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第二百七十一話 アナタノコトガトゥキダカラァ
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「あの!ノエルちゃん!」
放課後、帰ろうと教科書を鞄に入れていると、突然話しかけられた。
ちょっと気弱そうに手を後ろに回しているこの子は「シュラ・チュイル」君。ノエルのクラスメイトだ。
オカルト研究クラブの皆ほどじゃないけど、放課後に遊ぶくらい仲が良い。
「どうしたの?ノエルに何か用?」
「あの……えっと……」
言葉を濁しながら、もじもじとするチュイル君。ノエルは急かさずに、言葉の続きを待つ。
「えっと……これ!」
チュイル君が意を決したように、何かを差し出してきた。これは、便箋に入ったお手紙?
「これって?」
「の、ノエルちゃんへのお手紙。家で一人で読んでね」
「分かった。ノエルもお手紙でお返事するね」
「そ、それじゃ!」
チュイル君が逃げるように教室を出ていった。
ノエルは貰った手紙をじっくりと見てみる。封は可愛いハートのシールだ。後ろには「シュラ・チュイルより」って書いてある。
お手紙貰ったのは初めてだ。内容が気になるけど、約束もしたし今は仕舞っておこう。
「ノエル?何持ってるの?」
「あ、サルミちゃん」
サルミちゃんがいつもみたいに、ノエルの席にやってきた。視線は仕舞おうとしている手紙に注がれている。
「チュイル君からお手紙を貰ったんだ」
「へぇー、見せて」
「ダメだよ。内容はノエルとチュイル君の秘密なんだから」
「別に手紙を見せて欲しい訳じゃないわよ。便箋だけ見せなさい」
「それなら良いかな?」
サルミちゃんに便箋を渡すと、注意深く表と裏を観察し始めた。
そして、何かに気が付いたのか、顔を顰めながら便箋を返してきた。
「あんた、これどんな手紙か聞いてる?」
「聞いてないよ」
「はぁ、どうしようかしら……」
「何が書いてあるか分かったの?」
「ええ。多分、それはラブレターよ」
「え?」
らぶれたー?告白の時に渡すお手紙のことかな?
ノエルが首を捻っていると、サルミちゃんが頭を押えた。
「面倒なことになったわね」
「なんで?好きですって言われたからお返事するだけでしょ?」
「私が知っておいて良かったわ。あんただけじゃ、無神経に答えて傷つけるだけよ」
「そ、そんなことないもん」
「じゃあ、なんて答えるのかしら?」
「えーっと……」
告白された時の返事でしょ。それなら……
「よろしくお願いします?」
「バカ!好きでもない奴の告白に応じるんじゃないわよ!」
「でも、傷つけないんなら、オッケーって言えば良いんじゃないの?」
「好きじゃないんなら、オッケーする必要は無いわよ」
「ノエルはチュイル君のこと好きだよ?」
「友達としてでしょ。恋愛感情じゃないなら、やめときなさい」
「恋愛感情?」
恋愛感情って好きってことだよね?友達としてじゃない好き?うーん?ピンとこない。
「ねえねえ、サルミちゃん」
「なによ」
「恋愛感情って、どんな感情なの?」
「知らないわよ。私だって恋したことないもの」
「そっか」
「周りに恋してる人がいるなら、その人に聞けば?」
恋している人?
その言葉を聞いた瞬間、ミエルお姉ちゃんの顔が浮んだ。
「その顔、心当たりがあるって顔ね?」
「うん。今日聞いてみる。ありがと、サルミちゃん」
「別にお礼言われることは無いわよ。そんなことより、さっさと部室に行きましょ」
「うん」
サルミちゃんについていくかたちで部室に向かう。
すると、部室の扉を開けようとしたサルミちゃんが急に振り向いた。そして、眉間に皺を寄せてノエルに顔を近づけて来た。
「最後に1つだけ。手紙のことは他の人に言っちゃダメよ。恋心は周りに広めるものじゃないわ」
「うん、分かった」
サルミちゃんが満足そうに、顔を離して部室の扉を開けたのだった。
☆ ☆ ☆ ☆
「ねえねえ、ミエルお姉ちゃん」
「なんだ?」
「恋ってどんな気持ちなの?」
「「ぶふぅぅぅぅ!?」」
ご飯の時に質問するとミエルお姉ちゃんと、何故かフランお姉ちゃんが噴き出した。
「ななななな何を言ってるんだ!?」
「そうじゃ!急に何を言い出すんじゃ!」
「何でフランお姉ちゃんも驚いてるの?」
「気にするな。というか、急にどうした?」
ホウリお兄ちゃんが煮魚を摘まみながら聞いてくる。
でも、ああいう話って他の人に言っちゃダメなんだよね?なんて言おうかな?
「……友達に告白されたって相談されてさ」
「そうか。なら深くは聞かないでおいてやる」
多分、ホウリお兄ちゃんにはバレたかな。フランお姉ちゃんも物凄い形相だし、気付いているのかな?
「ノエルって恋って分からなくてさ。ミエルお姉ちゃんなら知ってるかなって」
「ロワがいなくて良かったな」
ロワお兄ちゃんは、ナップお兄ちゃんとご飯に行っている。だから、今日は4人での夜ご飯だ。
「それで、どうなの?」
「あ、えっと……」
ミエルお姉ちゃんが顔を真っ赤にして俯く。
「何と言うか、その人といると心が満たされるような感じだな」
「お友達とは違うの?」
「友達とは違うな。その人から目が離せない、そんな気持ちだ」
「それはお友達とは違うね?」
皆から目が離せないなんてこと無い。そこがお友達と違う所かな?
「ホウリお兄ちゃんは恋したことある?」
「あるぞ」
「ほう?意外じゃな?」
フランお姉ちゃんが面白そうなことを見つけたとばかりに、ニヤリと笑う。
ホウリお兄ちゃんは表情を変えずに話を続ける。
「どれだけの年数を生きて、どれだけの世界を旅したと思ってる?恋の1つくらいはある」
「詳しく聞きたいのう?」
「ダメだ」
ホウリお兄ちゃんが冷たい声ではっきりと拒絶する。凍った雰囲気の中、それ以上ホウリお兄ちゃんに言及する声は無かった。
「ふ、フランお姉ちゃんは恋したことあるの?」
雰囲気を変える為にノエルがフランお姉ちゃんに話をふる。
「わしは無いぞ?」
「500年生きたのにか?」
「書類仕事ばかりの日常で出会いがあると思うか?偶のパーティーでも、寄ってくる男は権力目当てじゃしな」
「大変だったんだな」
「ノエル、参考になったか?」
「うーん?」
なんとなくだけど、恋が分かった。そして、ノエルのチュイル君に対する感情は恋じゃないんだろう。
「うーん、どうしよ?」
「悩んでおるのか?」
「うん」
「ならば、わしにおすすめの方法があるぞ?」
「え?教えて!」
フランお姉ちゃんはニコリと優しく微笑んだ。
「まずは拳に全力の魔装をするじゃろ?」
「うん」
「そして相手の顔を思いっきりに殴るんじゃ」
「待て待て待て」
笑顔のフランお姉ちゃんにホウリお兄ちゃんが箸を向ける。
「これはノエルの友達の話だろ?普通の小学生が魔装できるわけないだろ」
「そうじゃったか。ははは、勘違いしておったのう」
フランお姉ちゃんが笑顔で頭を掻く。でも、目がまったく笑ってない。
「というか、ノエルのことだとしても、全力で魔装を使うことを教えるな」
「確実にそいつの首が吹き飛ぶな」
「セイントヒールでも首が吹き飛んだら助からないね」
多分だけど。
「相談者に伝えておけ。告白を受けるにせよ断るにせよ、きちんと考えて結論を出せ。そして、相手へのことを考えて答えろ」
「他にアドバイスは?」
「トゲが無い断る文言を教えるくらいだな」
「分かった」
「大丈夫そうか?」
「うん、もう大丈夫」
後はノエルがやらないとね。
☆ ☆ ☆ ☆
手紙の内容はやっぱりラブレターだった。
手紙を読んだノエルはホウリお兄ちゃんから文言を相談しながらお手紙を書いた。
結局、ノエルは告白を断ることにした。
恋が分からないノエルが告白を受けるのは、なんだか違う気がするからだ。
お手紙には、素直に恋が分からないからお友達として仲良くしてほしいって書いた。どれだけ言葉を選んでも、断ることになるから気まずくなっちゃうだろう。今まで通りに遊べるように頑張らないと。
ちなみに、どこから漏れたのか、オカルト研究クラブの皆にはバレていた。コアコちゃんが大きく取り乱していたり、マカダ君の目から光が無くなっていたけど、それはまた別の話。
放課後、帰ろうと教科書を鞄に入れていると、突然話しかけられた。
ちょっと気弱そうに手を後ろに回しているこの子は「シュラ・チュイル」君。ノエルのクラスメイトだ。
オカルト研究クラブの皆ほどじゃないけど、放課後に遊ぶくらい仲が良い。
「どうしたの?ノエルに何か用?」
「あの……えっと……」
言葉を濁しながら、もじもじとするチュイル君。ノエルは急かさずに、言葉の続きを待つ。
「えっと……これ!」
チュイル君が意を決したように、何かを差し出してきた。これは、便箋に入ったお手紙?
「これって?」
「の、ノエルちゃんへのお手紙。家で一人で読んでね」
「分かった。ノエルもお手紙でお返事するね」
「そ、それじゃ!」
チュイル君が逃げるように教室を出ていった。
ノエルは貰った手紙をじっくりと見てみる。封は可愛いハートのシールだ。後ろには「シュラ・チュイルより」って書いてある。
お手紙貰ったのは初めてだ。内容が気になるけど、約束もしたし今は仕舞っておこう。
「ノエル?何持ってるの?」
「あ、サルミちゃん」
サルミちゃんがいつもみたいに、ノエルの席にやってきた。視線は仕舞おうとしている手紙に注がれている。
「チュイル君からお手紙を貰ったんだ」
「へぇー、見せて」
「ダメだよ。内容はノエルとチュイル君の秘密なんだから」
「別に手紙を見せて欲しい訳じゃないわよ。便箋だけ見せなさい」
「それなら良いかな?」
サルミちゃんに便箋を渡すと、注意深く表と裏を観察し始めた。
そして、何かに気が付いたのか、顔を顰めながら便箋を返してきた。
「あんた、これどんな手紙か聞いてる?」
「聞いてないよ」
「はぁ、どうしようかしら……」
「何が書いてあるか分かったの?」
「ええ。多分、それはラブレターよ」
「え?」
らぶれたー?告白の時に渡すお手紙のことかな?
ノエルが首を捻っていると、サルミちゃんが頭を押えた。
「面倒なことになったわね」
「なんで?好きですって言われたからお返事するだけでしょ?」
「私が知っておいて良かったわ。あんただけじゃ、無神経に答えて傷つけるだけよ」
「そ、そんなことないもん」
「じゃあ、なんて答えるのかしら?」
「えーっと……」
告白された時の返事でしょ。それなら……
「よろしくお願いします?」
「バカ!好きでもない奴の告白に応じるんじゃないわよ!」
「でも、傷つけないんなら、オッケーって言えば良いんじゃないの?」
「好きじゃないんなら、オッケーする必要は無いわよ」
「ノエルはチュイル君のこと好きだよ?」
「友達としてでしょ。恋愛感情じゃないなら、やめときなさい」
「恋愛感情?」
恋愛感情って好きってことだよね?友達としてじゃない好き?うーん?ピンとこない。
「ねえねえ、サルミちゃん」
「なによ」
「恋愛感情って、どんな感情なの?」
「知らないわよ。私だって恋したことないもの」
「そっか」
「周りに恋してる人がいるなら、その人に聞けば?」
恋している人?
その言葉を聞いた瞬間、ミエルお姉ちゃんの顔が浮んだ。
「その顔、心当たりがあるって顔ね?」
「うん。今日聞いてみる。ありがと、サルミちゃん」
「別にお礼言われることは無いわよ。そんなことより、さっさと部室に行きましょ」
「うん」
サルミちゃんについていくかたちで部室に向かう。
すると、部室の扉を開けようとしたサルミちゃんが急に振り向いた。そして、眉間に皺を寄せてノエルに顔を近づけて来た。
「最後に1つだけ。手紙のことは他の人に言っちゃダメよ。恋心は周りに広めるものじゃないわ」
「うん、分かった」
サルミちゃんが満足そうに、顔を離して部室の扉を開けたのだった。
☆ ☆ ☆ ☆
「ねえねえ、ミエルお姉ちゃん」
「なんだ?」
「恋ってどんな気持ちなの?」
「「ぶふぅぅぅぅ!?」」
ご飯の時に質問するとミエルお姉ちゃんと、何故かフランお姉ちゃんが噴き出した。
「ななななな何を言ってるんだ!?」
「そうじゃ!急に何を言い出すんじゃ!」
「何でフランお姉ちゃんも驚いてるの?」
「気にするな。というか、急にどうした?」
ホウリお兄ちゃんが煮魚を摘まみながら聞いてくる。
でも、ああいう話って他の人に言っちゃダメなんだよね?なんて言おうかな?
「……友達に告白されたって相談されてさ」
「そうか。なら深くは聞かないでおいてやる」
多分、ホウリお兄ちゃんにはバレたかな。フランお姉ちゃんも物凄い形相だし、気付いているのかな?
「ノエルって恋って分からなくてさ。ミエルお姉ちゃんなら知ってるかなって」
「ロワがいなくて良かったな」
ロワお兄ちゃんは、ナップお兄ちゃんとご飯に行っている。だから、今日は4人での夜ご飯だ。
「それで、どうなの?」
「あ、えっと……」
ミエルお姉ちゃんが顔を真っ赤にして俯く。
「何と言うか、その人といると心が満たされるような感じだな」
「お友達とは違うの?」
「友達とは違うな。その人から目が離せない、そんな気持ちだ」
「それはお友達とは違うね?」
皆から目が離せないなんてこと無い。そこがお友達と違う所かな?
「ホウリお兄ちゃんは恋したことある?」
「あるぞ」
「ほう?意外じゃな?」
フランお姉ちゃんが面白そうなことを見つけたとばかりに、ニヤリと笑う。
ホウリお兄ちゃんは表情を変えずに話を続ける。
「どれだけの年数を生きて、どれだけの世界を旅したと思ってる?恋の1つくらいはある」
「詳しく聞きたいのう?」
「ダメだ」
ホウリお兄ちゃんが冷たい声ではっきりと拒絶する。凍った雰囲気の中、それ以上ホウリお兄ちゃんに言及する声は無かった。
「ふ、フランお姉ちゃんは恋したことあるの?」
雰囲気を変える為にノエルがフランお姉ちゃんに話をふる。
「わしは無いぞ?」
「500年生きたのにか?」
「書類仕事ばかりの日常で出会いがあると思うか?偶のパーティーでも、寄ってくる男は権力目当てじゃしな」
「大変だったんだな」
「ノエル、参考になったか?」
「うーん?」
なんとなくだけど、恋が分かった。そして、ノエルのチュイル君に対する感情は恋じゃないんだろう。
「うーん、どうしよ?」
「悩んでおるのか?」
「うん」
「ならば、わしにおすすめの方法があるぞ?」
「え?教えて!」
フランお姉ちゃんはニコリと優しく微笑んだ。
「まずは拳に全力の魔装をするじゃろ?」
「うん」
「そして相手の顔を思いっきりに殴るんじゃ」
「待て待て待て」
笑顔のフランお姉ちゃんにホウリお兄ちゃんが箸を向ける。
「これはノエルの友達の話だろ?普通の小学生が魔装できるわけないだろ」
「そうじゃったか。ははは、勘違いしておったのう」
フランお姉ちゃんが笑顔で頭を掻く。でも、目がまったく笑ってない。
「というか、ノエルのことだとしても、全力で魔装を使うことを教えるな」
「確実にそいつの首が吹き飛ぶな」
「セイントヒールでも首が吹き飛んだら助からないね」
多分だけど。
「相談者に伝えておけ。告白を受けるにせよ断るにせよ、きちんと考えて結論を出せ。そして、相手へのことを考えて答えろ」
「他にアドバイスは?」
「トゲが無い断る文言を教えるくらいだな」
「分かった」
「大丈夫そうか?」
「うん、もう大丈夫」
後はノエルがやらないとね。
☆ ☆ ☆ ☆
手紙の内容はやっぱりラブレターだった。
手紙を読んだノエルはホウリお兄ちゃんから文言を相談しながらお手紙を書いた。
結局、ノエルは告白を断ることにした。
恋が分からないノエルが告白を受けるのは、なんだか違う気がするからだ。
お手紙には、素直に恋が分からないからお友達として仲良くしてほしいって書いた。どれだけ言葉を選んでも、断ることになるから気まずくなっちゃうだろう。今まで通りに遊べるように頑張らないと。
ちなみに、どこから漏れたのか、オカルト研究クラブの皆にはバレていた。コアコちゃんが大きく取り乱していたり、マカダ君の目から光が無くなっていたけど、それはまた別の話。
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