86 / 197
変異Ω
個別相談
しおりを挟む
俺は各ブースに大学関係者が並んでいるのを眺めていた。こうしていても仕方がないのは分かるが、どこの大学に行きたいかも考えていないのに、選びようがなかった。
叶斗と新は、俺の必死の断りで保護者面で付いてくるのを阻止したので、俺は一人でΩ事情を聞ける筈だ。俺が迷っていると、OBらしき説明会主催者が近づいてきた。
一目でアルファと分かるその人は、少し迷った様に俺をじっと見つめた。
「…君って、あ、すみません。ぶしつけだったね。私はこの説明会を学校から頼まれて企画した会社の者です。」
そう言って胸元のプレートを俺に見せた。そこにはグレイ企画の灰原とあった。
「何か聞きたいことがあるのに、どこに行けば良いかわからない感じ?何かお手伝い出来るかな?」
俺はここで突っ立っていてもしょうがないと、20代半ばに見える、目の前の灰原さんに尋ねた。
「Ωが通い易い大学は何処ですか?」
灰原さんはハッとして、もう一度僕を見つめると、急にさっきよりも堅苦しい態度を緩めて言った。
「…君はΩなんだね。さっきチラッとそんな感じがしたんだけど、でもやっぱり違うかなって迷っちゃって。ごめんね、失礼だったかな?でも何て言うか不思議な感じ。君みたいなΩには会ったことないから。」
そう言いながら近くのテーブルに置いてあったブースマップのいくつかに、丸と二重丸を赤ペンで書いて、俺に手渡した。そして二重丸の大学は特におすすめで、俺が困る様な事はほぼ無いだろうって教えてくれた。
俺は礼を言ってその大学のブースへと行こうとした時、灰原さんは俺を呼び止めた。
「…普段はこんな事しないんだけど。何か困ったことがあったら、何でも相談して。君の様な子は、きっと大学行ったら大変なことになりそうな気がするよ。」
そう言って俺に、その場で裏側に何か書いた名刺を渡してきた。俺は戸惑いながらも、挨拶をして受け取るとブースへと向かった。
各ブースの大学のスタッフは、丁寧にΩ対応について教えてくれた。対応のあれこれを聞いているだけで、それだけΩの周囲への、特にアルファへの影響力が深いのだと気がついた。ある意味俺たちΩは危険人物なんだ。
俺は大学への期待感よりも、進学後の面倒臭さに何だかゲンナリした気分で、叶斗達のいるOBの座談会会場へと向かった。すると、さっきの灰原さんが、ブース会場から俺を追いかけてきて言った。
「あの、君!名前教えてくれないか?」
叶斗と新は、俺の必死の断りで保護者面で付いてくるのを阻止したので、俺は一人でΩ事情を聞ける筈だ。俺が迷っていると、OBらしき説明会主催者が近づいてきた。
一目でアルファと分かるその人は、少し迷った様に俺をじっと見つめた。
「…君って、あ、すみません。ぶしつけだったね。私はこの説明会を学校から頼まれて企画した会社の者です。」
そう言って胸元のプレートを俺に見せた。そこにはグレイ企画の灰原とあった。
「何か聞きたいことがあるのに、どこに行けば良いかわからない感じ?何かお手伝い出来るかな?」
俺はここで突っ立っていてもしょうがないと、20代半ばに見える、目の前の灰原さんに尋ねた。
「Ωが通い易い大学は何処ですか?」
灰原さんはハッとして、もう一度僕を見つめると、急にさっきよりも堅苦しい態度を緩めて言った。
「…君はΩなんだね。さっきチラッとそんな感じがしたんだけど、でもやっぱり違うかなって迷っちゃって。ごめんね、失礼だったかな?でも何て言うか不思議な感じ。君みたいなΩには会ったことないから。」
そう言いながら近くのテーブルに置いてあったブースマップのいくつかに、丸と二重丸を赤ペンで書いて、俺に手渡した。そして二重丸の大学は特におすすめで、俺が困る様な事はほぼ無いだろうって教えてくれた。
俺は礼を言ってその大学のブースへと行こうとした時、灰原さんは俺を呼び止めた。
「…普段はこんな事しないんだけど。何か困ったことがあったら、何でも相談して。君の様な子は、きっと大学行ったら大変なことになりそうな気がするよ。」
そう言って俺に、その場で裏側に何か書いた名刺を渡してきた。俺は戸惑いながらも、挨拶をして受け取るとブースへと向かった。
各ブースの大学のスタッフは、丁寧にΩ対応について教えてくれた。対応のあれこれを聞いているだけで、それだけΩの周囲への、特にアルファへの影響力が深いのだと気がついた。ある意味俺たちΩは危険人物なんだ。
俺は大学への期待感よりも、進学後の面倒臭さに何だかゲンナリした気分で、叶斗達のいるOBの座談会会場へと向かった。すると、さっきの灰原さんが、ブース会場から俺を追いかけてきて言った。
「あの、君!名前教えてくれないか?」
47
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです
まんまる
BL
フレア王国の第3王子シルティ(18歳.Ω)は、王宮騎士団の団長を務める、キーファ侯爵家現当主のアリウス(29歳.α)に、ずっと片想いをしている。
そんなシルティは、Ωの成人王族の務めとして、自分は隣国のαの王族に輿入れするのだろうと、人生を半ば諦めていた。
だが、ある日突然、父である国王から、アリウスとの婚姻を勧められる。
二つ返事でアリウスとの婚姻を受けたシルティだったが、何もできない自分の事を、アリウスは迷惑に思っていないだろうかと心配になる。
─が、そんなシルティの心配をよそに、アリウスは天にも登る気持ち(無表情)で、いそいそと婚姻の準備を進めていた。
受けを好きすぎて、発情期にしか触れる事ができない攻めと、発情期の記憶が一切ない受けのお話です。
拗らせ両片想いの大人の恋(?)
オメガバースの設定をお借りしています。ぼんやり設定です。
Rシーンは※つけます。
1話1,000~2,000字程度です。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる