オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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2章:異存

幽霊屋敷と異界 2話

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「――なかなか無謀なことをする。あの幽霊屋敷は町では有名な心霊スポットだというのに」

 腕を組んで呆れたように佑心うみが息を吐いた。

「そんなに有名なのか?」

 この町にきたばかりのつむぎが佑心に視線を移す。彼はこくりとうなずいて、ピッと人差し指を立てて幽霊屋敷のことを語り出す。

「あの幽霊屋敷はね、『雪女に喰われた人』が住んでいたらしい」
「雪女に、喰われた?」
「ああ。本当かどうかはわからないが、とある男が帰宅中に雪女に出会い、彼女の美貌に一目惚れして家に招き、男と雪女は結婚して、子どもができた」

 淡々と語る佑心に、紬は怪訝けげんそうに表情を歪めた。

「しかし、妊娠中に男は浮気をして、それに激怒した雪女が男を凍らせて自分の世界に帰っていた――……という噂がある」
「……それ、雪女じゃなくても、怒るのでは?」
「本当にね!」

 佑心はくつくつと喉を震わせて笑う。そして、ゆっくりと息を吐いて頬をかく。

「この話には続きがある。架瑠かけるくん、知っているかい?」

 いきなり佑心に問われて、架瑠はハッとしたように顔を上げて彼に視線を向けた。

「確か……、雪女がその屋敷から異界に帰ったから、その扉を開くと雪女のいる異界に通じる――……でしたっけ?」
「そう! 逆に言えば、この異常気象――異界が原因ではないかなっ?」

 目をキラキラと輝かせながら、佑心はぐっと拳を握った。オカルト話になると一気に生き生きとした様子になる彼に、紬は目を大きく見開く。

「……あんた、本当にオカルトが好きなんだな……」
「オカルト研究部の部長になにを言っているんだい、九鬼くきくん」

 胸を張る佑心に、紬はさっと視線をそらした。これ以上言葉を重ねようとはしなかったので、架瑠は集まった三人を見渡した。

「それで、これからどうするんですか?」
「その幽霊屋敷にいって、確かめてみよう! これは大きなチャンスだよ!」
「扉を開けたら急に異界、かもしれませんよ?」
「さぁ、それはいってみないとわからない。……というわけで、オカルト研究部、幽霊屋敷にレッツゴー!」

 ハイテンションな様子に、架瑠は茉莉と視線を合わせて苦笑を浮かべる。

 佑心がこうなってしまっては、自分たちには止められない。

 架瑠は諦めたように一つ、ため息を吐いた。

「……大丈夫なのか、この部活」

 ぽつりとつぶやいた紬の言葉が、部屋の中に響く。

「うーん、まぁ、大丈夫だと思うよ。今までも羽井田はいた先輩がいろんな魔術? を試して、なにもなかったし……」

 架瑠が一年生の頃を思い出しながら、紬に答える。あの頃は、ほぼ毎日怪しげな儀式を見ていた気がして、両肩を上げた。
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