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番を持ってるΩです
一人でする事
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俺が向かったのは、勿論白路山だ。軽いコースなら2時間もあれば独破できる。社に顔を覗かせると、顔見知りの山伏さんたちが声を掛けてくれた。
「おお、東君久しぶりだな。最近見なかったな。気をつけろよ?昨日雨降ったから足場がところどころ濡れてるからな?」
僕は挨拶すると、簡単にストレッチをして軽い足取りで走り出した。軽いコースと言えども、油断は大敵だ。整備された道だけではなく、落石した瓦礫が集まっている場所や、崖方向に斜めになっている道もある。
とは言え身体に馴染むほど通った道で危険な事もなく、俺はちょうど中継地点の積み石の場所で息を整えた。同じ道を戻るのでも良かったが、計測用の腕時計を見るとまだ時間の余裕があった。
少し遠回りになるけれど、景色の楽しめる迂回ルートを下っていった。しばらく進むと、どこからか誰か助けを求める様な人の声の様なものが聞こえる。ここは丁度山際でアンテナが届かない。
誰かが滑り落ちて困っているのかもしれないと、足元を見ながら声のする方へと近づいた。
ルートを外れた場所へ向かって足跡がくっきりついて、雨で露出した粘土質の山土の上を滑った様な跡がついていた。沢への景色の良い場所なので、初心者が写真でも撮ろうとして落下したのかもしれない。
俺は道を戻ると、崖下の沢へ安全に行けるルートを選んで慎重に降りていった。あながち山伏のおじさん達の注意は的を外れていない。ま、俺じゃないけど。
案の定沢の近くに、泥で汚れた男の人がしゃがみ込んでいた。
「大丈夫ですか?どこか怪我でもしましたか?」
俺がそう呼びかけると、俯いた男の人がハッと顔を上げた。驚きと安堵感の入り混じった表情で俺を見ると、照れた様に足を押さえた。
「すみません!滑り落ちて少し足を捻ってしまって。」
近づくと案外若い男なのだと分かった。誠ぐらい?20代半ばといった感じだ。俺は背負っていたリュックを下ろすと、救急キットを取り出した。山伏なら緊急用に誰でも持っている七つ道具だ。
「左足ですか?ちょっと見せてもらっても?」
俺がそう言うと男は慌ててズボンを捲って、靴や靴下を脱いだ。そっと触れると少し腫れていたけれど、テーピングで固定すれば歩けないことは無さそうだった。
俺はタオルを沢の冷たい川の水で濡らすと、男に渡して冷やす様に頼んだ。男は俺のやる事を目で追って無駄な事を言わなかった。中々合理的な男だと俺はチラッと男の顔を見た。
「君、随分手慣れてるね。ついてないと思ったけど、今日はどちらかと言うとついてたのかもしれない。」
俺はじっと見つめられて視線を避けると、タオルを引き取って言った。
「ちょっと今からテーピングで固定します。歩ける様にキツめにしますから、社に戻ったら取って下さいね。鬱血しない様に。」
そう言ってからテキパキと処置をした。山伏をやっていると、自分でも仲間にも、怪我は当たり前の部分があるので自然処置が上手くなる。処置が終わって靴を履くと、男は俺の肩を借りて立ち上がった。
「おお、凄い。全然痛くない。」
俺はクスッと笑って注意した。
「それ治ってるわけじゃないですから。痛みが出ないうちに社まで行きましょう。丁度俺も戻るところなので。」
慎重に崖を手助けして登ると、戻りのルートは本人の体力もあって簡単だった。少しの痛みだったら我慢できる様だった。
「君は俺の神様みたいなもんだよ。もし何か困ったことがあったら連絡してくれよ。今度は私は君の神様になってあげるから。本当は君の事教えてもらいたいけど、教えて貰えなさそうだから。」
よく見ればいかにもなアルファの男に、俺は自分の男達を思い出して口元を緩めると名刺を預かって言った。
「俺にも神様が三人も居るので、もう十分なんです。」
男の驚いた顔に笑いかけると、俺はさっきから鳴るスマホに目を落とすと慌てて下山道へと急いだ。
「おお、東君久しぶりだな。最近見なかったな。気をつけろよ?昨日雨降ったから足場がところどころ濡れてるからな?」
僕は挨拶すると、簡単にストレッチをして軽い足取りで走り出した。軽いコースと言えども、油断は大敵だ。整備された道だけではなく、落石した瓦礫が集まっている場所や、崖方向に斜めになっている道もある。
とは言え身体に馴染むほど通った道で危険な事もなく、俺はちょうど中継地点の積み石の場所で息を整えた。同じ道を戻るのでも良かったが、計測用の腕時計を見るとまだ時間の余裕があった。
少し遠回りになるけれど、景色の楽しめる迂回ルートを下っていった。しばらく進むと、どこからか誰か助けを求める様な人の声の様なものが聞こえる。ここは丁度山際でアンテナが届かない。
誰かが滑り落ちて困っているのかもしれないと、足元を見ながら声のする方へと近づいた。
ルートを外れた場所へ向かって足跡がくっきりついて、雨で露出した粘土質の山土の上を滑った様な跡がついていた。沢への景色の良い場所なので、初心者が写真でも撮ろうとして落下したのかもしれない。
俺は道を戻ると、崖下の沢へ安全に行けるルートを選んで慎重に降りていった。あながち山伏のおじさん達の注意は的を外れていない。ま、俺じゃないけど。
案の定沢の近くに、泥で汚れた男の人がしゃがみ込んでいた。
「大丈夫ですか?どこか怪我でもしましたか?」
俺がそう呼びかけると、俯いた男の人がハッと顔を上げた。驚きと安堵感の入り混じった表情で俺を見ると、照れた様に足を押さえた。
「すみません!滑り落ちて少し足を捻ってしまって。」
近づくと案外若い男なのだと分かった。誠ぐらい?20代半ばといった感じだ。俺は背負っていたリュックを下ろすと、救急キットを取り出した。山伏なら緊急用に誰でも持っている七つ道具だ。
「左足ですか?ちょっと見せてもらっても?」
俺がそう言うと男は慌ててズボンを捲って、靴や靴下を脱いだ。そっと触れると少し腫れていたけれど、テーピングで固定すれば歩けないことは無さそうだった。
俺はタオルを沢の冷たい川の水で濡らすと、男に渡して冷やす様に頼んだ。男は俺のやる事を目で追って無駄な事を言わなかった。中々合理的な男だと俺はチラッと男の顔を見た。
「君、随分手慣れてるね。ついてないと思ったけど、今日はどちらかと言うとついてたのかもしれない。」
俺はじっと見つめられて視線を避けると、タオルを引き取って言った。
「ちょっと今からテーピングで固定します。歩ける様にキツめにしますから、社に戻ったら取って下さいね。鬱血しない様に。」
そう言ってからテキパキと処置をした。山伏をやっていると、自分でも仲間にも、怪我は当たり前の部分があるので自然処置が上手くなる。処置が終わって靴を履くと、男は俺の肩を借りて立ち上がった。
「おお、凄い。全然痛くない。」
俺はクスッと笑って注意した。
「それ治ってるわけじゃないですから。痛みが出ないうちに社まで行きましょう。丁度俺も戻るところなので。」
慎重に崖を手助けして登ると、戻りのルートは本人の体力もあって簡単だった。少しの痛みだったら我慢できる様だった。
「君は俺の神様みたいなもんだよ。もし何か困ったことがあったら連絡してくれよ。今度は私は君の神様になってあげるから。本当は君の事教えてもらいたいけど、教えて貰えなさそうだから。」
よく見ればいかにもなアルファの男に、俺は自分の男達を思い出して口元を緩めると名刺を預かって言った。
「俺にも神様が三人も居るので、もう十分なんです。」
男の驚いた顔に笑いかけると、俺はさっきから鳴るスマホに目を落とすと慌てて下山道へと急いだ。
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