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3章:竜の国 ユミルトゥス
貴方と出逢えて 2話
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「なんだか、夢のようですわ」
「夢?」
「私をこんなに愛してくれる人に出逢えるなんて、思っていませんでしたもの」
するりと本音がこぼれた。
こうして本音を口にできる関係なのも、私が彼に惹かれた理由の一つ。
そして、考えてみればアレクシス殿下の婚約として、王妃になる未来が待っていた私にとって、本音を隠すことは、慣れたものだった。
本音を笑顔で隠すことを、何年してきたのかしら。
今でも笑顔で本音を隠すことはあるけれど、彼の前でそれはしなくなった。
だって、隠す必要がないのだもの。
彼が、私のことを気遣ってくれていることを知っている。
その気持ちが伝わって、隠すことをしなかった。
――本音を隠すって、結構気力がいるものね。
もちろん、気づかれたくないことは隠すけれど……私がふと不安になったとき、フィリベルトさまはただ黙って抱きしめてくれた。
言い出すのを待っていたのだと思う。
我ながら、なかなか面倒くさい性格よね。
でも彼は、そんな私に寄り添ってくれた。
比べるのもおこがましいけれど、アレクシス殿下とは全然違う。
全身で、私のことが好きなのだと、教えてくれる。
――それが、フィリベルトさまだ。
「……フィリベルトさま?」
「……いや、うん。怖がるんじゃなくて、受け入れてくれるのは、嬉しいな」
怖がる? と小首をかしげると、彼はふはっと噴き出す。
ど、どうして笑っているの? と混乱していると、ぎゅうっと抱きしめられた。
「ふぃ、フィリベルトさま!?」
「言っただろう? 『オレの愛に、溺れてください』って」
確かに、聞いた。期間限定の恋人を提案されたときに。
「ふふ、フィリベルトさまはずっと、私に気遣ってくれましたよね」
「弱っているときにつけ込んでいる自覚はあったからな。それに……アレクシス殿下に婚約破棄をされたリディアを、放っておけなかった」
その言葉だけで、私は救われる。
彼のおかげでアレクシス殿下への未練も、フローラへの感情も、いろいろと断ち切ることができたから。
「……」
……でも、そうね。つけ込まれる隙を与えたのは、私。
彼に返事をせず、帰ることだってできたはずなのに、次を望んだのは――……
「フィリベルトさまが、私を探し出してくれてよかった、と心底思いますわ」
「それは光栄だ」
抱きしめていた腕を緩め、代わりに両肩に手を置くフィリベルトさま。
顔が近づいて、目を閉じると、思っていた場所ではなく額に唇の感触があり、びっくりして目を開けて彼を見つめた。
彼は悪戯っぽく微笑んで、もう一度顔を近づけ、今度こそ唇が重なった。
「夢?」
「私をこんなに愛してくれる人に出逢えるなんて、思っていませんでしたもの」
するりと本音がこぼれた。
こうして本音を口にできる関係なのも、私が彼に惹かれた理由の一つ。
そして、考えてみればアレクシス殿下の婚約として、王妃になる未来が待っていた私にとって、本音を隠すことは、慣れたものだった。
本音を笑顔で隠すことを、何年してきたのかしら。
今でも笑顔で本音を隠すことはあるけれど、彼の前でそれはしなくなった。
だって、隠す必要がないのだもの。
彼が、私のことを気遣ってくれていることを知っている。
その気持ちが伝わって、隠すことをしなかった。
――本音を隠すって、結構気力がいるものね。
もちろん、気づかれたくないことは隠すけれど……私がふと不安になったとき、フィリベルトさまはただ黙って抱きしめてくれた。
言い出すのを待っていたのだと思う。
我ながら、なかなか面倒くさい性格よね。
でも彼は、そんな私に寄り添ってくれた。
比べるのもおこがましいけれど、アレクシス殿下とは全然違う。
全身で、私のことが好きなのだと、教えてくれる。
――それが、フィリベルトさまだ。
「……フィリベルトさま?」
「……いや、うん。怖がるんじゃなくて、受け入れてくれるのは、嬉しいな」
怖がる? と小首をかしげると、彼はふはっと噴き出す。
ど、どうして笑っているの? と混乱していると、ぎゅうっと抱きしめられた。
「ふぃ、フィリベルトさま!?」
「言っただろう? 『オレの愛に、溺れてください』って」
確かに、聞いた。期間限定の恋人を提案されたときに。
「ふふ、フィリベルトさまはずっと、私に気遣ってくれましたよね」
「弱っているときにつけ込んでいる自覚はあったからな。それに……アレクシス殿下に婚約破棄をされたリディアを、放っておけなかった」
その言葉だけで、私は救われる。
彼のおかげでアレクシス殿下への未練も、フローラへの感情も、いろいろと断ち切ることができたから。
「……」
……でも、そうね。つけ込まれる隙を与えたのは、私。
彼に返事をせず、帰ることだってできたはずなのに、次を望んだのは――……
「フィリベルトさまが、私を探し出してくれてよかった、と心底思いますわ」
「それは光栄だ」
抱きしめていた腕を緩め、代わりに両肩に手を置くフィリベルトさま。
顔が近づいて、目を閉じると、思っていた場所ではなく額に唇の感触があり、びっくりして目を開けて彼を見つめた。
彼は悪戯っぽく微笑んで、もう一度顔を近づけ、今度こそ唇が重なった。
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