クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい

文字の大きさ
9 / 39

第9話 ハイタッチ

しおりを挟む
「高居君、私たちも負けていられないね!」

 開始早々、一ノ瀬さんと下林君が和気あいあいとしているのを目にして、俺の気分は少し沈んでいた。
 そんな俺とは対照的に、三間坂さんはやる気満々で、心底楽しそうだ。

 ……まあ、これからゲームをするんだから、普通はそうだよな。
 勝手に悶々としている俺のほうが、どうかしているのかもしれない。

 俺の内心など知る由もなく、三間坂さんは十一ポンドのボールを手に、レーンへと立った。
 こうして後ろ姿をじっくり見るのは、初めてかもしれない。

 黒のニーソックスに縁取られた脚のラインが、やけにはっきりと目に入る。
 後ろから見ると、ふくらはぎの締まり具合や、太ももの肉付きがよくわかる。
 細いけれど、どこか柔らかさを感じさせるふくらはぎ。そこからつながる、少しだけ存在感のある太もも。
 その境目にあるニーソが、むっちりした部分に食い込んでいるのが、妙に生々しい。

 ――いや、違う。
 これは別に、三間坂さんだからどうこうという話じゃない。
 同級生の女子がこういう格好で目の前に立っていれば、健全な男子高校生なら多少は意識する。それだけだ。たぶん。

 そんなことを頭の中で必死に言い訳しているうちに、三間坂さんは意外なほど迫力のあるフォームで一投目を放った。

 ボールはいいコースを通り、ヘッドピンを直撃。
 白いピンが派手に弾け飛ぶ。

「ああ、惜しい!」

 思わず声が漏れた。
 ストライクかと思ったが、右端に一本だけ、しぶとくピンが残っている。

「いい感じだったんだけどね。高居君、あとはお願い」

 戻ってきた三間坂さんが、少し申し訳なさそうにこちらを見る。
 いやいや、十分すぎるだろ。
 女子でこれだけ投げてくれたら、文句のつけようがない。
 本当なら「任せて」とでも言えれば格好がつくんだろうが――

「……やれることは、やってみるよ」

 それが、今の俺に言える精一杯だった。
 大口を叩いて失敗するほどのメンタルは、残念ながら持ち合わせていない。

 十二ポンドのボールを手に、レーンへ向かう。

 ……まずい。思った以上に緊張する。
 チーム戦って、自分一人で投げるより、ずっとプレッシャーが重い。

 残っているのは、右端の一本。
 セオリーなら、左から斜めにクロスで狙う場面だ。
 だが、俺はその投げ方が苦手だった。
 レーンのまっすぐな木目が目に入ると、どうしても感覚が狂ってしまう。
 だから、真っ直ぐ。
 右端から、そのまま右端のピンを倒すつもりだ。

 ――俺は、まっすぐなら投げられる。

 そう自分に言い聞かせながら、ボールを構える。

 力はいらない。
 後ろに振った腕を、そのまま前に出すだけ。
 位置エネルギーを横方向へ変換するだけだ。
 余計な力は要らない。俺は、このボールに方向を与えるだけ。

 迫力とは無縁のフォームから放たれたボールは、三間坂さんの球速と大差ない――いや、下手をすればそれより遅いくらいの速度で、レーンの右端を静かに転がっていく。

 そのまま行け。
 頼むから、ガターに落ちるな――

 まるで綱渡りを見ているような気分だった。
 だが、ボールは右に逸れることなく進み続け、やがて――

 コツン。

 小さな音を立てて、右端のピンが倒れた。

 ――よっしゃあ! スペアだ!

 派手なガッツポーズなどできない俺は、ガッツポーズの代わりに右手を強く握りしめる。
 振り向くと、三間坂さんの満面の笑みが目に飛び込んできた。
 立ち上がり、両手を広げてこちらに向けている。

 ――あ。

 気づいたときには、もう体が動いていた。
 俺は走り寄り、差し出されたその手に、自分の手を重ねる。

「ナイススペア!」
「うん」

 触れ合った瞬間、三間坂さんの温もりが伝わってくる。
 温かい――それ以上に、小さくて、驚くほど柔らかい。

 女の子の手って、こんな感じだったんだ……。

 俺はスペアを取ったことよりも、その感触に戸惑い、そして妙に胸が高鳴っている自分に気づいていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

処理中です...