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鍾乳洞
しおりを挟むギルドマスターの部屋で、今回の事件の報酬をもらっていた。
「よく来てくれた。金貨200枚だ。遠慮せずに受取れ」
あ、200枚もなると重いぞ。
「あれから王都は大変だったらしい。あまりおおやけにできないが・・・」
「それは大変でしたね」
「領主連合で王都へ乗り込んだ。そして、ちょっと内乱めいた事が起きたらしい。しかし、目の前で吸血鬼を殺されたら誰もが信じたろうな・・・」
「王は無事だったんですか・・・」
「王は、叔父によって殺されたよ」
「肝心のヴァンパイアは、見つかりましたか・・・」
「お前が逃げた日に逃げたそうだよ。用心深くて狡猾な男らしい」
こっちでは男のようだ。
俺はもう係わりたくないが、向こうはどう思ってるか分からんな・・・
せっかくの乗っ取り計画が、俺に邪魔された形だ。
きっと恨んでるはずだ。
「それでだ。ここの冒険者も領主と一緒に王都へ同行したまま帰って来てない状態だ。すまないが1つの村が危険にさらされてるんだ」
「危険な村ですか・・・具体的に何があったのですか」
「ある場所に魔物の骨が大量に発見されて、なぜあるのか分からないらしい。俺は強い魔物が棲みついていると考えている。しかし、それが本当なのかを調べて欲しい」
「どこまでやれるか分かりませんが、やってみます」
4輪バギーを村の入口前で、急ブレーキを「キキキ、キーー」と響きかしてようやく止まった。
子犬を追い駆けて子供が飛び出したからだ。
「ばか野郎」と怒鳴った。
こんな異世界で、交通事故なんか真っ平だ。
子供は驚いて泣き出している。ヤバイと思った俺は、「泣くなよ」となだめても泣き止む気配もないぞ。
「あんたは誰だね!ター坊を泣かして、もしかしてター坊を誘拐する積もりかい」
えーー!何でそんな話になるんだよ。
「急に飛び出してくるから、ひき殺すかと思っただけだ。こっちこそ迷惑だ!」
「なんだね、騒がしくしてるのは・・・」
「あ!村長、このよそ者が、ター坊を泣かせるから・・・」
「俺は、アルポスのギルドマスターから頼まれたゴールドランクのイサムだ」
「ゴールドランクとは・・・よくぞ来てくれました」
「え、この方がゴールドランク・・・見た目は若いのに・・・」
そうなのだ。ドラゴン討伐が評価されてギルドの最高ランクのゴールドランクになったのだ。
「申し訳ないが・・・この村の近くに巨大な魔物が居るみたいなのです。見て来てもらえないだろうか」
これが今回の依頼だ。この村長とギルドマスターは知り合いらしい。
ここが村長の言った崖か・・・普通によじ登れないレベルだぞ。
そんな崖に2メートルの洞窟が、口を開けて待ち構えていた。
「この中に入るのか・・・なんかダンジョンぽい・・・だから村長も心配してるのか・・・まあ大丈夫だろう」
なんだ・・・入ったら天然の鍾乳洞だ。
「凄い景色だなーー。あ!水たまりだーー」
この先は、1メートリの穴だぞ・・・こうなったら這ってでもいくぞ。
そして長かった穴からようやく這い出したぞ。
「なんて広い空間だ」
ここが村長の言ってた場所か・・・神秘的だ。
それに、どでかい骨が散らばっているぞ。
魔物をあまり知らない者が見れば、怖がるレベルだ。
「それにしても、この骨は何の骨だ」
我を忘れて骨を繋ぎ合わせた。
「この骨は、こっちだな」
ようやく完成だ。3メートリの骨太の人間の骨格だ。
ただ違うのは、頭蓋骨に1本の角が生えていた。
「これは・・・間違いなくオーガの骨だ」
オーガもヴァンパイアと同じ魔人の亜種だ。
魔術は使えないが、筋力や素早さと防御力が魔人の中でトップクラスだと本には書いていた。
ヴァンパイアは、夜しか活動出来ないので魔人から嫌われた存在。
それに対してオーガは、魔法が一切使う事が出来ないので、下級魔人として人間と同等の扱いらしい。
だから人間界の大陸へ逃げて来たのか・・・・・・
1体のオーガだけでは判断は難しい。
あ!なんと鍾乳洞がまだ奥まで続いてるぞ。
歪な穴だが、暗黒刀で広げながら1時間も掛けて抜け出した。
穴の外は、森が眼下に広がっていて鳥が飛び交い、涼やかな風が吹きつそんなけているぞ。
なんと、ここも直立に近い崖だ。
そんな広がる世界のはるか遠くに建物らしき物が見えた。
双眼鏡を出して建物を見続けた。
「あ!生きたオーガだ」
取りあえず、あの建物近くまで偵察してみるか・・・
ザイルを穴の出っ張りに括り付けて、スルスルと500メートル下まで降りた。
しばらく4輪バギーで走り続けて、途中で急ブレーキを掛けた。
しまった・・・すっかり油断してしまった。もう包囲されて逃げ場がないぞ。
2メートルのオーガたちが姿を現した。
手に大剣を持った青いオーガが俺の前で「お前は、何者だ!」と叫んだ。
【ベル・モント】(オーガ)
魔法耐性
物理耐性
毒耐性
力強化
素早さ強化
体力回復
なんとオーガのスキルが、こんなにてんこ盛りだったとは知らないぞ。
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