臆病者の転生ヒストリア〜神から授かった力を使うには時間が必要です〜

たいらくん

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第一章 王国編第二部(中等部)

エピソード? 戦闘祭り ジェイミーとモーストサイド

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(あの光は……)

「ちょっとジェイミー!」

 オレを呼ぶ声が聞こえて南方の上空に輝きが漏れていた空から目を離した。

「なんだよルーシー!」

「やっと反応してくれた。もう! さっきから方針を決めているのに何一人だけ上の空なの。みんなと話し合わないとダメでしょ」

 姉のように振る舞うのはオレと双子のルーシーだ。オレ達が顔が似てないのは二卵性双生児だからだ。しかもアイツは先に産まれたからと言うだけで、とてつもなく私がお姉さんなのよと言いたげにお姉さん風を吹かせている。

(はぁー面倒だぜ)

 オレはルーシー達の方へ振り向いて話し合いに参加した。

「あ、あのジェイミー君、ルーシーさん。僕達は昨年の戦闘祭りに出てないから、経験者の二人の意見を参考にしたいんだけど……」

 いかにも真面目という印象のセンター分けで黒縁メガネのロベルトが申し訳なさそうな表情で話し合いの先陣を切り出した。

「そうよね。私達も戦闘慣れしていないから魔法で後方支援しかできないし……」

 そう言って困った表情をしているのはマルディー姉妹だ。
 と言っても本当の姉妹ではなく、名前が一緒という事とお互いに初級の風魔法の使い手という類似点から姉妹と名付けられている。

(おいおいオレ達一組のメンバーは……こっちに委ねられてもなぁ……南に行くよりも、東に向かいどこかに潜伏するか? いや魔法というアドバンテージを活かして見通しの良い場所を選ぶか?)

 そう考えてオレはルーシーに目で合図した。

「何? ジェイミー」

「南の空に光が見えた。多分戦いが起こったはずだ。オレ達は東に行き、建物に潜伏するか見晴らしの良い広い場所に行くべきか……」

「とにかく東に進みましょう。ジェイミーは先頭でその後ろにマルディーさん達と私、一番後ろはロベルト君でどうかな?」

「まぁオレは前衛だから、お前が指揮する事になるから、お前が指揮しやすいようにしたらいいだろ」

「うん、わかったわ」

 ルーシーは一つ頷き、みんなに詳細を説明した。 
 みんなもオレ達の方針に賛成で東に進むことにした。
 しばらく歩くと二階建てのバルコニー付きの建物が見えてきて、周りを見渡すためにオレ達はバルコニーに向かった。

「ここからだと五百メートル程東に進むとたくさんのテントが見えるぞ」

「そうね。あそこなら広場を取り囲むようにテントが並んでいるから潜伏もできるし、魔法で戦う事も出来るわ。でも攻撃魔法は初級までだから私には制限かかるわね。火の中級魔法が使えないのが痛手だわ」

(ルーシーはマクウィリアズ王国でも少数な中級魔法が使える魔法使いだからな。学院の生徒よりも、いや教師よりも魔力や魔法のコントロールに長けている。そこまで制限はないだろう)

「あっ! ルーシーさん。あそこの壁に人影が見えたよ!」

「なに?」

 ロベルトの声にオレ達は警戒体制を取った。
 このバルコニーからだと確かに壁の向こう側が見え、そこには五名の生徒が何やら話し込んでいた。

「ルーシー」

「うん! 任せて」

「私達も協力します」

 ルーシーとマルディー姉妹は詠唱を始めて攻撃の準備をする。
 まだ敵は気づいてない。

「「ウインドカッター」」

「ファイヤーボール!」

 マルディー姉妹の風の魔法による風の刃が敵に飛んでいく。

「グワッ」

「うわぁー」

 パキン!

 壁の向こう側の二人の腕に見事に的中して、二人脱落した。

「ギャアー」

 ルーシーは火の魔法を二つ放ち、慌てふためく敵の両腕に見事に命中させていた。

「クソ! あのバルコニーからの攻撃だ! 一旦建物まで向かうぞ」

「おう!」

 敵達はこちらの建物に走り出すが、もうすでに遅い。
 オレはバルコニーから飛び降りて、扉を開けようとする敵達の背中目掛けて一閃……

 こうして無傷の勝利を収めて、二年二組を撃破し、東に見えるテントへ向かった。






……………………その頃一年一組モースト達は


(はぁ……何と愚かなことか………………この崇高なる戦闘祭りに、下劣な平民どもが参加するとは虫唾が走る)

「モースト君……よろしく」

 私に話しかけてきたのは、パリストン辺境伯の次男、ヘクター・バリストン君だった。

(確か、バリストン家の長男のロナルド様は私と同じ貴族である事を誇りに思う貴族の鏡のような人格者だったはずだ。もちろんヘクター君も偉大なる兄上の影響を受けているだろう)

 私はヘクター君に微笑んだ。

「あぁヘクター君、珍しいね。君が参加するとは」

「うん。その嫌いな奴が参加するからどうしてもやつけたいんだ。クックック」

「へぇー君がそんなに憎いと思う相手がいるなんてね。その人に何かされたのかい?」

「ぼ、僕は直接何かされたわけじゃないけど、平民のくせに目障りなんだ」

 一瞬だけヘクター君の目は殺意を感じるほどの憎悪が浮かんでいた。
 そして私も平民という言葉に反応した。

「平民か……君がそんなゴミを気にするとは思わなかったよ。確かにゴミ達は我々貴族に搾取される家畜のようなモノだが、君は清く澄み渡る心の持ち主なんだね」

「そ、そうだよね。僕も兄上のような考えに賛同なんだけど、どうしても許せない奴達がいて、気にするわけじゃないんだけど…………邪魔だから消そうと思うんだ」

(ハッハッハ、消す? 平民を? なんて面白いんだヘクター君は。平民なんか社会的に抹殺する方法なんかいくらでもあるさ。しかしこの戦闘祭りで大恥をかかすと言う事か…………それも良い。もう一度平民達に貴族の何たるかを教えてやるのも一興。私も僭越ながら協力させてもらおう)

「ヘクター君、私も微力ながら協力しよう」

「あ、ありがとうモースト君! あの二組と三組の平民の奴らを痛めつけたいんだ。毒薬も用意しているから最悪殺しても…………」

「モースト様、ヘクター様! 彼方にテントが見えます」

 私とヘクター君の話に横槍がやってきた。
 どうやら目的地に近づいたようだ。

「よし! ひとまずテントを目指せ! そこに援軍がやってくる」

「「「「えっ?」」」」

「私が無策でこの戦闘祭りに挑むと思うか? もうすぐサッソと言う三組の生徒がやってくるはずだ」

「見つけたぞ」

 私達の後方から声が近づいてくる。
 どうやら先輩方が走ってきているようだ。

「私とヘクター君ら先にテントに向かう。君達はここで足止めをしてくれたまえ」

「「「はい!」」」

 そして私とヘクター君はテントに急いだ。
 ヘクター君は私の顔を見て何か言いたそうな顔をしていた。

「ヘクター君何か?」

「え、いえ……僕達だけ逃げてよかったのかなと」

「大丈夫だよ。最後まで残る事が最優先だ。それにこちらにはカーンとサッソがいる。二組と三組の仲間割れを起こさせて後は私達が奇襲をかけて勝利だ」

「うん」

「さあもう少しでテントだ」

「モースト様! こちらです」

 一つのテントからサッソが手を振って私を呼んでいる。
 どうやら上手くいったようだ。

「無事に来れたかサッソ」

「はいモースト様! ちょうど良い所で戦闘に巻き込まれたのでその隙をついて逃げてきました」

「では三組の情報を教えてくれ。そしてその後何事もなかったかのように三組に戻ってくれ。私達の目標は二組と三組の平民達だ。しばらくはここに潜伏して頃合いを見て仲間割れを起こしてくれ!」

「はい! わかりました! カーンにも伝えておきます」

 私達は無事にサッソと合流でき、お互いに情報を共有する事はできたが、事態は思わぬ方向へ進んでいた。
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