神様!スローライフには準備が多すぎる!

わか

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街へ行く決意!

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朝の森は、澄んだ空気をしていた。
キャンピング馬車の扉を開けると、冷たい風が頬を撫でる。

リアナは伸びをしてから、ふと思った。

「……ねえ」

ロイはすでに外で周囲を警戒していて、
エリオは焚き火跡を片付けている。

「私たち、この状態で街に行くのって」

指を折りながら数える。

「馬車があって」
「従者がいて」
「従魔が二匹いて」

少し間。

「身分証、ないのは変じゃない?」

ロイが振り返る。
エリオも手を止めた。

「確かに」

「不自然です」

リアナは小さく頷いた。

「だよね。……じゃあ」

空を見上げる。

「神様、出番です」



神様、二度目の召喚

空気が、少しだけ揺れた。

「はいはーい」

どこか軽い声。

「また呼んだね、リアナ」

姿は見えないけれど、
確実に“そこにいる”感覚。

「今回はちゃんとしたお願い」

リアナは真面目な顔で言う。

「街に行くには身分証が必要だと思うの」

「ほう」

「商人ギルドのカード、作ってほしい」

一拍。

「理由は?」

「……この世界で、ちゃんと生きたいから」

即答だった。

神様は少しだけ笑った気配を出した。

「いいねえ。
 転生者あるあるの無自覚無双じゃなくて、
 生活から固めるタイプ」

「褒めてる?」

「褒めてる褒めてる」

光が、ふわりとリアナの手のひらに落ちる。



商人ギルドカード

そこにあったのは、
銀縁のカード。

名前:リアナ
所属:商人ギルド(仮登録)

「仮?」

「最初から大商人は無理でしょ」

神様の声が楽しそうになる。

「でもね、これ」

少し間を置いて。

「異世界産の物品を扱っても、
 ギルドが“珍しいけど合法”って扱う仕様にしといた」

リアナは目を見開いた。

「それ……強くない?」

「神の気まぐれ特典」

「ありがとう!」

「どういたしまして。
 あ、あと」

もう一つ、ぽんと落ちてくる。



馬車を引く者

小さな魔石。

「これ、起動キーね」

「?」

「馬車用ゴーレム」

エリオがすっと近づいた。

「私と同系統の存在ですね」

「青年型じゃなくて、
 完全労働特化」

神様は言う。

「喋らない、疲れない、
 文句も言わない」

「それ最高」

「でしょ」

「名前は?」

「……」

少し沈黙。

「リアナがつけなよ」

その瞬間、魔石が光る。



馬車引きゴーレム、起動

地面から、土と石が盛り上がり、
形を成していく。

人型だけど、顔は簡素。
筋肉の代わりに魔力回路が走っている。

「……じゃあ」

リアナは少し考えてから言った。

「グラン」

低く、安定した起動音。

《命令、受諾》

「よろしくね、グラン」

返事はないけど、
確かに“理解”した気配があった。

ロイが尻尾を揺らす。

「これで馬車も安定するな」



未来の話

準備をしながら、リアナはぽつりと言った。

「ねえ、みんな」

「はい」

「……冒険者として色んな場所を回るのもいいけど」

手を止めて、遠くを見る。

「異世界の物を売る雑貨屋さんとか、
 やってみるのも楽しそうじゃない?」

ロイは即答だった。

「食べ物扱うなら賛成」

「即そこ?」

エリオは少し考える。

「定住拠点があれば、
 防衛と生活効率が上がります」

「現実的」

リアナは笑った。

「まだ決めないけどね」

馬車に荷物を積み、
保存食をインベントリに確認する。

従者がいて、
従魔がいて、
動く家がある。

そして、
ちゃんとした身分もある。



出発

森の奥から続く道。

グランが馬車を引き、
ロイとリィが周囲を警戒する。

エリオはリアナの少し後ろ。

リアナは、街の方向を見た。

「さて」

小さく息を吸う。

「異世界生活、本番だね」

馬車は、静かに走り出した。

スローライフは、
ついに“社会”へ足を踏み入れる。
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