175 / 197
運命の発情期
我に返れば
しおりを挟む
『もう…、無理。』
最後にそう呟いたのは記憶にあるけれど、気がつけばあの焼け付く焦燥感は感じられなかった。パリッとしたシーツの上に眠っているのは俺と叶斗で、新と誠の姿は見当たらない。
無意識に叶斗の腕の中に潜り込んでうっとりする様な良い匂いを吸い込むと、何だか絶対的な安心感に包まれた。身動きした叶斗の顔を見上げると、デレついた締まりのない顔がそこにはあった。
「…ヤバ。番いって最高なんだけど。俺の奥さん綺麗で男気の塊で、それで甘えて来る可愛さも加わったら俺ももう、何て言うか爆発しそうなんだけど。」
そう言って俺を腕の中にぎゅっと抱き寄せた。いつもなら面倒な事になったと突き離すとこなのに、なぜか俺の腕はスルリと叶斗の背中に手を回していた。
「…叶斗。おはようのキスして。」
自分の中の一部がバカじゃ無いのかと諌めているのが感じられるけど、俺の過半数は叶斗にキスしてもらいたがって止まらない。叶斗は何故か目を潤ませて鼻声で囁いた。
「俺、幸せで死にそうだ。愛してる、岳。」
そう言って優しいキスを俺に落とした。俺は自分の中の罵り声が小さくなったのを感じながら、甘いキスを楽しんだ。寝室の扉が開く音がして人の気配がすると、ベッドサイドから俺の首の後ろにキスしてきたのは新だった。
「おはよう、岳。朝メシ食おうぜ。とは言えもう10時だからブランチか?」
そう言うとぐいっと叶斗の腕の中から引っ張り出されてお姫様抱っこされていた。この体勢は不本意だけど、新の腕の中はやっぱり何ともホッとする。
俺は新の首に手を巻きつけて、新の引き締まった唇に吸い付いた。叶斗とも違うその美味しさは俺を夢中にさせた。含み笑いを感じながら抱き上げた俺の太腿をいやらしく撫でる新の指先を感じると、俺もまた弾ける様に笑うしかなかった。
「おはよう、新。まったく朝からお盛んだな?」
啄む様にキスを浴びせられてテーブルの側に下されると、流石に俺も目が冴えてきた。周囲を見渡してもう一人を探すと、新がコーヒーを四人分カップに注ぎながら、洗面所の方を指差して言った。
「朝食作ってくれた人は洗面所で身支度中だ。まったく誠さんには死角がなさすぎるぜ。」
洗面所に顔を出すと鏡越しに誠と目が合った。すっかり仕事へ行く身支度を終わらせた誠は嬉しげに微笑んだ。
「奥さん、良かった出る前に目が覚めて。流石に私も仕事に戻らなくちゃいけない急用が出来てしまってね。」
そう言って、洗面台に寄り掛かると両手を広げて俺を待った。俺はクスクス笑いながら誠の腕の中に飛び込んだ。やっぱり心地よい匂いに包まれて、俺は深呼吸した。この番になった相手のうっとりする癒しの匂いは俺からも感じるのだろうか。
「なぁ、誠?俺からはどんな匂いする?俺はお前たちから安心する、良い匂いが感じられるけど。」
すると誠は俺の顎を指先で撫であげて、優しく唇を触れ合わせてから舌先でくすぐる様に舐めた。
「岳はなんて言うか癖になる匂いがするね。ちょっと色っぽい。さぁ、今朝は浮かれて腕を振るったんだ。まだ出るまで時間があるから一緒に食べてくれるかい?」
そう誠に言われて、俺は急に腹が減っていることを自覚して、とろける様な眼差しで俺を見つめる誠に微笑みかけて言った。
「新がぼやいてたよ。誠は何でも出来すぎだってさ。」
最後にそう呟いたのは記憶にあるけれど、気がつけばあの焼け付く焦燥感は感じられなかった。パリッとしたシーツの上に眠っているのは俺と叶斗で、新と誠の姿は見当たらない。
無意識に叶斗の腕の中に潜り込んでうっとりする様な良い匂いを吸い込むと、何だか絶対的な安心感に包まれた。身動きした叶斗の顔を見上げると、デレついた締まりのない顔がそこにはあった。
「…ヤバ。番いって最高なんだけど。俺の奥さん綺麗で男気の塊で、それで甘えて来る可愛さも加わったら俺ももう、何て言うか爆発しそうなんだけど。」
そう言って俺を腕の中にぎゅっと抱き寄せた。いつもなら面倒な事になったと突き離すとこなのに、なぜか俺の腕はスルリと叶斗の背中に手を回していた。
「…叶斗。おはようのキスして。」
自分の中の一部がバカじゃ無いのかと諌めているのが感じられるけど、俺の過半数は叶斗にキスしてもらいたがって止まらない。叶斗は何故か目を潤ませて鼻声で囁いた。
「俺、幸せで死にそうだ。愛してる、岳。」
そう言って優しいキスを俺に落とした。俺は自分の中の罵り声が小さくなったのを感じながら、甘いキスを楽しんだ。寝室の扉が開く音がして人の気配がすると、ベッドサイドから俺の首の後ろにキスしてきたのは新だった。
「おはよう、岳。朝メシ食おうぜ。とは言えもう10時だからブランチか?」
そう言うとぐいっと叶斗の腕の中から引っ張り出されてお姫様抱っこされていた。この体勢は不本意だけど、新の腕の中はやっぱり何ともホッとする。
俺は新の首に手を巻きつけて、新の引き締まった唇に吸い付いた。叶斗とも違うその美味しさは俺を夢中にさせた。含み笑いを感じながら抱き上げた俺の太腿をいやらしく撫でる新の指先を感じると、俺もまた弾ける様に笑うしかなかった。
「おはよう、新。まったく朝からお盛んだな?」
啄む様にキスを浴びせられてテーブルの側に下されると、流石に俺も目が冴えてきた。周囲を見渡してもう一人を探すと、新がコーヒーを四人分カップに注ぎながら、洗面所の方を指差して言った。
「朝食作ってくれた人は洗面所で身支度中だ。まったく誠さんには死角がなさすぎるぜ。」
洗面所に顔を出すと鏡越しに誠と目が合った。すっかり仕事へ行く身支度を終わらせた誠は嬉しげに微笑んだ。
「奥さん、良かった出る前に目が覚めて。流石に私も仕事に戻らなくちゃいけない急用が出来てしまってね。」
そう言って、洗面台に寄り掛かると両手を広げて俺を待った。俺はクスクス笑いながら誠の腕の中に飛び込んだ。やっぱり心地よい匂いに包まれて、俺は深呼吸した。この番になった相手のうっとりする癒しの匂いは俺からも感じるのだろうか。
「なぁ、誠?俺からはどんな匂いする?俺はお前たちから安心する、良い匂いが感じられるけど。」
すると誠は俺の顎を指先で撫であげて、優しく唇を触れ合わせてから舌先でくすぐる様に舐めた。
「岳はなんて言うか癖になる匂いがするね。ちょっと色っぽい。さぁ、今朝は浮かれて腕を振るったんだ。まだ出るまで時間があるから一緒に食べてくれるかい?」
そう誠に言われて、俺は急に腹が減っていることを自覚して、とろける様な眼差しで俺を見つめる誠に微笑みかけて言った。
「新がぼやいてたよ。誠は何でも出来すぎだってさ。」
57
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?
水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。
断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。
しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。
これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる