異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第1章・異世界転移と異世界転生

この世界での生き方①

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「うわぁ、こんなの漫画やアニメでしか見た事ない! 骨付き肉、最高! めちゃくちゃ美味しい!」

 私がかぶりついたのは、今の言葉通り、漫画やアニメでしか見た事がない骨付き肉だ。
 子供の頃からこの肉にずっと憧れていたものの、元の世界ではお目にかかった事がなかった。
 それがこの異世界では、普通に食べる事ができるらしい。
 はしたないかもしれないと思ったが、大口をかけてかぶりつく。
 口の周りが旨味たっぷりの油でギトギトになってしまったけれど、もうおばさんだから気にしないのだ。
 それに、このお肉はこうやって食べた方が美味しいに決まっている。

「いい顔して食べるね」

 骨付き肉を一気に食べ、口元をナプキンで拭っていると、私の前に座ったユーリが、言った。
 仮面のせいで表情はわからないけれど、唇の端が楽しそうにくいと上がっているから、また優しく金色の瞳を細めているのだろう。

「ごめんね、はしたない食べ方をしちゃってるよね」

 一応謝ったけど、ユーリは首を横に振った。

「いや、その肉はそうやって口元を油でギトギトにして食べるのが美味しいんだよ」

「そうそう、気持ちいい食べっぷりだよ」

 と、ジャンくんも言ってくれる。

「でも、せっかく買った服が汚れちゃうから、気を付けたほうがいいわね」

「あぁ、そうよね」

 私は元居た世界から持って来ていたリュックサックからハンカチを出すと、首元にかけた。

「ありがとう、モネちゃん」

「どういたしまして」

 ユーリもジャンくんもモネちゃんも、みんな私よりはるかに年下だっていうのに、すごく面倒をみてくれている。
 みんなよりはるか年上として、これはどうなのかと思ったが、気にしない事にした。
 今の私は、異世界から来た、ちょっと頼りないおばさんでいい。

「ユーリは、食べないの?」

 ユーリの目の前には、飲み物しかなかった。

「うん、朝食べたし、今はいいかな」

「そう? お腹減っちゃうよ?」

「大丈夫。また夜、オリエが作ってくれた物を食べるから」

「じゃあ、今日も頑張って作るね!」

 ここでは食べなくても、食欲が出てきてくれた事は嬉しい。
 今夜は何を作ろうかなと考えると、ジャンくんとモネちゃんが反応した。

「ユーリ様、食事ができるようになったんですね! アルバトス様もですか?」

「良かったです! 本当に良かった! ありがとう、オリエさん!」

「本当だよ! ありがとう、オリエさん!」

 ジャンくんとモネちゃんは目を輝かせて、私にお礼を言ってくれた。
 ものすごく、ユーリとアルバトスさんの事を心配していたみたいだ。

「病は気からって言うもんな! 食欲が出てきたのは、いい事だ!」

「そうよ! しっかり食べて、元気になってもらわないと!」

「うん、そうよね! 私も頑張って作って、頑張ってユーリとアルバトスさんにご飯を食べてもらうよ!」

 私たちは意気投合した。
 ユーリは何も言わなかったけれど、唇の端は困ったように少し下がっていた。

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