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第1章・異世界転移と異世界転生

ユーリ、暴走②

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「糸井織絵が祈る、アルバトス・フェルトンの魂よ、元の体に戻れ! リザレクション!」

 私はそう唱えると、両手のひらをアルバトスさんの心臓の位置に置く。
 すると、私の手のひらから放たれた真っ白な光がアルバトスさんの体を包み込み、

「か、はっ」

 と、アルバトスさんは息を吹き返した。

「アルバトスさん! 良かった! 私がわかりますか!」

「せ、先生~」

 アルバトスさんに声をかけると、彼は驚いたのだろう、一瞬首を傾げたけれど、すぐに状況把握ができたらしく、こくりと頷いた。だけど、

「うぐっ……」

「アルバトスさん?」

 アルバトスさんは息を吹き返したけれど、まだ苦しそうだった。
 これは、ゲームで蘇生呪文を使った後、HPが一で蘇ったのと同じ状況って事?
 それなら、ほんの少しの衝撃で、また死んでしまうかもしれないって事?
 しかも、アルバトスさんの体には、毒が残ったままのようだった。
 私は慌ててアルバトスさんを抱きしめると、リカバーを唱えて解毒をし、続けてヒールをかけ続けた。

「アルバトスさん……お願い、ユーリを止めてくださいっ」

 アルバトスさんを抱きしめたまま、私はユーリへと目を向けた。
 ユーリはジュニアスとノートンの二人を同時に相手にしていた。
 ジュニアスの剣を避けつつ、ノートンの雷の呪文を剣で弾く――弾かれた雷の呪文で、庭園はぼろぼろになってしまっている。
 さすがにこのままこの場所に居れば、命の危険を感じたのだろう、アニーさんがナディア様を連れて、立ち去るのが見えた。

「おい、兵士たち! ユリアナの相手は、俺たちがする! お前たちは、盾の聖女を捕らえろ! その女は、本物の聖女だ! 絶対に逃がすな!」

「はいっ!」

 ジュニアスの命令に、動ける兵士たちが私の方へと走って来る。
 生き返ったばかりのアルバトスさんを抱えた私は、ここからすぐに動く事ができないし、このままでは捕まってしまう――そう思った瞬間、

「ウインドアロー!」

 というユーリの声が聞こえ、私の周りで兵士たちが全員バタバタと倒れてしまった。
 どうやら、風の魔法で兵士たちを倒したようだった。

「もう、やだあっ!」

 動けないところを助けてもらえて良かったんだけど、この状態はいつまで続くのだろう?
 ユーリが、この場に居る人たちを、全員殺すまで?
 この国自体を滅ぼすまで?
 それとも……ユーリやアルバトスさんが死んでしまうまで?

 この人たちが戦っている原因が、私にあるのはわかっていた。
 だけど、もうこんな戦いを、こんな殺し合いを見るのは嫌だと、私は思った。

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