[完結]間違えた国王〜のお陰で幸せライフ送れます。

キャロル

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17 マリアンヌの父と母

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フランとの話を終えた国王はその足で王妃キャロルの元に向かった。

「キャロル…少し話をしたいのだが…良いか?」

「ええ、勿論いいですよ、この後は何も予定ありませんので、…でもジョエル国王がこのような早い時間に私の元を訪れるなんて珍しいですね。」

「ああ、そういえばそうだな……実は近々フランが獣人国に行くことになったのだが、その際マリアンヌが望めば離縁もしくは婚姻白紙とし連れて帰ることになるかもしれぬ。」

キャロルは以前フランがマリアンヌの輿入れが決まった時私の元を訪れて

『母上、いずれ私がフランが即位したら必ずマリアンヌを迎えに行きますので心配しないでください』

と言っていろいろ準備していたのは知っていたがまさかそれに関することを夫のから聞かされるとは思わなかった。
しかもマリアンヌが離縁することに反対してない様子のジョエル国王に驚いていた。

「離縁…させても良いのですか?これは…あなたの…王命による婚姻だったのでは無いですか!私とフランの反対を押し切って結んだ縁だったのでは無いですか?」

キャロルは相手が獣人だから反対したのではない相手が番に拘っていたから反対したのだった。

「ああ、あの王がマリアンヌの番だったから嫁がせたのだ!番であれば唯一と大切に愛しんでくれるし人間のように浮気や心移りが無い故に幸せになれると思ったのだが……また私は間違えた様だな…」

「え?番?そんな…それならそうと仰ってくれたなら私は……私がマリアンヌに渡した指輪は……そのせいでマリアンヌはあの王に番と認識されず冷遇されてしまったのですか?…私のせいで……」

キャロルは震える声でジョエルに詰め寄った。

キャロルはこの結婚は政略結婚だと思い、もしも王以外の獣人の番と認識されて揉めることを防ぐためとそれ以外のも保護魔法や治癒魔法が施されていたのでマリアンヌを守ってくれるだろうとの思いの形見の指輪を託した…それにキャロルの恋人だったネイトの形見がマリアンヌを幸せに導いてくれる様な気がしたので持たせた。それがまさか…、

「いや、違う、そなたのせいではない!例え魔道具をつけていても輿入れ時から会うこともなく離宮に追いやられ挨拶すらされてなかった。そんな愚かな男はたとえ番だとしてもマリアンヌに相応しくなかったのだ。おそらくあの王とは縁がなかったのだ。
それにマリアンヌはそなたの指輪が良き相手と巡り合わせてくれたようだ!毎日楽しく過ごしているぞ!」

「え?本当ですか?…離宮では楽しく暮らしていると言うのは本当だったのですか?手紙には楽しく暮らしていると書かれていましたが…私を心配させない様にとのあの子の配慮かと思ってました。……それに良き相手?とは?」

「ああ、この上なくマリアンヌを大切にしてくれるだろう。そなたの知っている相手だからな」

「?私が…知っている?」

「最後に彼に会ったのは…かれこれ14年も前になるか?…あの湖畔であったであろう?ネイトが連れていた彼の甥に…今では獣人国最強騎士となった獅子の獣人ギスランだ!」

「……ネイトの……あの少年?……でも…ジョエルはそれでいいの?」

キャロルは過去に思いを馳せポロポロと大粒の涙を流した、彼が息子の様に可愛いがっていたあの時の少年が…マリアンヌと

「キャロル、私はそなた達にはこの世界の為とはいえ辛い選択をさせてしまった。……きっとこの縁はネイトが結んでくれたのであろう。反対はせぬ!……キャロル…私はそなたの心が私に無いことは知っているが…それでもここに留め置く事を許して欲しい…私は…私にとってはキャロル…そなたが唯一無二の存在なのだ!手放せない私を…死ぬまでそなたを愛することを許して欲しい。来世は彼にネイトに譲ろうだがだけは私の側にいて欲しい。」

「ジョエル……私の方こそ許して欲しい。こんな私を愛してくれて…大切にしてくれていたのに…いつの間にかあなたに惹かれていた自分に嫌悪していて酷い態度をとったのに…」

「キャロル、いいんだよ、私は彼を今も変わらず愛している君を愛しているんだ。彼の次でいい私のことも好いてくれているなら嬉しいよ。」

キャロルは2人の男に愛された、愛されている。

キャロルはジョエルの唯一としてこの世界に呼ばれこの世界を救う鍵となる女性だった、つまり異世界からの転移者だった。

それがほんの少しの悪意によって運命が捻れてしまいキャロルはジョエルと結ばれるはずがネイトと先に出会い彼を愛してしまった。

そして拗れた関係はこの3人の運命を狂わせてしまった。

ジェエルに素直になれなかったキャロルは今やっとジョエルの気持ちを聞いて素直になろうと思った。

『私はネイトとジョエル2人の男を愛してしまった』と……。


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