忘れられない思い

yoyo

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恋人未満?⑴

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「じゃあ、また」

   そう言うと先生は、部屋を出て行く。先生と気持ちを伝え合ってから1ヶ月経って、ボクの家で一緒にご飯を食べることが増えた。
   今までも、そこそこまんぷく屋でご飯を食べることが多かったから、それがボクの家でも食べるようになったくらいで、特に今までと何も変わってはいない。
   うちに来てもご飯を食べるだけで、今日も明日は土曜日で休みだけど、いつも通りに帰ってしまった。

   確かに、ボクは男同士は経験がなくて不安な部分もあるけど……
   先生に触れたいと思うのは、ボクだけなんだろうか……




「おーい。聞いてるか?」

   久しぶりに、都築さんと外勤に出ていて、そのまま直帰になったので飲みに来ていた。

「あ……すいません」

「なんだ?また、恋煩いか?そう言えば、この間の人とはどうなったんた?」


   どう答えていいのか、言い淀んでしまうけど、話は聞いて欲しくて、当たり障りない部分をかいつまんで話した。
   もちろん、相手が男であることは伏せて。


「へぇ~じゃあ、その人とはうまくいったんだ。良かったじゃん。じゃあなんで、そんなに浮かない顔してるんだ」

「いや……何というか……なかなか先に進めないなぁと思って……」

「ふ~ん。もっと、イチャイチャしたいってわけね」

「べっ、別にそんな訳じゃ……」


   都築さんに、ニヤニヤしながら突っ込まれると、咄嗟に言い訳をしてしまったが、あながち間違っていない。


「お互い奥手ってことかね~。でも、確か年上の人じゃなかったか?尊敬か恋愛かで悩んでたよな。ということは、かなり年上とか?」

「よく覚えてますね……8つ上です」

「それじゃあ……年齢差で相手も戸惑ってるのかもなぁ。大事にしたくてっていうのもあるだろうしな。ちゃんと気持ちは言葉にしておかないと、すれ違ってしまうよ。まずは、ちゃんとコミュニケーション取ることが大事かもな」


   いつもはからかい調子の都築さんに真面目に言われると妙に説得力があり、まるで経験者から語られているようだ。


「都築さんって、年下の彼女とかいるんですか?」

   そう聞くと、都築さんは大きくむせて飲んでいたビールを吐き出す勢いだった。


「なんで……?」

「今の話、すごく説得力があったから。経験談なのかなぁって……。それに大事にしたいって事は上じゃなくて下なのかなぁって」


    都築さんは、しどろもとろに言葉を詰まらせる。こんな都築さんは、見たことがなくて、あはっと笑ってしまった。


「そんな慌てるところを見ると、図星ですよね」

「あーもう。うるさい、うるさい」

「教えてくれてもいいじゃないですかー。ボクの話は散々聞いたのにー。いくつ違うんですか?」

「......10......」


   都築さんは確か今27だから、10違うってことは高校生……?
   でも、それ以上は何を聞いても教えてくれなかった。それでも、都築さんが彼女のことを大切に思ってる事は伝わってきたし、その年齢差のことで色々言われてきたことも想像できた。
   色々な恋愛の形があって、みんなそれぞれ真っ直ぐに真剣なんだよなと改めて思う。

   まずボクは都築さんに言われたように、今思ってることをしっかり先生に伝えて、先生がどう思っているのかも聞こうと思う。ボクたちは、だいたいを察することはできても、人の心を読むことができないから、ちゃんと言葉にしないといけないんだよな……
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