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ケレイブside思わぬ再会
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「くそっ!くそっ!くそっ!…何て酷い運命なんだ!」
ケレイブは部屋の柱に拳を叩きつけて罵り、そして力なく項垂れた。
晩餐を終えて、ケレイブは逃げ出す様にして真っ直ぐに自室に籠った。これ以上自分の醜態を晒す気にはなれなかった。
男娼だった過去を秘密にして欲しいとノアから条件提示された時点で、ノアはケレイブを信用に値しないと言ったも同然だった。それは自分達の三年に渡る関係を踏みつけにする発言で、ケレイブを怒らせる理由になった。
この数ヶ月の、ノアに冷酷に捨てられたと恨み続けた日々もそれに加担した。
けれども身体を提供すると言われて、ケレイブの怒りは一瞬で形を変えて、ノアを突っぱねられなくなった。それほど迄にケレイブはノアを欲していたし、焦がれていた。
けれどその腹立ちのままノアを手に入れても、秘密を抱えるノアに漬け込む自分の卑劣さに自暴自棄になるだけだった。結果、乱暴な交わりになってますます自己嫌悪に陥った。
そんな気持ちにさせたノアを恨む気持ちは苛立ちとなって燻り続け、ケレイブは冷淡なノアの打算的なところを見逃さないと皮肉な気持ちで晩餐に意気込んだ。
けれど自分が付けた手首の痣を目にした瞬間、その気力はすっかり萎えてしまった。
ずっと男娼と客の関係だったとは言え、いつだってノアを大事に扱ってきたのに、全て御破算にしてしまったのは自分だ。
そして追い討ちを掛けるノアの家族への献身を知れば知るほど、前途洋々な若者だったノアがどんな思いで男娼として身を費やしたのだろうと想像すると、食事の味もせず息もまともに出来なかった。
考えてみなくても好きで娼家に居る者など居ない筈だ。何かしらの訳ありで稼ぎの為にそこに存在しているのだ。それを頭の何処かで理解していたのに、ノアに限って言えば好きでそこに居ると自分は思い込みたかったのだ。
「…私は馬鹿者だ。清廉な騎士の成りをしながら、大事な人の本当の感情にも気づけない愚か者だ。ああ、これからどうしたらいい?」
そう呟いたところで答えが返ってくる訳もない。そして中庭で再会した時に幻の様に感じた無防備なノアの姿と、晩餐に現れた、若く抜け目の無い洗練された美青年のノアを思い浮かべた。
一体どちらが本物のノアだろう。そのどちらにも男娼の頃の自分の知る蠱惑的なノアの面影はない。けれどどんなノアも自分を魅了する。娼家で評判のノアに会いに行ったあの時から全ては決まってしまっていた。
もう運命の交わる未来など失ってしまったというのに、縋る様な気持ちで何処かに決裂した運命の綻びが無いかと探しあぐねている。
ノアが男娼の頃はケレイブにもやりようはあった。十分なお金と喜びそうな贈り物、優しさと献身を示せばノアも応えてくれた。束の間とは言え、恋人同士の様な甘い時間を過ごす事も出来たのだ。
こんな時でも当時のノアの誘惑する眼差しと楽しげな笑顔を思い出せば、ケレイブの胸は締め付けられた。
義兄弟という後戻り出来ない関係になった自分とノアは、これから出来るだけ顔を合わせない様に振る舞うのだろうか。それとも家族の集まりがある度にぎこちなく他人行儀に言葉を交わすのか?
ケレイブは感情のまま部屋を飛び出していた。何も変わらなくてもノアにさっきの事を謝る必要があった。許されなくても、そうするべきだとケレイブの良心は疼いた。
客室を迷う気持ちのまま勇気を出してノックすれば、中から聞きなれたノアの声がする。
「…どちら様ですか?」
ケレイブは息を吸い込んで、落ち着く様に自分に言い聞かせると口を開いた。
「私だ。…ケレイブだ。ノアと話がしたい。どうかここを開けてくれないか。…頼む。」
沈黙と扉が開くまでのその時間、ケレイブは心臓がダメになるのでは無いかと思う程に緊張が続いた。部屋の扉が開くと、ノアはさっさと奥へと引っ込んでしまった。
夕方の情事を思い出す甘い香油の香りを微かに感じて、ケレイブは思わず息を止めた。ここは不味い。けれども訪問客であるノアと何処でこんな話をするべきか分からずに、テラス側に立つノアを離れた距離から見つめた。
「…話をさせてくれて感謝する。私は、…私は浅はかな人間だった。ノアがなぜ男娼をしているか考えもしなかった。いや、考えるのを避けていたんだ。考え始めたら私はノアに付け込めなくなる。ノアと一緒に過ごせなくなると分かっていたからだ。
…晩餐での君の振る舞いを見て、私は全部理解した。あれが本来のノアだって分かったんだ。事情も知らずに先程の様な醜い感情をぶつけてしまって、まして痣まで…。すまなかった。謝罪する。
ただあの頃の、ノアを大事にしたかった気持ちは本物だった。」
ランプの芯が炎で静かに燃える音が聞こえるような沈黙と静寂の後、ノアはケレイブから視線を動かすと、テラスを開け放った。少し離れた場所に置かれた中庭を照らす篝火から、パチパチと火が爆ぜる音がした。
「…許すも許さないも無いですよ。僕はケレイブ様に怒ったりしていませんから。生活のためとはいえ、あの頃の僕は打算的で傲慢だったのは確かです。
ケレイブ様が僕に想いを寄せていると気づいてましたから、ああして敢えて素っ気なくしたんです。さっきもお話ししたでしょう?僕たちが一緒にいる事は出来ないって。身分が違うんです。」
ケレイブはノアが頑なに自分を寄せ付けないのを歯痒く感じながら、このままそれを受け入れる事がお互いのためにとっての正解だと理解していた。けれど胸の奥で哀れにも叫ぶ声は別のことを伝えてきた。
「…私たちは形式上とは言え義兄弟だ。身分の差などもう無いのではないか?それに父上は双子の子供らの養父にはなったが、もう大人だったノアの養父にはなっていない。
父上はそれを望んだみたいだけれど、ノアは断ったらしいな?…今となっては私はそうならなくて良かったと思っている。ノアと法律上も義兄弟になってしまったら、私にはもう絶望しか残されない。」
こんなに感情的になったのは子供の頃以来で、ケレイブは自分でも何を言っているのか判断できないまま、心のままに吐露していた。
篝火を見つめていたノアが不意にケレイブに振り向くと、首を傾げて尋ねてきた。
「ケレイブ様は僕に何を求めてるの?僕にはもう余分なお金は必要ないし、自分の事業を始めてそこそこ軌道に乗っている。…愛?僕は娼家での生活で、愛はお金を出せば買えると知ってしまった。
ケレイブ様も僕にそうしたでしょう?」
ケレイブは部屋の柱に拳を叩きつけて罵り、そして力なく項垂れた。
晩餐を終えて、ケレイブは逃げ出す様にして真っ直ぐに自室に籠った。これ以上自分の醜態を晒す気にはなれなかった。
男娼だった過去を秘密にして欲しいとノアから条件提示された時点で、ノアはケレイブを信用に値しないと言ったも同然だった。それは自分達の三年に渡る関係を踏みつけにする発言で、ケレイブを怒らせる理由になった。
この数ヶ月の、ノアに冷酷に捨てられたと恨み続けた日々もそれに加担した。
けれども身体を提供すると言われて、ケレイブの怒りは一瞬で形を変えて、ノアを突っぱねられなくなった。それほど迄にケレイブはノアを欲していたし、焦がれていた。
けれどその腹立ちのままノアを手に入れても、秘密を抱えるノアに漬け込む自分の卑劣さに自暴自棄になるだけだった。結果、乱暴な交わりになってますます自己嫌悪に陥った。
そんな気持ちにさせたノアを恨む気持ちは苛立ちとなって燻り続け、ケレイブは冷淡なノアの打算的なところを見逃さないと皮肉な気持ちで晩餐に意気込んだ。
けれど自分が付けた手首の痣を目にした瞬間、その気力はすっかり萎えてしまった。
ずっと男娼と客の関係だったとは言え、いつだってノアを大事に扱ってきたのに、全て御破算にしてしまったのは自分だ。
そして追い討ちを掛けるノアの家族への献身を知れば知るほど、前途洋々な若者だったノアがどんな思いで男娼として身を費やしたのだろうと想像すると、食事の味もせず息もまともに出来なかった。
考えてみなくても好きで娼家に居る者など居ない筈だ。何かしらの訳ありで稼ぎの為にそこに存在しているのだ。それを頭の何処かで理解していたのに、ノアに限って言えば好きでそこに居ると自分は思い込みたかったのだ。
「…私は馬鹿者だ。清廉な騎士の成りをしながら、大事な人の本当の感情にも気づけない愚か者だ。ああ、これからどうしたらいい?」
そう呟いたところで答えが返ってくる訳もない。そして中庭で再会した時に幻の様に感じた無防備なノアの姿と、晩餐に現れた、若く抜け目の無い洗練された美青年のノアを思い浮かべた。
一体どちらが本物のノアだろう。そのどちらにも男娼の頃の自分の知る蠱惑的なノアの面影はない。けれどどんなノアも自分を魅了する。娼家で評判のノアに会いに行ったあの時から全ては決まってしまっていた。
もう運命の交わる未来など失ってしまったというのに、縋る様な気持ちで何処かに決裂した運命の綻びが無いかと探しあぐねている。
ノアが男娼の頃はケレイブにもやりようはあった。十分なお金と喜びそうな贈り物、優しさと献身を示せばノアも応えてくれた。束の間とは言え、恋人同士の様な甘い時間を過ごす事も出来たのだ。
こんな時でも当時のノアの誘惑する眼差しと楽しげな笑顔を思い出せば、ケレイブの胸は締め付けられた。
義兄弟という後戻り出来ない関係になった自分とノアは、これから出来るだけ顔を合わせない様に振る舞うのだろうか。それとも家族の集まりがある度にぎこちなく他人行儀に言葉を交わすのか?
ケレイブは感情のまま部屋を飛び出していた。何も変わらなくてもノアにさっきの事を謝る必要があった。許されなくても、そうするべきだとケレイブの良心は疼いた。
客室を迷う気持ちのまま勇気を出してノックすれば、中から聞きなれたノアの声がする。
「…どちら様ですか?」
ケレイブは息を吸い込んで、落ち着く様に自分に言い聞かせると口を開いた。
「私だ。…ケレイブだ。ノアと話がしたい。どうかここを開けてくれないか。…頼む。」
沈黙と扉が開くまでのその時間、ケレイブは心臓がダメになるのでは無いかと思う程に緊張が続いた。部屋の扉が開くと、ノアはさっさと奥へと引っ込んでしまった。
夕方の情事を思い出す甘い香油の香りを微かに感じて、ケレイブは思わず息を止めた。ここは不味い。けれども訪問客であるノアと何処でこんな話をするべきか分からずに、テラス側に立つノアを離れた距離から見つめた。
「…話をさせてくれて感謝する。私は、…私は浅はかな人間だった。ノアがなぜ男娼をしているか考えもしなかった。いや、考えるのを避けていたんだ。考え始めたら私はノアに付け込めなくなる。ノアと一緒に過ごせなくなると分かっていたからだ。
…晩餐での君の振る舞いを見て、私は全部理解した。あれが本来のノアだって分かったんだ。事情も知らずに先程の様な醜い感情をぶつけてしまって、まして痣まで…。すまなかった。謝罪する。
ただあの頃の、ノアを大事にしたかった気持ちは本物だった。」
ランプの芯が炎で静かに燃える音が聞こえるような沈黙と静寂の後、ノアはケレイブから視線を動かすと、テラスを開け放った。少し離れた場所に置かれた中庭を照らす篝火から、パチパチと火が爆ぜる音がした。
「…許すも許さないも無いですよ。僕はケレイブ様に怒ったりしていませんから。生活のためとはいえ、あの頃の僕は打算的で傲慢だったのは確かです。
ケレイブ様が僕に想いを寄せていると気づいてましたから、ああして敢えて素っ気なくしたんです。さっきもお話ししたでしょう?僕たちが一緒にいる事は出来ないって。身分が違うんです。」
ケレイブはノアが頑なに自分を寄せ付けないのを歯痒く感じながら、このままそれを受け入れる事がお互いのためにとっての正解だと理解していた。けれど胸の奥で哀れにも叫ぶ声は別のことを伝えてきた。
「…私たちは形式上とは言え義兄弟だ。身分の差などもう無いのではないか?それに父上は双子の子供らの養父にはなったが、もう大人だったノアの養父にはなっていない。
父上はそれを望んだみたいだけれど、ノアは断ったらしいな?…今となっては私はそうならなくて良かったと思っている。ノアと法律上も義兄弟になってしまったら、私にはもう絶望しか残されない。」
こんなに感情的になったのは子供の頃以来で、ケレイブは自分でも何を言っているのか判断できないまま、心のままに吐露していた。
篝火を見つめていたノアが不意にケレイブに振り向くと、首を傾げて尋ねてきた。
「ケレイブ様は僕に何を求めてるの?僕にはもう余分なお金は必要ないし、自分の事業を始めてそこそこ軌道に乗っている。…愛?僕は娼家での生活で、愛はお金を出せば買えると知ってしまった。
ケレイブ様も僕にそうしたでしょう?」
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