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第11話 離婚のためにすべきこと。
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騎士団長の奥方であるテアから話を聞いた日。
アリシアは家に帰ると、すぐにお茶の準備に取り掛かった。
思い切って、いつもより高いケーキを買い、心を静めるためにハーブティーを淹れて一口飲んだ。
暫くすると、体の震えが止まる。
だんだん冷静になってくると、思考が動き始める。
(まずは真実を知らなければ。)
真実を知るためには、情報を集めること。
しかし、自分で集められる情報には限りがある。
アリシアは何かあった時のためにと、貯めていたお金を出してきた。
本来はローカスが、怪我や病気をした時のためにと貯めておいたお金だ。
ごはんを抜いたり、食べられる野草を取ってきたりして貯めたお金なので、使っても後ろめたいこともない。
街にはお金を出せば、情報を集めることをしてくれる人がいると言う。
紹介は街のギルドを通せば良いらしい。
騙されたり、犯罪に関わったりしないか不安はあるが、迷ってはいられない。
早速、ギルドを訪ねた。
守秘義務と信用問題に関わることになるらしく、一室に通されて事情を詳しく聞かれる。
「そうですね…そういったご事情なら、調査依頼は3店ほど紹介できますよ?」
「そうなんですね。こういう風に個人について調べてほしいという依頼はけっこうあるのですか?」
「ありますよ。特に結婚相手を調べたり、雇用する人間の身元調査なんかですかね。
相手の弱みを調べてくれというようなお話はお断りしますが・・・
そうそう、個人的にはこの2番目のところが一番腕が良いと思いますよ。」
丁寧にお礼を言って、紹介された場所へと向かう。
店の前に行くと、ひょろっとした少年がいた。
「あの・・・ギルドから紹介していただいたのですけど」
少年はアリシアをじろじろと見る。
「あ~~今はどこの依頼も受けないんっすよ。」
「え?」
「すみませんね~」
「ギルドではそんなこと言ってませんでしたけど」
「そりゃ、ギルドだって全部の状況なんて把握してないっしょ。」
明らかに小馬鹿にしたような言い方。
「あなたが責任者なんですか?」
「違うけど、お客さんについては俺が任されてますんで」
少年はムッとしたような口調で返した。
アリシアは唇をかんだ。
「なにしてんだ?」
奥からのっそりと男が出てきた。
「いえ、たいしたことじゃ・・・」
「ギルドからここが一番腕が良いと紹介されました。」
アリシアが少年のことばにかぶせるように声をあげた。
青年はアリシアに目をやり、次に少年を見る。
男からジロリと睨みつけられるとバツが悪そうに、少年は視線を逸らした。
「お客さんなら奥に入ってください。
話を聞きますんで。」
そう言って背を向ける。
少年が慌ててその後を追う。
「ちょ、リュウさん・・・いいんっすか?
上(客)じゃなさそうっすよ?」
小さな声で話しているつもりのようだが、アリシアの耳にはしっかりと届いた。
地味な装いで靴も擦り切れている。
確かにこれでは足元を見られても仕方がない。
少年にリュウは黙って拳骨を落とした。
アリシアは家に帰ると、すぐにお茶の準備に取り掛かった。
思い切って、いつもより高いケーキを買い、心を静めるためにハーブティーを淹れて一口飲んだ。
暫くすると、体の震えが止まる。
だんだん冷静になってくると、思考が動き始める。
(まずは真実を知らなければ。)
真実を知るためには、情報を集めること。
しかし、自分で集められる情報には限りがある。
アリシアは何かあった時のためにと、貯めていたお金を出してきた。
本来はローカスが、怪我や病気をした時のためにと貯めておいたお金だ。
ごはんを抜いたり、食べられる野草を取ってきたりして貯めたお金なので、使っても後ろめたいこともない。
街にはお金を出せば、情報を集めることをしてくれる人がいると言う。
紹介は街のギルドを通せば良いらしい。
騙されたり、犯罪に関わったりしないか不安はあるが、迷ってはいられない。
早速、ギルドを訪ねた。
守秘義務と信用問題に関わることになるらしく、一室に通されて事情を詳しく聞かれる。
「そうですね…そういったご事情なら、調査依頼は3店ほど紹介できますよ?」
「そうなんですね。こういう風に個人について調べてほしいという依頼はけっこうあるのですか?」
「ありますよ。特に結婚相手を調べたり、雇用する人間の身元調査なんかですかね。
相手の弱みを調べてくれというようなお話はお断りしますが・・・
そうそう、個人的にはこの2番目のところが一番腕が良いと思いますよ。」
丁寧にお礼を言って、紹介された場所へと向かう。
店の前に行くと、ひょろっとした少年がいた。
「あの・・・ギルドから紹介していただいたのですけど」
少年はアリシアをじろじろと見る。
「あ~~今はどこの依頼も受けないんっすよ。」
「え?」
「すみませんね~」
「ギルドではそんなこと言ってませんでしたけど」
「そりゃ、ギルドだって全部の状況なんて把握してないっしょ。」
明らかに小馬鹿にしたような言い方。
「あなたが責任者なんですか?」
「違うけど、お客さんについては俺が任されてますんで」
少年はムッとしたような口調で返した。
アリシアは唇をかんだ。
「なにしてんだ?」
奥からのっそりと男が出てきた。
「いえ、たいしたことじゃ・・・」
「ギルドからここが一番腕が良いと紹介されました。」
アリシアが少年のことばにかぶせるように声をあげた。
青年はアリシアに目をやり、次に少年を見る。
男からジロリと睨みつけられるとバツが悪そうに、少年は視線を逸らした。
「お客さんなら奥に入ってください。
話を聞きますんで。」
そう言って背を向ける。
少年が慌ててその後を追う。
「ちょ、リュウさん・・・いいんっすか?
上(客)じゃなさそうっすよ?」
小さな声で話しているつもりのようだが、アリシアの耳にはしっかりと届いた。
地味な装いで靴も擦り切れている。
確かにこれでは足元を見られても仕方がない。
少年にリュウは黙って拳骨を落とした。
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