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第18話 優しい時間を破壊する二通の手紙。
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それから、2年…。
アリシアは、子爵家に帰ることはなかった。
最初の1年は、頻繁に母マリアから手紙が届いた。
アリシアを、心配してる。
あなたを本当に愛してるのは、私たちだけ。
もう怒ってはいないから、安心しなさい。
家族で暮らしましょう。
アリシアのせいで、皆が困っている。
アリシアを絡め取ろうとするような内容に、毎回気持ち悪さを感じた。
跡継ぎ予定だったエミリアも、家を飛び出したとあった。
オリスナも、これには堪えたようで、以前よりも覇気がなくなったという。
そういった様々なことが、事業にも影響を及ぼしているらしい。
新進気鋭の新規事業者が、地方に進出してきて、子爵家の権益が脅かされているという。
国が行なった、教育の底上げを含めた富国制度が、オリスナのような保守的で古い価値観に凝り固まった貴族たちを、駆逐していった。
己が絶対で、新しいものを認めることができないオリスナ。
彼が携わった国の事業によって、子爵家が衰退していくとは皮肉なものだった。
アリシアは、事務的に短い手紙を返していた。
そのうち、送られてくる手紙の頻度が少なくなってきた。
手紙の差出人の名を確認するだけで、胸が苦しくなっていたので、手紙が来ないことに安堵した。
最初の頃、オリスナの言葉を思い出して、本当にこれで良かったのかと悩むこともあった。
傷物と言われた自分には、どれだけ悲惨な未来がまっているのかと、不安になって眠れない夜もあった。
しかし、一人暮らしに慣れてくると、オリスナの言葉は、アリシアを閉じ込め、思い通りにするための見えない檻だったのだと思い知った。
「アリシア、今度、西国の料理の店を開くことにしたんだけど、どうだい?」
「まあ、ぜひ食べてみたいわ」
リュウの提案に、アリシアは目を輝かせた。
先の遠征で発見された西国との国交が、半年ほど前に正式に樹立された。
最近では、その国の民芸品などが市井にも出回るようになった。
リュウは何でも屋の商売を弟分に譲り、貿易業を中心とした事業家になった。
アリシアとは、月に二、三度の頻度で、食事やお茶をしている。
街で見かける二人。
交際していると誰もが思っているのだけれど、本人たちは否定している。
リュウは、一度彼女に告白しているのだが、アリシアはそれを受け入れることができなかった。
リュウが、嫌いなのではない。
ただ、気持ちを踏みにじられた経験しかないため、愛情というものに、アリシアは懐疑的であった。
「かまいません。
俺の気持ちが信じてもらえるまで、がんばりますから。
お試し期間で、お願いします」
「それって、私が不誠実な気がするのですけど・・・」
「俺が、それで良いと言ってるんです」
アリシアは、少し悩みながらも了承した。
「お互いを、まずは知ることからはじめましょう・・・お友だちからでいいですか?」
「今は、それで充分です。」
その日から、ゆっくりとした付き合いが始まっている。
リュウとの何気ないひと時が、彼女の疲れた心を癒してくれた。
今日も、アリシアの部屋でお茶の時間を楽しんでいた。
彼女が飲み終わったカップを片付けていると、二通の郵便が届けられた。
手紙の差し出し人を確認したアリシアの顔色が、だんだん悪くなる。
「誰から?」
様子がおかしいことに、リュウが気づいて声をかける。
アリシアが、ぎこちなくリュウに手紙を渡す。
それはマリアとオリスナから、送られてきた手紙だった。
アリシアは、子爵家に帰ることはなかった。
最初の1年は、頻繁に母マリアから手紙が届いた。
アリシアを、心配してる。
あなたを本当に愛してるのは、私たちだけ。
もう怒ってはいないから、安心しなさい。
家族で暮らしましょう。
アリシアのせいで、皆が困っている。
アリシアを絡め取ろうとするような内容に、毎回気持ち悪さを感じた。
跡継ぎ予定だったエミリアも、家を飛び出したとあった。
オリスナも、これには堪えたようで、以前よりも覇気がなくなったという。
そういった様々なことが、事業にも影響を及ぼしているらしい。
新進気鋭の新規事業者が、地方に進出してきて、子爵家の権益が脅かされているという。
国が行なった、教育の底上げを含めた富国制度が、オリスナのような保守的で古い価値観に凝り固まった貴族たちを、駆逐していった。
己が絶対で、新しいものを認めることができないオリスナ。
彼が携わった国の事業によって、子爵家が衰退していくとは皮肉なものだった。
アリシアは、事務的に短い手紙を返していた。
そのうち、送られてくる手紙の頻度が少なくなってきた。
手紙の差出人の名を確認するだけで、胸が苦しくなっていたので、手紙が来ないことに安堵した。
最初の頃、オリスナの言葉を思い出して、本当にこれで良かったのかと悩むこともあった。
傷物と言われた自分には、どれだけ悲惨な未来がまっているのかと、不安になって眠れない夜もあった。
しかし、一人暮らしに慣れてくると、オリスナの言葉は、アリシアを閉じ込め、思い通りにするための見えない檻だったのだと思い知った。
「アリシア、今度、西国の料理の店を開くことにしたんだけど、どうだい?」
「まあ、ぜひ食べてみたいわ」
リュウの提案に、アリシアは目を輝かせた。
先の遠征で発見された西国との国交が、半年ほど前に正式に樹立された。
最近では、その国の民芸品などが市井にも出回るようになった。
リュウは何でも屋の商売を弟分に譲り、貿易業を中心とした事業家になった。
アリシアとは、月に二、三度の頻度で、食事やお茶をしている。
街で見かける二人。
交際していると誰もが思っているのだけれど、本人たちは否定している。
リュウは、一度彼女に告白しているのだが、アリシアはそれを受け入れることができなかった。
リュウが、嫌いなのではない。
ただ、気持ちを踏みにじられた経験しかないため、愛情というものに、アリシアは懐疑的であった。
「かまいません。
俺の気持ちが信じてもらえるまで、がんばりますから。
お試し期間で、お願いします」
「それって、私が不誠実な気がするのですけど・・・」
「俺が、それで良いと言ってるんです」
アリシアは、少し悩みながらも了承した。
「お互いを、まずは知ることからはじめましょう・・・お友だちからでいいですか?」
「今は、それで充分です。」
その日から、ゆっくりとした付き合いが始まっている。
リュウとの何気ないひと時が、彼女の疲れた心を癒してくれた。
今日も、アリシアの部屋でお茶の時間を楽しんでいた。
彼女が飲み終わったカップを片付けていると、二通の郵便が届けられた。
手紙の差し出し人を確認したアリシアの顔色が、だんだん悪くなる。
「誰から?」
様子がおかしいことに、リュウが気づいて声をかける。
アリシアが、ぎこちなくリュウに手紙を渡す。
それはマリアとオリスナから、送られてきた手紙だった。
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