異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第1章・異世界転移と異世界転生

結界の向こう側②

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「ユリウス、こっちに戻ってきて!」

 狼は三匹……きっと害意を持っているだろうから、結界内に入ってしまえば安全なはずだ。
 だから私はそう言ったんだけど、ユリウスは、

「駄目だ」
 と言って首を横に振った。

「どうして! だって、すぐそばに安全な場所があるんだよ? 戻ればいいじゃないっ! 危ないよっ!」

「いや、戻らない」

「そうですね、ユリウス。それくらいの獣を倒せないようじゃ、気軽に結界の外の用事なんて、みんなに頼んでもらえないですもんね。それくらいの獣を倒せなくっちゃ、みんなの役に立てませんものね」

 私を含め、みんなが焦る中、アルバトスさんだけがこの状況を楽しんでいるように感じられた。
 もう、この人、何を考えているのかなっ!

「何言ってるんですか、アルバトスさん、危ないですよっ!」

 私がそう言うと、そうですねぇ、とアルバトスさんは頷いたけれど、彼はユリウスの心配をしているようではなかった。

「そうですよ、アルバトス様! ユリウス様は今、丸腰じゃないですかっ!」

 ジャンくんの声に、私はユリウスを見た。
 確かに今のユリウスは、モネちゃんが用意してくれた体に合った服を着ているだけで、何の武器も持っていない。

「助けなきゃっ! きゃっ!」

 ユリウスを助けようと、結界の外に出ようとしたんだけど、弾かれてしまった。
 ジャンくんやモネちゃんも、私と同じように外に出られず弾かれている。

「あぁ、駄目ですよ、鍵を持っていなければ、出入りできないと説明したじゃありませんか。あと、オリエさんは、この結界の術者です。術者はこの結界の人柱のようなものですから、あなたが術者のうちは、結界の外に出る事はできません」

「え?」

 結界の人柱というのは、初耳だ。
 それに、術者であると、結界の外には出られないのか。

「でも、いろいろと用意をしてからになりますが、私が代わりますよ。近いうちに、そのご説明もしますね」

 代わる? 何を? 結界の術者の事?
 だけど、アルバトスさんの魔力だと、できて数日とか言っていなかったっけ?
 いろいろと疑問に感じた事が多かったが、今はアルバトスさんにそれを尋ねている場合ではない。

「ユリウス!」

 私がユリウスへと視線を戻すと、三匹の狼が同時に彼へと襲い掛かったところだった。
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