異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第1章・異世界転移と異世界転生

ユーリ、暴走①

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「死ねぇっ!」

 怒りに身を任せ、ユーリはジュニアスへと斬りかかる。
 もちろん、ノートンやオブルリヒト兵がユーリを止めようとするけれど、ユーリはノートンの雷の呪文を剣で受け止めて弾き、それで自分に襲い掛かろうとしていたオブルリヒト兵の半数を気絶させてしまった。

「何なのよ! この女っ!」

 ジュンもユーリに向かってファイヤーボールを連発したけど、ユーリは剣でファイヤーボールをジュンの方へと弾き飛ばした。
 なんとか直撃は避けたものの、自分のファイヤーボールで髪を焦がしたジュンは、このままではユーリに殺されると感じたのだろう、この場から逃げだした。

「な、なんだ、先程までとは全く違う、ユリアナのこの力はっ……」

 ユーリの体を覆う金色の炎のようなものが、ユーリの力を増幅させているようだった。
 その金色の炎にジュニアスとノートンは驚き、オブルリヒト兵は怯えた。
 その隙にユーリはジュニアスへの距離を詰め、剣を振り上げた。

「ジュニアス様ぁっ!」

「うっ!」

 振り下ろされるユーリの剣を、ジュニアスは間一髪のところで避けて地面に転がった。
 ジュニアスに声をかけたのはナディア様で、私はこの場にまだナディア様やアニーさんが居た事を思い出した。
 このままユーリがここで暴走を続けると、ナディア様とアニーさんにも危害が及ぶ可能性がある。
 早くユーリを止めないと!

「止めて、ユーリ! その人たちを殺しても、アルバトスさんは喜ばないよ! 逆に、今のあなたを見て、きっと悲しむよ!」

 暴走するユーリを止めたくて、私は叫ぶ。
 だけど、ユーリは、私の声に何の反応もしなかった。
 無視をされているのか、本当に聞こえないのかは、わからない。
 だけど、今のユーリには、私の声は届かないのだろうと思う。
 声が届かないなら、力づくで止めなくてはいけないんだけど、私にユーリを止める事ができるだろうか?
 できなくても、やらなければならないけれど……私にはその前に、試してみたい事があった。

「サーチート! 私に、呪文を教えて! 蘇生呪文、あるんでしょっ!」

 この不思議な異世界ルリアルーク……剣と魔法で戦う世界……。
 まるで、漫画やアニメ、ゲームの世界。
 この世界に蘇生呪文がないというのなら、私は命がけでユーリを止めにいくつもりだった。
 だから、

「うん、あるよ、オリエちゃん! リザレクションっていうんだよ!」

 と、サーチートが言ってくれた時、私は泣きそうになるくらい嬉しかった。
 呪文さえわかれば、あとは自分を信じるだけ。
 大聖女だとか、真聖女だとか、私は自分がそんな大層な存在とは思っていないけれど、今はステータスに載っていた、

 魔力:∞
 魔法:全て使える

 が本当であると、信じるだけだ。

「オリエちゃん、呪文の成功率を上げるには、少し時間がかかっちゃうけど、呪文の前に、自分の名前を言うといいらしいよ! こんな感じだよ!」

 サーチートは私の足元でころんとひっくり返り、お腹にスマホを出現した。
 そして画面に、今から私が唱えるべき台詞を表示してくれた。

「サーチート、ありがとう!」

「ぼくは、オリエちゃんのスマホなんだから、当然だよ! オリエちゃん、頑張って!」

 ひっくり返ってお腹のスマホを見せてくれたまま、サーチートはパチンとウインクする。
 うん、と頷いて、私はサーチートが表示してくれた台詞を口にした。
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