異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第4章:ゴブリン・スタンピード

ゴブリン大暴走

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「ねぇ、一体どうなったんだい!」

 ジュニアスの宣言のための映像が掻き消え、エリザベス様が叫ぶ。
 突然現れた魔物と、その魔物が放った巨大なファイヤーボール。
 そりゃあんなところで切れちゃったら気になるし、不安になるよね。
 もちろん私も不安だった。
 ファイヤーボールが降り注いだ王都オブリールは、今どうなってるんだろう?
 そしてあの魔族の男が、ゴブリン・スタンピードと何かをお楽しみとか言っていたけれど、ゴブリンたちはどうなった?
 何とかして状況を知る方法はないかと考え、以前アルバトスさんがそういう魔法を使って、私に空からシルヴィーク村を見せてくれたことを思い出した。
 確かあの魔法は……。

「スカイ・アイ!」

 呪文を唱えると、私の頭の中に、空から大地を見ている映像が浮かんできた。
 今私が見ているのは、とても大きな街だ。
 私の意識が真っすぐに上空へと飛んだのだとしたら、今私が見ている街は、このガエールってことだよね。
 私はガエールから視線を動かして、ネーデの森を探した。
 広大な森は、すぐに目についた。
 そしてその森から、緑色の大群が飛び出してくるのも。

「ゴブリンだ! ネーデの森を飛び出してきてる!」

 思わず叫んだ私に、レイリーさんが言った。

「オリエさん! あなたが見ている映像を、私たちにも見せてくれませんか?」

「え?」

 一体どういうことだろう?

「ほら、ジュニアス様が投影魔法で空に映像を映していたでしょう? あんなふうに、私たちにもオリエさんが見ている映像を見せてもらうことはできませんか?」

「空?」

 私は空を見つめたけれど、あの空に頭の中の映像を投影させるなんて、どうやるんだろう?
 今ここにアルバトスさんかサーチートが居れば教えてくれるかもしれないけれど、私だけだとわかんないや。
 サーチートが居れば、スマホに映し出してくれるだろうね。
 そういやアルバトスさんがサーチートと話しているときって、アルバトスさんもこちらが見えているって言ってた……あれって、たしか鏡にこちらの姿を映し出していたんだっけ?

「ソフィアさん、それ、お借りしていいですか?」

「え? それって、これですか?」

 私はソフィアさんが持っていた銀色のトレイを借りることにした。
 先程私たちにお茶を淹れてくれて、ソフィアさんはそのままずっとトレイを腕に抱えてたんだよね。
 ぴかぴかの銀色のトレイ……これならきっとアルバトスさんが使っていた鏡の代わりになるはずだ。
 それに、このトレイ、ただの銀色のトレイじゃなくって、本物の銀なんじゃないかな。
 だって、ガエールの商業ギルドのギルドマスターである、レイリーさんの部屋のものなんだもんね。

「このトレイを、ここに置いて……」

 私はソファーにトレイを立てかけると、トレイに先ほど見た映像が映し出されるように念じた。
 投影魔法の呪文なんて知らないけど、そこは全ての呪文が使えるっていうチート力なんだろうね、ただ念じただけなのに、銀のトレイは私がスカイ・アイの呪文で見た光景を映し出した。

「これは! こんなに!」

「なんてこった! これはいくらなんでも不味いだろう!」

 ネーデの森から飛び出してくるゴブリンの大群を見て、レイリーさんとエリザベス様が叫ぶ。

「ぼ、僕は……なんてことを……」

「エミリオ!」

 エミリオは真っ青になり、そんなエミリオの手をソフィアさんが強く握りしめる。
 今までも何度もスタンピードのことは話をしてきたけれど、映像とはいえ、これだけのゴブリンの大群がネーデの森から飛び出してきたのを見て、自分がしでかしてしまったことに恐怖を感じたんだろうね。
 ゴブリンたちは、いろんな方向へと走っていく。
 王都オブリールの方へ、商都ビジードの方へ、そしてこのガエールの方へ、各地に散らばる小さな村や、オブルリヒト王国の北に位置するベルゼフ王国へと走っていくのもいる。
 これ、一体どれくらいの数なの?
 前にアルバトスさんと話をしたときは、三千体は居るんじゃないかって話していたけれど、五千体? ううん、一万体は居るんじゃないかな?
 一万体だとしたら、予想していた数の三倍以上になる。
 ゴブリン単体は比較的弱い魔物だけど、こんな大群になると、一体どうしたらいいんだろう?
 この大群を何とかするつもりって言っていたユリウスとサーチートは、大丈夫なの?

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