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第1章・異世界転移と異世界転生
ナディア様の話②
しおりを挟む「あの……盾の、聖女様……」
恐る恐る、といった感じで、ナディア様が私に声をかけてきた。
何でしょうと言って、ナディア様の言葉を待っていると、彼女はとんでもない事を言い始めた。
「あの……あなたも矛の聖女様と同じように、ジュニアス様と、その……」
最後の方は声が小さくて、聞き取りづらかったけれど、なんとなくわかった。
ナディア様は、私とジュニアスの関係を疑っているわけだ。
「そ、そんなのっ、絶対に、ありえません!」
私はナディア様に、必死にそう言った。
ナディア様には悪いけど、あのジュニアスとそういう関係になるなんて、真っ平ごめんだ!
ジュニアスはユーリやアルバトスさんだけでなく、ジャンくんやモネちゃんにまでひどい事をした。
それに何より、あの男は私を殺したのだ。
実際に私を殺したのはノートンだけど、ジュニアスはそれを命令したのだ。
「絶対、嫌です! 絶対にあり得ませんから、ナディア様、どうか安心してください!」
「あ、ありがとう、ございます……」
ナディア様はそう言うと、ほっとしたような表情をし、その綺麗な青い瞳から、ぽろりと涙を零した。
あんなひどい男だけれど、この美しい人は、あの男を愛しているのかもしれない。
あんな男、止めておいた方がいいですよ、と言いかけたけど、私はその言葉を飲み込んだ。
ナディア様は多分、ジュニアスが何をしているか、どんな男かって事を理解した上で、あの男の事を愛しているのだ。
「ところで、盾とか矛の聖女って、一体何なのですか? 先程、アニーさんにも言ったんですけど、私の事は、オリエでいいです。というか、オリエって呼んでほしいです」
ナディアさんもアニーさんも、私の事を盾の聖女と呼んでいる。
この呼ばれ方は、一体何なのだろう?
「わかりました……あなたがそうお望みなら、そうお呼びすると致しましょう……。あの、オリエ様……」
「はい」
「盾の聖女とは、あなた様の事でございます。それから、矛の聖女は、もう一人の方……ジュン様の事ですわ。あの矛の聖女は攻撃呪文に優れてらっしゃって、聖女というよりも、勝利の女神のようだとジュニアス様はおっしゃっていました」
「はぁ……」
ジュニアスが言っていたって、あの男、ナディア様という妻の前で、他の女の話をするの?
「ジュン様は……とても、自分に合う、素晴らしい女性なのだそうです……。わたくしと違って……」
ナディア様はそう言うと、寂しそうに笑って俯いてしまった。
ナディア様にこんな顔をさせるなんて、あの男、やっぱり許せん!
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