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これから⑸
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新幹線と電車を乗り継いで、指定された駅まで来ていた。北陸地方に来たのは初めてだ。今日からお盆休みと有給休暇を合わせて、10日程休暇を取っていた。隣に立つ同じくボストンバックを持った人を見つめる。本当なら隣には先生がいるはずだったけど、今隣に居るのは泰輔さんだ。
先生の記憶は実家に戻って来てからも、完全には戻っていなくてお義姉さんの美鈴さんから、日頃から関わっていたボクや泰輔さんと直接会ったら、何か思い出すきっかけになるのではないかと言われて、先生の地元まで来ていた。友花里さんも一緒に来るのかと思ったけど、大勢で行っても迷惑になるだけだし、元々お盆は泰輔さんと2人で旅行に行く予定になっていたようで、キャンセル料がかかるなら、友達と出かけてくると今朝一緒に出てきた。泰輔さんは「春人のせいで」と憎まれ口を叩いていたけど、本気ではないことは一目瞭然だ。
「美鈴さんが迎えに来てくれるんですよね」
駅の改札を抜けて、外に出るとジリジリと暑くて眩しい光に顔をしかめてしまう。駅前の小さなロータリーをキョロキョロ見回して、それらしい人を探す。
「あー、うん。さっき、メッセージが届いていて、白のN BOXだって。あ、あれかも……」
泰輔さんは指差した車に近づきながら、確認のために美鈴さんに電話をかける。目指していた車から女の人が降りて、ボクたちに軽く頭を下げた。
「園田くんと真野くんだね。園田くんは前に会ったのは10年くらい前だっけ?」
「あ、はい。ご無沙汰してます」
泰輔さんと美鈴さんは10年ほど前に1度会ったことがあるらしい。美鈴さんがたまたま、先生のところに遊びに来ていて一緒に出かけている所に偶然会って、軽く挨拶したと言っていた。泰輔さんは挨拶しかしてないから、もう会ってもわからないかもしれないと、出発するまで心配そうに呟いていた。
「真野くん、はじめまして。春人の姉の大野美鈴です」
「ま……真野匠です。は、はじめましてっ」
美鈴さんは泰輔さんからボクの方に顔を向けて声をかけてくる。スラッと背が高くてボクと背丈はほとんど変わらないくらいだ。電話では先生が帰省した時と、今回先生の状況を聞くのに話していた。美鈴さんにはもう先生と付き合っていることも、最初の電話時から話していて、今度遊びに来てと誘われていた。あの時は、まさかこんな形でお会いすることになるなんて思ってもいなかった。
先生の記憶は実家に戻って来てからも、完全には戻っていなくてお義姉さんの美鈴さんから、日頃から関わっていたボクや泰輔さんと直接会ったら、何か思い出すきっかけになるのではないかと言われて、先生の地元まで来ていた。友花里さんも一緒に来るのかと思ったけど、大勢で行っても迷惑になるだけだし、元々お盆は泰輔さんと2人で旅行に行く予定になっていたようで、キャンセル料がかかるなら、友達と出かけてくると今朝一緒に出てきた。泰輔さんは「春人のせいで」と憎まれ口を叩いていたけど、本気ではないことは一目瞭然だ。
「美鈴さんが迎えに来てくれるんですよね」
駅の改札を抜けて、外に出るとジリジリと暑くて眩しい光に顔をしかめてしまう。駅前の小さなロータリーをキョロキョロ見回して、それらしい人を探す。
「あー、うん。さっき、メッセージが届いていて、白のN BOXだって。あ、あれかも……」
泰輔さんは指差した車に近づきながら、確認のために美鈴さんに電話をかける。目指していた車から女の人が降りて、ボクたちに軽く頭を下げた。
「園田くんと真野くんだね。園田くんは前に会ったのは10年くらい前だっけ?」
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