【完結】完璧アルファな推し本人に、推し語りするハメになったオレの顛末

竜也りく

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僕を選んでくれたなら

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「側妃にお望みだと。イオスタ殿下は魅力的なお方だし、側妃として一番お傍に侍って殿下の身を守れるというのならば、ルキノは喜んで嫁いでしまうだろう?」

「それは……そうかも」

「さっきより全然驚かないね。……ルキノは側妃になりたいの?」

そりゃ、なんで? なんの話? って思っちゃいるけど、アルロード様に好きとか結婚しようって言われるのに比べたら心臓のバクバク具合が違うっていうか。

「いやなんかもう、異次元の話っていうか、現実味がなくて」

側妃なんてなりたいと思ったことはもちろんないし、何する人かすら分からない。なりたいもなりたくないもないっていうか。

「そうか、是非ともというわけではないんだね。では改めて、僕との結婚を考えてみてはくれないだろうか」

「……っ」

思いがけない側妃うんぬんの話がでてようやく落ち着いた頬が、一気にまた熱を持つ。

「そんなに可愛い顔をされると期待してしまうんだけど」

「仕方ないじゃないですか……! お願いだからちょっとだけ黙っててもらってもいいですか? なんとか落ち着くんで」

アルロード様がオレを殺しに来てる。ずっとずっと推してきたアルロード様にそんな甘い言葉言われたら、心臓が体を突き破って星空まで大ジャンプしそう。

「あの……聞き間違いじゃなかったら、さっき『アルロード様はオレの推し』って言ってたよね? もしかしてルキノの『あのお方』って」

「~~~~~っ!!!!」

ボフッと音がするくらい、自分でも赤くなったのが分かった。

「僕なのか……!!!」

バレた! 完全にバレた!!!

しかもこのタイミングで!!!!!

「そうか! そうか……良かった……!!!!」

寝っ転がったままのオレに、アルロード様が覆いかぶさってくる。そしてそのまま、ぎゅうぎゅうに抱きしめられた。

「君があんなにも思いを寄せていた『あのお方』が、まさか僕だなんて……!」

「でも! でも、オレのは『推しへの愛』で恋愛とはちょっと違うって言うか」

「分かっている。けれど、ルキノは『あのお方』が愛する人と結婚して、幸せになって欲しいんだよね?」

「そうなんですけど、お願いアルロード様、離して……」

「しかも僕と結婚すれば、偶然なんか頼らなくても朝起きた瞬間から夜寝る瞬間まで『あのお方』を見放題」

「そうなんですけど~……」

アルロード様に抱きしめられるだなんてとんでもない幸運に、もう鼻血が出そうな僕は、もういっぱいいっぱい過ぎて頭がまわらない。

しかも、朝起きた瞬間から夜寝る瞬間までアルロード様を見放題だなんて、なんて魅力的な……!

オレがぐらっと来たのが分かったのか、アルロード様が身を起こしてオレの顔を覗き込んでくる。

なんでそんなに目がキラキラしてるんだよ……! 麗しすぎて目がつぶれそう。

「しかもルキノが僕を選んでくれたなら、僕は最高に幸せになれる」

「幸せ……?」

「そう。ルキノ、僕は君が殿下に嫁いでしまったらと思うと、悲しくて夜も眠れないんだ。逆に、君の言葉ひとつで天にも昇る気持ちになれる」

オレの、言葉ひとつで。

「お願いだよルキノ。僕と結婚するって言って。どうか、僕を幸せにしてくれないか?」

大好きで大好きで大好きな人に、そんなこと言われたらもう無理だった。

「ううう……オレが……オレが!!! アルロード様を幸せにします……!!!」

「ルキノ!!!」

オレはこの日、アルロード様と結婚する決意を固めたのだった。


***


それからのアルロード様の行動は信じられないくらい早かった。

翌日の午後には父さんと母さんにアポイントが入ったかと思うと、アルロード様のご両親だけでなく先代の騎士団長オーソロル卿まで伴って現れたものだから、オレはもちろん両親だって弟だって使用人のみんなだって飛び上がって驚いた。

オレたち男爵家に、公爵家のご家族やオーソロル卿がそろい踏みで現れるだなんて、一生のうちにあるかどうかっていう天変地異レベルの案件だ。

なんでこんな大所帯で……と思ったら、どうやらオーソロル卿は見届け人のような立場だったらしい。

「オーソロル卿、王家に連なるお方との縁談、と仰っておりましたが、まさかヴァッサレア公爵家のご子息とは……しかし、アルロード様は妻帯どころかまだ学生では」

驚く父さんに、オーソロル卿は苦笑して見せた。

「うん、まぁ、そこはこれから事情をゆっくり話すとして」

基本的には家同士の話し合いになるものだから、オレとアルロード様は最初の顔合わせが済んだらさっさと応接室の外に出されてしまった。

あまりの急展開で思考が追い付かない。

しかもぶっちゃけるとまさかこんな急展開になるなんて思ってもいなくて、家族にどう話したものかと悩んだ挙句、まだ何も言えてない。なのにこんな事になるだなんて。

父さん、母さん、本当にごめんなさい。

昨日からびっくりし通しの焦りっぱなしでもはや思考停止状態に陥ったオレは、どうしたらいいか分からないまま隣に立つアルロード様を見上げる。

そこには、とろけるような笑顔のアルロード様がいた。

「……っ」

破壊力……っ。

なんたる麗しさ。こっちの目までとけそう。
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