えている余裕はない!最初から全力で行かないと!
 僕はトリシューラの複製を引き絞ってMPを込める。


「後衛は一か所に固まれ!前衛はコマンドデーモンの周りを囲んで翻弄しろ!」
「ぐがあああああ!」


 コマンドデーモンは大声を出した、ミエルさんにターゲットを定めて殴り掛かる。


「ヘビーウェイト!」


 ミエルさんは体を重くして、コマンドデーモンの拳を盾で受ける。


「ぐううう……」


 拳を受け止めたミエルさんが低く呻く。
 流石のミエルさんでもコマンドデーモンの拳は防ぎきれないんだ。だけど、ここで焦って攻撃してはいけない。中途半端な攻撃では、コマンドデーモンのターゲットがこちらに向かってしまう。
 皆も分かっているのか、MPを必死に込めている。ここは耐えるんだ。


「オラオラ!こっちを見やがれ!」


 ケット先輩がそこら中を動き回りながら、コマンドデーモンを切りつけている。ダメージはそこまででもないけど、コマンドデーモンの注意はケット先輩に向いた。


「ぐおらぁ!」
「おっと危ない」


 コマンドデーモンの拳をケット先輩は紙一重で躱す。それどころか、カウンターで殴ってきた腕を切りつけている。


「前にボコボコにされてから速さに磨きをかけた!もうお前の攻撃は当たらねえよ!」
「ぐあああ!」


 ケット先輩は速さだけなら騎士団で一番だ。いくらコマンドデーモンでも攻撃を当てるのは一苦労だろう。
 頭に血が上ったコマンドデーモンは完全に狙いをケット先輩に向ける。すると、ケット先輩の目がキラリと光った。


「ボンファン!」
「くらえええええ!」


 コマンドデーモンの死角からボンファンさんのハンマーが炸裂する。
 ケット先輩に注意を向けていたコマンドデーモンはもろにハンマーを受け、体勢がのけぞる。ケット先輩がその隙にコマンドデーモンの懐に潜り込んだ。


「俺は速さだけじゃないんだよ!」


 ケット先輩が光り輝く剣で突きを繰り出す。


「クレイスタッブ!」
「ぐわあああ!」


 ケット先輩の突きでコマンドデーモンの体勢が完全に崩れる。
 突きの威力を高めるクレイスタッブ。ケット先輩が使えば、巨大な岩でさえ大穴を開けるほどの威力だ。
 だが、もろに受けたコマンドデーモンはまだ倒れそうにない。


「くそっ、MPを全部使っての攻撃だったんだがな!」
「ケットは下がってMPを回復しろ!他の者でなんとか食い止める!」
「了解!」


 ケット先輩は僕らよりも後ろに下がってMPポーションを呷る。ケット先輩のおかげでかなりの時間が稼げた。これなら!


「後衛、全員準備完了であります!」
「よし、撃て!」


 ミエルさんの号令で全員が込めていたMPを解放する。


「劣化トリシューラ!」
「炎の渦!」
「フレイムアロー!」
「アクアアロー!」
雷の神槍ライトジャベリン!」
千の手裏剣サウザンドスリケン!」


 全員の全力がコマンドデーモンに殺到する。躱す余裕のないコマンドデーモン全ての攻撃をまともに受ける。


「ぐあああああ!」


 流石のコマンドデーモンでも無傷とはいかないのか、血が流れる。そこに前衛の人達が必殺技で畳みかける。


「ロッククラッシュ!」
「柔骨!」
「真・覇王斬!」
「スピニングブレイク!」
「豪連弾!」
「ぐおおおお!」


 槍、剣、ハンマー、様々な武器の攻撃でコマンドデーモンのダメージが更に蓄積されていく。
 これだけの攻撃を受ければドラゴンでさえ無事では済まない。だが、コマンドデーモンは更に闘志を燃やして叫ぶ。


「ぐわああああああああああああ!」
「こ、これだけの攻撃を叩きこんで倒れないのか」
「皆よくやった!あとは私が!」


 ミエルさんは盾を投げ捨ててコマンドデーモンに向かっていく。


「挑発!」
「ぐお!?」


 挑発のスキルで強制的に自分自身をターゲットにする。デーモンコマンドはミエルさんに向かって大きく振りかぶる。


「ぐおおおおおお!」
「来い!」


 巨大な腕がミエルさんに向かって振り下ろされる。ミエルさんは避けずにそのまま腕を受ける。瞬間、


「プロフェクションガード!」


 ミエルさんの体が虹色のオーラで包まれ、コマンドデーモンの攻撃を受けきる。



「これで終わりだぁぁぁぁぁ!」


 コマンドデーモンの懐に潜り込んだミエルさんは大剣で切り上げる。


「ダブルアップ!」


 虹色のオーラ大剣に移り、コマンドデーモンに炸裂する。


「ぜりゃあああああああ!」
「ぐうううあああああああああああああ!!!」


 苦しそうに叫ぶコマンドデーモンを大剣が真っ二つに切り裂く。そして、コマンドデーモンは光の粒となり天に昇って行った。


「はぁ……はぁ……」


 ミエルさんが力を抜いて大剣を地面に刺して杖替わりにする。
 瞬間、皆さんが大きな歓声を上げました。


「か、勝ったあああ!」
「ッシャアアアアア!」


 あまりの嬉しさから、それぞれで健闘を讃えている。


「おいロワ!やったな!」
「そうね!初めての実践とは思えなかったわ!」


 ケット先輩が肩を組んできて、リン先輩が頭をグシャグシャと撫でて来る。


「一時はどうなるかって思ったが、なんとかなったな」
「そうね。特訓しておいてよかったわ~」
「……だです」
「え?なんて?」
「まだです!皆さん、まだ終わってません!」


 僕の叫びに皆さんが固まる。
 ミエルさんも気付いているのか、力なく立ち上がって大剣を地面から引き抜く。
 そして、草むらが再びガサガサと揺れ出した。


「おいおい嘘だろ!?」


 皆の顔から高揚か消え、絶望へと変わっていく。
 草むらからデーモンコマンドが現れた。
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