イバラの鎖

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26

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愛の向かうところ

僕らの行き着く先※

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 疲れた身体を馬車にもたれ掛らせていた筈なのに、ロレンソ辺境伯の王都の屋敷の門が見えると自然身を起こした。あの窓を灯す灯りの中には僕を待つ愛する人が居ると思うと、さっきまで消耗していた精神まで息を吹き返す様だった。

 従者に開けられた馬車の扉の段差を降りると、玄関の扉が開いて砕けたシャツ姿のシモンが僕を出迎えてくれた。

「…兄上、ただいま帰りました。」

 僕の挨拶にシモンは苦笑して、私の腰に手を回してエスコートしてくれた。


 「もう兄上ではないだろう?アンドレは今や若きブリアン伯爵なのだからね。」

 そう言ってニヤリと笑うシモンに僕は顔を顰めた。

「ああ、お願いだからここでもそれを言うのはやめてください。今日は散々伯爵家の尻拭いをして来たのですからね。せっかくシモンの顔を見て甘えようと思っているのに…。」

 するとシモンは灰色の眼差しをキラリと光らせて甘く呟いた。

「アンドレがと呼ぶから意地悪を言ってしまった。…甘えたいなら話は別だ。」


 僕はシモンの甘い口調にゾクゾクしながら、それでも執事の手前しなだれ掛らない様に堪えた。

「アンドレ様、何か軽いものでも召し上がりますか?」

 そう言われて、僕は首を振って微笑んだ。

「いや、もう済ませて来たよ。食事中さえも伯爵家の今後の話で食べた気はしなかったけどね。ああ、寝室にお茶だけお願い出来るかい?」

 僕の言葉に優しく微笑んだ辺境伯の執事らは、僕らを残して足早に立ち去った。彼のことだから、もうとっくに用意してあるのだろうが、僕とシモンはゆっくりと部屋に向かった。


 シモンの寝室に辿りつくと、丁度執事が部屋を後にするところだった。おやすみの挨拶だけ交わすと、僕らは部屋に入った。

 テーブルに湯気を立てたお茶の用意がされていて、それを見たシモンが僕に手ずからお茶を淹れてくれた。

「随分疲れた顔をしている。ブリアン伯爵家の運営が上手くいってなかったのは公然の秘密だったからね。アンドレに泣きついて来たのは正直どうなのかと心配したが、見通しは立ったのだろう?」

 僕はシモンから渡されたソーサーから持ち上げた、口当たりの良いカップに唇をつけてほんのり甘いお茶を頂いた。身体に染み渡る安堵感と共に、僕は目の前の愛しい相手を見つめた。


 「そうですね。実際伯爵家に通ってみると、父の存在感があちこちに感じられて流石に放り出すことも出来なくなりました。亡き父の後好き勝手した遠縁は、まったく管理も何もなくて食い潰すばかりでしたからね。

 この15年の間、全く手付かずのものもありましたよ。おかげで僕も領地へ行ったりで気の休まる暇もありませんでした。…どれだけシモンに会いたかったか。」

 僕がそうぼやくと、シモンはゆっくり立ち上がって僕の手からソーサーを引き受けると、僕を引き起こして囁いた。


 「今夜はじっくり癒してやろう。心身ともに…。まずは湯浴みか?」

 僕は急にドキドキと胸が震えて、魅入られた様にシモンから目を逸せなくなった。甘く口づけられながら服を剥ぎ取られて、僕も焦れつきながらシモンのシャツを脱がせた。

「時間はあるんだ…。慌てないで。」

 シモンに宥められても、僕の膨れ上がった欲望は出口を求めて渦巻くばかりだった。

「シモン、僕シモンが欲しくて、ずっと我慢してたのに…。シモンは僕が欲しくなかった?」


 僕がそう駄々をこねると、シモンは僕の口の中を舌で喰らいつく様になぶった。息をするのも忘れる様な強烈な愛撫に、僕は崩れ落ちそうになってしまった。

 僕の身体をガッチリ支えて押し付けられたシモンの昂りの硬さに、僕は息を呑んで弾き剥がされた顔を見上げた。

「私がどれだけアンドレを可愛がりたかったかじっくり教えてあげよう。明日は起き上がれなくても構わないだろう?」

 柔らかくて揺さぶられて自分の昂った身体を自覚させられて、僕は後ろの卑猥な場所がヒクヒクしてしまった。

「…教えて。でも僕もシモンを可愛がりたいから味わわせてね?」


 まだ濡れた身体をしっかり拭く暇もなく、僕らは身体を弄り合いながらベッドへと倒れ込んだ。すっかりシモンの指と唇で解された僕の窄みは、今は遅しと征服されるのを期待してヒクついている。

 僕の胸の先端をなぶるシモンの黒髪の間から耳を撫でながら、僕はシモンの腰に足を絡めて強請った。

「シモン、早く来て…!」

 じゅっと吸いつかれて甘く呻きながら、起き上がったシモンに見下ろされた僕は興奮して息も絶え絶えだった。ああ、もう死にそう。


 両手で腿を押し上げられて、丸見えになった僕の卑猥なそこをじっくりと見つめながら、重量のあるソレでなぞるシモンの色っぽい表情に、僕は口の中がカラカラになってしまう。

 ちゅぷちゅぷと香油と僕の滴る先走りの水音と共にシモンがゆっくりと僕の中に挿れて来た時、僕はどれだけそれを待ち望んでいたのか判らせられていた。ああ、シモン。僕だけの。


 ゆっくりと擦られて、僕はシモンにしがみついた。身体に重なるシモンの重みに押し潰されようと、それは僕には甘い責苦にしかならなかったし、張り詰めた僕自身をシモンの硬い腹に扱かれて悲鳴に似た嬌声をあげる羽目になっていた。

 グッと奥まで突き上げられて一瞬息が止まったけれど、それは始まりの合図だった。強弱をつけたシモンの腰の動きで、僕は馬鹿みたいに首を振ってその死にそうな快感を逃そうとした。


 けれど容赦のないシモンの動きは僕を追い立てて、声を掠れさせた。汗ばんだシモンの筋肉質の身体が、彼にも余裕がない事を教えてくれて、僕は首を引き寄せて口づけを強請った。

 ああ、僕が伸ばした舌をなぞるシモンのざらついた舌を味わう暇もなく、僕は切羽詰まった動きと終わりの見えない絶頂に飛び跳ねて彷徨った。シモンが大きく吠えて僕の中で震えたその時、僕が感じた至福の味わいは何だっただろう。


 言葉もなく荒い息づかいだけが響く寝室で、僕から身体を引き起こしたシモンが僕の中からズルリと出ていくのを僕は名残惜しい気持ちで味わった。

 後ろから抱き寄せたシモンが僕の首に甘く唇を押し当てるのを感じながら、シモンの指先が悪戯に僕の胸元を這い回るので思わず息を呑んだ。ああ、敏感な今触れられたらまた疼いてしまう。


 「アンドレ、もう一度良いかい?」

 お尻に押し付けられたシモンのそれが持ち上がって来ているのに気づいて、僕はクスクス笑って後ろを向いて口づけを強請って言った。

「…ふふ。僕も頼もうと思ってたところ。」

 僕らの欲望は尽きることが無い。僕とシモンは二人でひとつだから。























 

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