【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

秋月一花

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3章:竜の国 ユミルトゥス

クローディア服飾店 2話

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 公爵家の支援を受けている……? と目を瞬かせると、クローディアはなぜ自分が支援を受けたのかを話し始めた。

「私は幼い頃から、ドレスに関わる仕事をしたいと思っていたのです。手先が器用だったのも幸いして……」

 布の切れ端をもらい、パッチワークをすることから始め、いろいろな物を作ったらしい。

 彼女の作った物を見た人は、売ってほしいと彼女の両親に相談したらしく、『売るかどうかはクローディアが選ぶことだから』と言葉を濁していたらしく、すぐに彼女の耳にも届き、売ることを決意したとのこと。

 クローディアの作った物は、スターリング領の一部で流行った。

 その流行をキャッチしたエステルさまが、彼女に手を差し伸べ、まずは服飾店の見習いとして雇用し、いろいろなことを学んで自分の店を持つことになった――らしい。

 きっと、彼女の作った物は、エステルさまの心を奪ったのでしょうね。

「――というわけで、このスターリング領で服飾店を開くことになったのです」
「素晴らしいことですわ」

 彼女は、「ありがとうございます」とにっこりと微笑んだ。

「それで、ですね。フィリベルトさまから手紙をいただき、いろいろお願いをされていまして。こちらをご覧ください」

 シャッとカーテンを開けるクローディア。

 カーテンで一部屋を区切っていたようだ。

 中に入るようにうながされ、足を踏み入れて辺りを見渡し、息を呑む。

 そこにあったのは――制服と、数多くのドレス。

「……これは、いったい……?」
「学園に通われる、とのことでしたので! 一度袖を通していただけますか? 微調整します」
「え、ええ」

 クローディアに手伝ってもらいながら、これから通う学園の制服に身を包む。

 サクリアナ王国とは違う制服だから、なんだか新鮮な気持ち。

「……よく、私のサイズがわかったわね?」
「あ、それは……えーっと、フィリベルトさまから、お聞きしました」

 待って、どうしてフィリベルトさまが私の服のサイズを知っているの!?

 ぎょっとして目をくと、クローディアは苦笑を浮かべ、きゅっと首元のリボンを結んでから離れた。

「詳しくは、フィリベルトさまからお願いします。ええと、制服の着心地はいかがですか?」
「とても軽くていいわ。肌触りも柔らかいし……ずっと着ていたいくらいよ」

 ……そうね、あとでフィリベルトさまに聞いてみましょう。

 そう決意して、彼女の問いに答えた。

 微調整する必要もないくらい、ピッタリなのだけど……?

 ネイビーの布地に金色の刺繍が入った、ワンピース型の制服。

 コルセットを使わないから、とっても楽。

「そういえば、ユミルトゥスではコルセットをあまり使わないの?」
「使うときは使いますよ。ですが、最近はコルセットを使わないドレスが好まれていますね」
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