二人のアルファは変異Ωを逃さない!

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

文字の大きさ
189 / 197
番を持ってるΩです

伊集院side灰原氏の番

しおりを挟む
 まったく驚いた。この事実を誰かに言いたくてたまらない。けれど、灰原氏は私の友人でもあるし、大事な仕事仲間だから迂闊に情報は流せない。

経済界の風雲児仲間の灰原氏は、優しい笑顔で柔らかな雰囲気を持ちながら、その実誰にも深入りさせない男だ。仕事をする様になって直接色々話す様になったけれど、灰原氏は学生の頃から何かと話題になっていた。


 私はそんな自分にも似た灰原氏に妙な親近感を勝手に持っていた。けれど仕事で顔を合わせる様になってからは、微笑みや軽口の裏で、完全な線引きをして他人をシャットアウトしているのが感じられた。

それはアルファなら誰でもそういう面はあるものの、灰原氏の場合はそれが巧妙なのだからタチが悪い。灰原氏の前で砕け散っていく多くの人間を見てきて、特にΩに対しての拒絶が強かったので内心灰原氏はΩ嫌いだと勝手に思っていたんだ。


 それなのに目の前の何ていうか、オメガらしくないがそうかと言って何のバースかと問われたらオメガと言うしか無い青年と番になったと言われて、どんなに驚いた事だろう。

しかも彼は白路山のトレッキングで捻挫した私を手際良く助けてくれた、印象深い若者だった。大学生かと思っていたが、灰原氏が言うには高校三年生?これは経済界でも、アルファ界でも大きなニュースになる話だ。


 Ω特有の愛想や儚げな雰囲気はまるで無いけれど、妙に印象深い灰原氏の番いは、見たことの無い灰原氏のムズムズする様な溺愛をサクッと受け止めて流している。

それでも時々不意に甘い空気を出して灰原氏に蕩ける眼差しを向けるのが、ドキドキするほど魅力的だった。思わず惚けて見とれていると、灰原氏がピリっと空気を震わせて私に威嚇のフェロモンを飛ばしてくるのには参った。

新婚だからしょうがないけれど、それにしても威嚇しすぎじゃないのか?番ったのならもう少しゆったりと構えていてもいいはずだが。


 その時俺は、白路山で目の前の青年が残した言葉を思い出していた。彼はあの時、自分には神様が三人居ると言ってなかったか?それってどう言う事なんだろう。もしかして彼は浮気しているのか?番になったΩが他所見をするとか聞いた事がないのだが…。

気になり出すと、どうしてもハッキリさせたくなるのは私の悪い所だ。新婚に言うべき事じゃ無いと思いながら、聞いてみたいと葛藤していると、その答えは本人からもたらされた。


 「…今夜は誠と一緒に晩御飯食べてくるって言ってあるから。あいつらは自分達でどうとでもするだろ?」

そう灰原と何気に会話している言葉が、私の耳に飛び込んできた。私は思わず酒にむせて、チラッと灰原氏の方を見た。すると灰原氏は苦笑して私に知りたい情報くれたんだ。

Ωの彼が三人の番いを持っている事。他の二人も高校生なので自分が新居へ通っている事を。私は灰原氏の話を聞きながら、ゴシップの記者の気持ちがわかった気がしたんだ。


 理解できない事ってのは、とことん知りたくなるものだって。けれども灰原氏は私に釘を刺すのも忘れなかった。

「伊集院さん、この話はまだオフレコで頼みますね?私も自分の可愛い番の事は公にしたいけれど、まだ高校生の岳を矢面に立たせたく無いんです。噂レベルで止まってくれればそれはそれでありがたいですしね。」

すると、灰原氏の隣で美味しそうに料理をがっついて、ある意味高校生らしい振る舞いをしていた岳君は、私と灰原氏の顔を見て言った。


 「全く誠は過保護だね。この街じゃ公然の秘密なのに。でも誠達のおかげで俺も呑気に過ごせているから感謝かな?」

すると灰原氏は蕩ける眼差しで岳君を見つめて言った。

「‥その感謝を示してくれても良いんだよ、岳。」

すると途端に真っ赤になった岳君は私をチラッと盗み見て、人前で何を言い出すのかと灰原氏を問い詰めていたけど、灰原氏のそんなデレた顔は見たくなかった。別人じゃないか。ああ、全世界に叫びたい!灰原氏の番いの話を!





しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...