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番を持ってるΩです
誰ですか?
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俺は今不味い状況にある気がする。満面の笑みを浮かべた目の前の男は、白路山で俺が肩を貸して運んだ男だ。
「え?どうして君がここに!?あの時ちゃんとお礼出来なかったから、君にもう一度逢えますようにって麓の神社でお参りしたんだよ。御利益あり過ぎだ。」
そう言って明るく笑う男は一体何者なんだろう。誠との待ち合わせ場所に一緒に現れたこの男は、俺が誠の番だと気づいていないみたいだった。誠は直ぐに色々察知した様で、俺の腰に手を回して引き寄せると、見せつける様に俺のこめかみに唇を押し当てて言った。
「伊集院さん、私の番と面識が有りましたか?ああ、もしかして白路山で怪我人を保護したって、もしかして伊集院さんだったのか、岳?」
心なしか腰に回した誠の手に力が込められてる気がしないでもない。怪我人を助けた話はしてあったので、いや、むしろしておいて良かったと俺は心の中で安堵していた。
すると目の前の伊集院さんは、俺たちを見つめてまるで鳩が鉄砲を喰らった様な顔をしていた。
「え?灰原さんが番を得たって、また信憑性の無い噂だと思ってたんですけど、本当だったんですか!?え?…大学生とか?」
誠は顔を顰めて言った。
「まだ彼は高校生だから、大学生になって上京するまであまり公にしたくなかったんです。私も行ったり来たりでしか彼を守れないですからね。」
すると伊集院さんはますます口をぽかんと開けて、信じられないと言いたげな表情で灰原さんと俺を交互に眺めた。それから髪に手をやって戸惑いながら呟いた。
「高校生…。Ω嫌いの灰原企画のパートナーが番で、高校生…。え、て事は君Ωなの?‥確かにΩじゃなきゃ何って言われるとΩとしか言えないんだけど。あ、失礼。動揺して失礼な事言ってないと良いんだけど。はぁ、びっくりし過ぎて、どっと疲れてしまったよ。ははは。」
多分目の前の伊集院さんと言う人は、悪気はない人なんだろう。確かに高校生が番を持つとか最近はあまり聞かない話だ。俺の場合は待ったなしだったから、やっぱり例外なんだろう。
しかも俺は白路山で受け取った名刺を駅で捨ててしまっていた。もう一度会うなんて夢にも思わなかったし、下手なものを持ってて三人の煩い奴らに見つかったら、お仕置きが怖過ぎたからだ。誠には白路山であった事を話しておいて良かったよ。…まさかお仕置きとかないよな?
「誠、これからご飯食べるんじゃないの?奢ってくれるって言うから迎えに来たんだけど。」
焦った俺が誠を見上げてそう言うと、誠は少し困った表情で俺を見つめた。
「実は伊集院さんともう少し詰める話があるのを思い出してね。岳少しカフェで待っててくれないか?それから食べに行こう。」
すると話を聞いていた伊集院さんが、好奇心に満ちた表情で俺たちの会話に割って入ってきた。
「灰原さんの番なら別に話が漏れる訳じゃないから、どこか個室の店で食事がてら打ち合わせしましょう。今日は私にお二人をお祝いさせて下さい。番になったのも最近の話なんでしょう?」
そう言うだけ言うと、電話を掛け始めてお店の予約をした様だった。
「じゃあ、行きましょうか。いや、灰原企画の灰原さんが番を持つとか、本当こんなビックニュース全然知られてないのって、さすが灰原さんですよね。情報コントロールが完璧だ。私も安心して一緒に仕事が出来ますよ。」
そう言ってにこやかに笑って歩き出した伊集院さんは、中々強引な人みたいだ。俺と誠は顔を見合わせて苦笑いすると指を絡ませて伊集院さんの後をついて行った。
「え?どうして君がここに!?あの時ちゃんとお礼出来なかったから、君にもう一度逢えますようにって麓の神社でお参りしたんだよ。御利益あり過ぎだ。」
そう言って明るく笑う男は一体何者なんだろう。誠との待ち合わせ場所に一緒に現れたこの男は、俺が誠の番だと気づいていないみたいだった。誠は直ぐに色々察知した様で、俺の腰に手を回して引き寄せると、見せつける様に俺のこめかみに唇を押し当てて言った。
「伊集院さん、私の番と面識が有りましたか?ああ、もしかして白路山で怪我人を保護したって、もしかして伊集院さんだったのか、岳?」
心なしか腰に回した誠の手に力が込められてる気がしないでもない。怪我人を助けた話はしてあったので、いや、むしろしておいて良かったと俺は心の中で安堵していた。
すると目の前の伊集院さんは、俺たちを見つめてまるで鳩が鉄砲を喰らった様な顔をしていた。
「え?灰原さんが番を得たって、また信憑性の無い噂だと思ってたんですけど、本当だったんですか!?え?…大学生とか?」
誠は顔を顰めて言った。
「まだ彼は高校生だから、大学生になって上京するまであまり公にしたくなかったんです。私も行ったり来たりでしか彼を守れないですからね。」
すると伊集院さんはますます口をぽかんと開けて、信じられないと言いたげな表情で灰原さんと俺を交互に眺めた。それから髪に手をやって戸惑いながら呟いた。
「高校生…。Ω嫌いの灰原企画のパートナーが番で、高校生…。え、て事は君Ωなの?‥確かにΩじゃなきゃ何って言われるとΩとしか言えないんだけど。あ、失礼。動揺して失礼な事言ってないと良いんだけど。はぁ、びっくりし過ぎて、どっと疲れてしまったよ。ははは。」
多分目の前の伊集院さんと言う人は、悪気はない人なんだろう。確かに高校生が番を持つとか最近はあまり聞かない話だ。俺の場合は待ったなしだったから、やっぱり例外なんだろう。
しかも俺は白路山で受け取った名刺を駅で捨ててしまっていた。もう一度会うなんて夢にも思わなかったし、下手なものを持ってて三人の煩い奴らに見つかったら、お仕置きが怖過ぎたからだ。誠には白路山であった事を話しておいて良かったよ。…まさかお仕置きとかないよな?
「誠、これからご飯食べるんじゃないの?奢ってくれるって言うから迎えに来たんだけど。」
焦った俺が誠を見上げてそう言うと、誠は少し困った表情で俺を見つめた。
「実は伊集院さんともう少し詰める話があるのを思い出してね。岳少しカフェで待っててくれないか?それから食べに行こう。」
すると話を聞いていた伊集院さんが、好奇心に満ちた表情で俺たちの会話に割って入ってきた。
「灰原さんの番なら別に話が漏れる訳じゃないから、どこか個室の店で食事がてら打ち合わせしましょう。今日は私にお二人をお祝いさせて下さい。番になったのも最近の話なんでしょう?」
そう言うだけ言うと、電話を掛け始めてお店の予約をした様だった。
「じゃあ、行きましょうか。いや、灰原企画の灰原さんが番を持つとか、本当こんなビックニュース全然知られてないのって、さすが灰原さんですよね。情報コントロールが完璧だ。私も安心して一緒に仕事が出来ますよ。」
そう言ってにこやかに笑って歩き出した伊集院さんは、中々強引な人みたいだ。俺と誠は顔を見合わせて苦笑いすると指を絡ませて伊集院さんの後をついて行った。
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