忘れられない思い

yoyo

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昔の話⑶

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「奥田くんとは同中なんだけど、ここだけの話、ゲイなんだよ。中学の時も1個上の男子と付き合ってたみたいだし……」

「えーマジ?俺、狙われたらどうしよう。あははは……」

「男で興奮するとか、マジ意味わかんね~。でも、今度からあんまり近づかないようにしておこうかな」


   そんな会話を教室の前で聞いてしまい、入るに入れなくなってしまった。もう、授業を受ける気分にもなれず、今から教室に入っても針のむしろなので、サボることにしたそのときだった。


「あのさぁ~、そういう話、物凄く気分悪いんだけど。やめてくれない?」

「はぁ?お前にそんなこと、言われる筋合い無いんだけど。話に入ってくんなよ」

「中学生みたいな幼稚な陰口、聞きたくないって言ってんの。それに、仮にゲイだとしてもさ、好みだってあるだろうし、誰でも恋愛対象になる訳ないじゃん。それとも何?お前らは女だったら、誰でもいいわけ?」

「えーなにー。園田くんも、もしかしてそっち系なの?奥田くんと付き合ってるとか~?」

「はぁ~。別に俺はゲイではないし、奥田くんとも付き合ってないけど、聞いててムカついたってだけ」




   この時、園田泰輔とはまだ友達でも何でもなかった。このドイツ語の授業は語学の選択科目で選ぶ奴が少なく、10名程しかいないから顔と名前は知ってはいたけど、それだけだった。
   だから、園田泰輔がなぜそんなにつっかかるのか、不思議だった。今までのオレの周りにいた人たちは、面白がって話に乗っかるか関わらないように避けるかのどちらかだったから。


   だけど、やはりこの空気の中の教室に入る気にはなれず、教室を後にした。
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