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外伝 それぞれのバレンタイン
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ノエルの場合
「今日は何の日でしょう?」
「藪から棒にどうしたの?」
ノエルの質問にパンプ君が首を捻る。
ここは放課後のオカルト研究クラブの部室。今日はホウリお兄ちゃんがいないからすることも無くて、皆でお勉強していた。
そんな中で急に話を振ったから、困っちゃったみたい。
『今日か。確かバレンタインだっけか?』
「なに興味なさそうにしてんのよ」
頬杖をついているマカダ君をサルミちゃんが呆れたように小突く。
「朝から下駄箱とか机の中を探して一喜一憂してたでしょ」
『な、なんのことかな?』
マカダ君が眼を泳がせて、ソッポを向く。
「図星ね」
『べ、別に俺はチョコなんて……』
「いらないの?」
「えー、折角コアコちゃんとサルミちゃんと、チョコのお菓子作って来たのにー」
残念に思ったノエルはバスケットを取り出す。
「何それ?」
「皆で作ったチョコマフィンだよ」
テーブルにバスケットを乗せて蓋を開けて見せる。
バスケットにはチョコの生地の中にチョコチップが入ったマフィンが入っていた。
「昨日、皆で作ったんだ」
「楽しかったねー」
「全く、面倒だったわよ」
言ってることはともかく、2人とも楽しそうにお料理してたなー。また、やろっと。
「でも、マカダ君はいらないんだよね?甘い物苦手だった?」
『え、いや……その……』
「はぁ、変にカッコつけるからこじれるのよ」
うーん、マカダ君が甘い物が苦手だなんて知らなかった。チーズのクッキーとか、甘さ控えめのやつの方が良かったかな?
「無理に食べなくても良いからね?」
『……いや、好意を無駄にすることも無い。甘い物も苦手じゃないし食べるよ』
「そう?じゃあどーぞ」
バスケットをマカダ君に差し出す。マカダ君はマフィンを一つ手に取ると、包みを剥いで口に入れる。
「どう?」
『美味しい』
「よかった~」
「僕にも貰える?」
「いいよー」
パンプ君にもマフィンを差し出す。すると、パンプ君はマフィンを美味しそうに食べ始める。
「うん、甘くて美味しいね」
「私たちが作ったのだから当たり前よ」
「1人で作ったわけじゃないのに変なの~」
「一言余計よ」
得意げに胸を張っていたサルミちゃんが睨みつけて来る。
サルミちゃんから視線をそらして、マフィンに向ける。
「じゃあ、皆で食べよっか?」
「そうだね」
「そういえば、ナマク先生は?」
マフィンの紙を剥がしながら、サルミちゃんは部室を見渡す。だけど、ナマク先生は見当たらない。
「授業の準備とかで忙しいんじゃない?」
「今日は活動も無いし、来ても少し顔を出すくらいなのかな?」
ここ最近はホウリお兄ちゃんも来てなくて、活動が出来てない。ナマク先生も忙しいみたいだし、仕方ないのかも。
「でもさ、やっぱりナマク先生ともクラブ活動したいよね」
「すぐに一緒に活動できるよ」
コアコちゃんと笑いながら、マフィンを手に取る。すると、マカダ君が急にもたれ掛かって来た。
「マカダ君?どうしたの?」
『ふぇ?』
マカダ君に視線を向けると、顔を真っ赤にしていた。目は虚ろで焦点が合ってない。
「マカダ君?体調悪いの?」
『そんな訳ないらろ。それに今はとっても気分がいいにゃ』
「呂律回ってないよ!?絶対に大丈夫じゃないよね!?」
フラフラしながらマカダ君がノエルに抱き着いてくる。
『ろうしれ、俺にだけくれないらよ~。俺はノエルのが一番ほしかったろに~』
「何て言ってるかが分からない……」
とりあえず、マカダ君を抱きしめ返して、周りの皆に助けを求める。
「皆!マカダ君の様子が可笑しい!」
「私だって頑張ってるのよ!」
ダンッていう音が部室に響く。思わず音がした方を見てみると、サルミちゃんが机に突っ伏して机を叩いていた。
「さ、サルミちゃん!?」
「私だって頑張ってる!なのにテストで良い点が取れないのよ!」
「サルミちゃん!?しっかりしてよ!?」
コアコちゃんがズレた眼鏡を直しながら、サルミちゃんをゆする。でも、サルミちゃんは更に泣き出してしまった。
「うわあああん!どうしてなのよおおおお!」
「落ち着いて、サルミちゃんは頭いいでしょ。学年3位なんだから」
「1位じゃないと意味ないの!」
「1位ってノエルちゃんと同じだよ?満点取るの?」
「取る!」
「じゃあ、お勉強する?」
「うん!」
コアコちゃんがサルミちゃんと一緒に教科書を取り出してお勉強を始める。
サルミちゃんがいつもより素直だ。これはただ事じゃない。
というか、サルミちゃんも顔が真っ赤だ。これって……
とある可能性を考えたノエルは、マフィンの匂いを嗅いでみる。
「これって……お酒?」
フランお姉ちゃんがお酒を飲んでいる時に嗅いだ匂いと同じだ。多分間違いないと思う。
「コアコちゃん、これってお酒が入ってるよ!」
「ほんと!?」
コアコちゃんが目を見開いて傍にあったマフィンを嗅くと、顔を顰めた。
「本当だ。誰が入れたんだろ?」
「分かんないや。けど、これで皆の様子が可笑しい理由が分かったね」
「そうだね。お菓子のお酒で酔っちゃったんだ」
これを食べちゃうとノエルたちも酔っちゃうと思う。食べるのは控えよう。
「あれ?ということは、パンプ君も?」
嫌な予感がしたノエルとコアコちゃんはパンプ君へと視線を向ける。
「…………」
「パンプ君?」
「……この部室は無駄遣いが多すぎる。僕が正さないと」
「あ、いつも通りだね」
領収書とにらめっこしながら、顔が赤いパンプ君がノートにすごい勢いで書き連ねている。
いつもよりも勢いは激しいけど、行動試合は何らかわらない。これならほっといていいかも。
「のえう~、俺をもっと抱きしめてうえお~」
「もっともっと頑張らないと!コアコ!ここ教えて!」
「ここは削れるかな?でも、ここの方が?」
「あー、えーっと……」
部室の中の惨状を見ながら、どうしようかと考える。
「のえう~」
「……どうしよっか?」
「……さあ?」
抱き着いてくるマカダ君をあやしながら、ノエル達は途方に暮れるのだった。
結局、セイントヒールで治せば良いって気付いたのは、下校時間になってからだった。
☆ ☆ ☆ ☆
フランの場合
「今日の稽古はここまで」
「「「お疲れ様でした~」」」
稽古を終え、帰る準備をしていると、背後から一部の男どもの視線を感じた。
振り返ってみると、共演者の男どもが視線をそらしていた。
「まったく、そんなに気になるのであれば、直接聞きにくればいいものを」
男どもの期待に応えるべく、わしはアイテムボックスから用意していたお菓子を取り出す。
「聞けい!お主らにチョコマフィンを作って来た!食いたい奴は勝手に取るがいい!」
(わああああああ!)
わしの言葉に男どもから歓声が上がる。現金な奴らじゃ。
「あ、食いたい奴は女でも良いからな。酒が入っておるから、苦手な奴は手を出すでないぞ?」
テーブルにバスケットを並べると、男どもが群がってくる。
「うん、美味い!」
「甘くて稽古終わりに丁度いいな」
「フラン、サンキューな」
賛辞の言葉に適当に手を振って答える。
「フランちゃん、いただくわね」
「フォガートか。ありがたく食うんじゃぞ」
「うーん、美味しー。フランちゃんって料理上手なのね」
「じゃろ?最近のちょっとした趣味じゃ」
「確かに美味いな」
いつの間にかヌカレがマフィンを頬張っていた。
「だが、美味すぎるな?本当にフランが作ったのか?」
「あ゛あ゛?折るぞ?」
「何をだ」
手に着いたクズを舐めとって、ヌカレが手を合わせる。
「ごちそうさま。けど、これ酒が入ってないぞ?」
「え?本当か?」
わしはマフィンを食べてみる。確かに酒の味はしない。
「ふむ?確かに入れた筈じゃがのう?」
「何を入れたの?」
「ブランデーじゃ」
「どのくらい入れたんだ?」
「どのくらいというか、ブランデー入りのチョコを使った感じじゃな。かなり強いから、分かると思うんじゃがな?」
念のため鑑定してもアルコールは検出されない。
「むう、何故じゃろうな?」
「もう良いんじゃない?美味しいんだし」
「それもそうだ。という訳で、もう一つ」
「1人1個じゃ」
(バシィィィン!)
「痛てぇぇぇぇ!?」
バスケットに向かうヌカレの手を強めに叩く。すると、ヌカレが床の上をのたうち回った。
「これこれ床に寝るでない。汚いぞ」
「そういうレベルじゃないぞ!?下手したら折れてるぞ!?」
「安心せい、宣言通り、きっちりと折った」
「そこは有言実行しなくていいからな!?」
折れて膨れ上がった腕を踏みつけ、セイントヒールで治してやる。
「懲りたか?」
「……はい、存分に懲りました」
ぼろ雑巾になったヌカレを足蹴に、マフィンをかじる。
「そういえばさ、ホウリ君にはチョコあげるの?」
「お、俺も気になる……」
前としたから同じ質問が飛んでくる。
「ホウリか?このマフィンとは別にチョコを上げるつもりじゃ」
「もしかして、手作り?」
「ホウリは量が多いほうが喜ぶからのう。既製品のチョコを沢山あげるつもりじゃ」
「そうなの?」
「まあ、1つだけ手作りを混ぜるがのう」
どうせホウリのことじゃ。何も言わなくても、察してくれるじゃろう。
「……いいなぁ」
「何か言ったか?」
「なんでも。ただ、フランみたいなガサツな奴が作るチョコを貰うなんて、ホウリも不憫なほどに内臓が潰れるように痛いぃぃぃぃぃぃ!?」
鳩尾を潰さぬくらいの力加減で踏みつぶす。
「すみません!調子に乗りました!」
「なんであんな目にあって、調子に乗れるのよ……」
☆ ☆ ☆ ☆
ミエルの場合
「ロワ!目を覚ましてくれロワァァァァァァァ!」
「今日は何の日でしょう?」
「藪から棒にどうしたの?」
ノエルの質問にパンプ君が首を捻る。
ここは放課後のオカルト研究クラブの部室。今日はホウリお兄ちゃんがいないからすることも無くて、皆でお勉強していた。
そんな中で急に話を振ったから、困っちゃったみたい。
『今日か。確かバレンタインだっけか?』
「なに興味なさそうにしてんのよ」
頬杖をついているマカダ君をサルミちゃんが呆れたように小突く。
「朝から下駄箱とか机の中を探して一喜一憂してたでしょ」
『な、なんのことかな?』
マカダ君が眼を泳がせて、ソッポを向く。
「図星ね」
『べ、別に俺はチョコなんて……』
「いらないの?」
「えー、折角コアコちゃんとサルミちゃんと、チョコのお菓子作って来たのにー」
残念に思ったノエルはバスケットを取り出す。
「何それ?」
「皆で作ったチョコマフィンだよ」
テーブルにバスケットを乗せて蓋を開けて見せる。
バスケットにはチョコの生地の中にチョコチップが入ったマフィンが入っていた。
「昨日、皆で作ったんだ」
「楽しかったねー」
「全く、面倒だったわよ」
言ってることはともかく、2人とも楽しそうにお料理してたなー。また、やろっと。
「でも、マカダ君はいらないんだよね?甘い物苦手だった?」
『え、いや……その……』
「はぁ、変にカッコつけるからこじれるのよ」
うーん、マカダ君が甘い物が苦手だなんて知らなかった。チーズのクッキーとか、甘さ控えめのやつの方が良かったかな?
「無理に食べなくても良いからね?」
『……いや、好意を無駄にすることも無い。甘い物も苦手じゃないし食べるよ』
「そう?じゃあどーぞ」
バスケットをマカダ君に差し出す。マカダ君はマフィンを一つ手に取ると、包みを剥いで口に入れる。
「どう?」
『美味しい』
「よかった~」
「僕にも貰える?」
「いいよー」
パンプ君にもマフィンを差し出す。すると、パンプ君はマフィンを美味しそうに食べ始める。
「うん、甘くて美味しいね」
「私たちが作ったのだから当たり前よ」
「1人で作ったわけじゃないのに変なの~」
「一言余計よ」
得意げに胸を張っていたサルミちゃんが睨みつけて来る。
サルミちゃんから視線をそらして、マフィンに向ける。
「じゃあ、皆で食べよっか?」
「そうだね」
「そういえば、ナマク先生は?」
マフィンの紙を剥がしながら、サルミちゃんは部室を見渡す。だけど、ナマク先生は見当たらない。
「授業の準備とかで忙しいんじゃない?」
「今日は活動も無いし、来ても少し顔を出すくらいなのかな?」
ここ最近はホウリお兄ちゃんも来てなくて、活動が出来てない。ナマク先生も忙しいみたいだし、仕方ないのかも。
「でもさ、やっぱりナマク先生ともクラブ活動したいよね」
「すぐに一緒に活動できるよ」
コアコちゃんと笑いながら、マフィンを手に取る。すると、マカダ君が急にもたれ掛かって来た。
「マカダ君?どうしたの?」
『ふぇ?』
マカダ君に視線を向けると、顔を真っ赤にしていた。目は虚ろで焦点が合ってない。
「マカダ君?体調悪いの?」
『そんな訳ないらろ。それに今はとっても気分がいいにゃ』
「呂律回ってないよ!?絶対に大丈夫じゃないよね!?」
フラフラしながらマカダ君がノエルに抱き着いてくる。
『ろうしれ、俺にだけくれないらよ~。俺はノエルのが一番ほしかったろに~』
「何て言ってるかが分からない……」
とりあえず、マカダ君を抱きしめ返して、周りの皆に助けを求める。
「皆!マカダ君の様子が可笑しい!」
「私だって頑張ってるのよ!」
ダンッていう音が部室に響く。思わず音がした方を見てみると、サルミちゃんが机に突っ伏して机を叩いていた。
「さ、サルミちゃん!?」
「私だって頑張ってる!なのにテストで良い点が取れないのよ!」
「サルミちゃん!?しっかりしてよ!?」
コアコちゃんがズレた眼鏡を直しながら、サルミちゃんをゆする。でも、サルミちゃんは更に泣き出してしまった。
「うわあああん!どうしてなのよおおおお!」
「落ち着いて、サルミちゃんは頭いいでしょ。学年3位なんだから」
「1位じゃないと意味ないの!」
「1位ってノエルちゃんと同じだよ?満点取るの?」
「取る!」
「じゃあ、お勉強する?」
「うん!」
コアコちゃんがサルミちゃんと一緒に教科書を取り出してお勉強を始める。
サルミちゃんがいつもより素直だ。これはただ事じゃない。
というか、サルミちゃんも顔が真っ赤だ。これって……
とある可能性を考えたノエルは、マフィンの匂いを嗅いでみる。
「これって……お酒?」
フランお姉ちゃんがお酒を飲んでいる時に嗅いだ匂いと同じだ。多分間違いないと思う。
「コアコちゃん、これってお酒が入ってるよ!」
「ほんと!?」
コアコちゃんが目を見開いて傍にあったマフィンを嗅くと、顔を顰めた。
「本当だ。誰が入れたんだろ?」
「分かんないや。けど、これで皆の様子が可笑しい理由が分かったね」
「そうだね。お菓子のお酒で酔っちゃったんだ」
これを食べちゃうとノエルたちも酔っちゃうと思う。食べるのは控えよう。
「あれ?ということは、パンプ君も?」
嫌な予感がしたノエルとコアコちゃんはパンプ君へと視線を向ける。
「…………」
「パンプ君?」
「……この部室は無駄遣いが多すぎる。僕が正さないと」
「あ、いつも通りだね」
領収書とにらめっこしながら、顔が赤いパンプ君がノートにすごい勢いで書き連ねている。
いつもよりも勢いは激しいけど、行動試合は何らかわらない。これならほっといていいかも。
「のえう~、俺をもっと抱きしめてうえお~」
「もっともっと頑張らないと!コアコ!ここ教えて!」
「ここは削れるかな?でも、ここの方が?」
「あー、えーっと……」
部室の中の惨状を見ながら、どうしようかと考える。
「のえう~」
「……どうしよっか?」
「……さあ?」
抱き着いてくるマカダ君をあやしながら、ノエル達は途方に暮れるのだった。
結局、セイントヒールで治せば良いって気付いたのは、下校時間になってからだった。
☆ ☆ ☆ ☆
フランの場合
「今日の稽古はここまで」
「「「お疲れ様でした~」」」
稽古を終え、帰る準備をしていると、背後から一部の男どもの視線を感じた。
振り返ってみると、共演者の男どもが視線をそらしていた。
「まったく、そんなに気になるのであれば、直接聞きにくればいいものを」
男どもの期待に応えるべく、わしはアイテムボックスから用意していたお菓子を取り出す。
「聞けい!お主らにチョコマフィンを作って来た!食いたい奴は勝手に取るがいい!」
(わああああああ!)
わしの言葉に男どもから歓声が上がる。現金な奴らじゃ。
「あ、食いたい奴は女でも良いからな。酒が入っておるから、苦手な奴は手を出すでないぞ?」
テーブルにバスケットを並べると、男どもが群がってくる。
「うん、美味い!」
「甘くて稽古終わりに丁度いいな」
「フラン、サンキューな」
賛辞の言葉に適当に手を振って答える。
「フランちゃん、いただくわね」
「フォガートか。ありがたく食うんじゃぞ」
「うーん、美味しー。フランちゃんって料理上手なのね」
「じゃろ?最近のちょっとした趣味じゃ」
「確かに美味いな」
いつの間にかヌカレがマフィンを頬張っていた。
「だが、美味すぎるな?本当にフランが作ったのか?」
「あ゛あ゛?折るぞ?」
「何をだ」
手に着いたクズを舐めとって、ヌカレが手を合わせる。
「ごちそうさま。けど、これ酒が入ってないぞ?」
「え?本当か?」
わしはマフィンを食べてみる。確かに酒の味はしない。
「ふむ?確かに入れた筈じゃがのう?」
「何を入れたの?」
「ブランデーじゃ」
「どのくらい入れたんだ?」
「どのくらいというか、ブランデー入りのチョコを使った感じじゃな。かなり強いから、分かると思うんじゃがな?」
念のため鑑定してもアルコールは検出されない。
「むう、何故じゃろうな?」
「もう良いんじゃない?美味しいんだし」
「それもそうだ。という訳で、もう一つ」
「1人1個じゃ」
(バシィィィン!)
「痛てぇぇぇぇ!?」
バスケットに向かうヌカレの手を強めに叩く。すると、ヌカレが床の上をのたうち回った。
「これこれ床に寝るでない。汚いぞ」
「そういうレベルじゃないぞ!?下手したら折れてるぞ!?」
「安心せい、宣言通り、きっちりと折った」
「そこは有言実行しなくていいからな!?」
折れて膨れ上がった腕を踏みつけ、セイントヒールで治してやる。
「懲りたか?」
「……はい、存分に懲りました」
ぼろ雑巾になったヌカレを足蹴に、マフィンをかじる。
「そういえばさ、ホウリ君にはチョコあげるの?」
「お、俺も気になる……」
前としたから同じ質問が飛んでくる。
「ホウリか?このマフィンとは別にチョコを上げるつもりじゃ」
「もしかして、手作り?」
「ホウリは量が多いほうが喜ぶからのう。既製品のチョコを沢山あげるつもりじゃ」
「そうなの?」
「まあ、1つだけ手作りを混ぜるがのう」
どうせホウリのことじゃ。何も言わなくても、察してくれるじゃろう。
「……いいなぁ」
「何か言ったか?」
「なんでも。ただ、フランみたいなガサツな奴が作るチョコを貰うなんて、ホウリも不憫なほどに内臓が潰れるように痛いぃぃぃぃぃぃ!?」
鳩尾を潰さぬくらいの力加減で踏みつぶす。
「すみません!調子に乗りました!」
「なんであんな目にあって、調子に乗れるのよ……」
☆ ☆ ☆ ☆
ミエルの場合
「ロワ!目を覚ましてくれロワァァァァァァァ!」
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