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第1章・異世界転移と異世界転生

ナディア様の話①

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「ナディア様、私はこちらの世界に召喚されてから、ユーリ……ユリアナ王女の元でお世話になっていたのですが、無理矢理こちらへ連れてこられました。ナディア様は、今のユリアナ王女やアルバトスさんの事を、何かご存知ではないですか?」

 私がそう尋ねると、ナディア様は少し考え込み、口を開く。

「わたくしは、直接お会いしていないので、詳しい事はわからないのですが、ユリアナ様はあなたを追いかけて、すぐに王宮まで来られていたと聞いています。お怪我もされていたとの事でした。だけど……ジュニアス様が、ユリアナ様を追い返されたそうです」

「えっ」

 教えてもらった情報を、一つずつ整理しよう。

 まず、自分が五日間も眠っていた事……驚いたし、知らない間に若返っていたりしたけれど、これはひとまず置いておく。

 次に、ユーリたちの事だ。
 きっと、私を助けるために、追いかけてきてくれたのだろう。
 だけど、追い返されてしまったという事は、私がユーリたちと連絡を取るのは、難しい事なのかもしれなかった。
 怪我をしていたとナディア様は言ったけど、どのくらいの怪我なんだろう。
 私を追いかけてきた時に、ジュニアスやノートンに、またひどい事をされたのではないかと、心配になる。

「ユリアナ王女たちの怪我の具合がどうだったかとか……ご存じの方は、いらっしゃいませんか?」

 私がそう言うと、ナディア様は、ちらりとアニーさんへと目を向けた。
 ナディア様の視線に頷き、アニーさんは前に進み出る。

「それは、私から……。ユリアナ様とアルバトス様は、王宮に来られた時には、外見的には、かすり傷くらいだったと思います。だけど、ジュニアス様に風の呪文で何度も吹き飛ばされて、建物に体を強く叩きつけらっしゃいました。最後にはユリアナ様は気を失われていて……命には、別状ないとは思うのですが……」

「そう、ですか……」

 ジュニアスが使った風の呪文……あのウインドウォールというものだろうか。
 風の壁で、対象を吹き飛ばす呪文か。
 くそう、ジュニアスめ! ユーリやアルバトスさんにひどい事をしやがって!
 あの男、いつか絶対にぶっとばしてやる!
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