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3章:竜の国 ユミルトゥス
エステルさまの気持ち 1話
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「こちら、カモミールティーです」
「ミルクを入れてもおいしいですよ!」
「カモミールにミルク?」
ストレートで飲むハーブティーだと思っていたから、なんだか意外。
「はい。入眠前にお持ちしますか?」
「……そうね、気になるし、お願いするわ」
「それって、うちのメイドたちも知っているかしら?」
エステルさまがこてんと首をかしげたので、ローレンは目を丸くした。
「私も飲んでみたいわ。専属侍女を紹介するから、作り方を教えてちょうだい?」
「かしこまりました。ぜひお試しください」
ローレンはにこりと微笑んで頭を下げ、チェルシーと一緒に部屋から去った。私とエステルさまはストレートのカモミールティーを飲む。
りんごのような香りを楽しみながら、ほんのりとはちみつの甘さを感じる。この組み合わせ、好きなのよね。
「あ、そうだ。リディアちゃんに用があったのよ」
カップをテーブルに置いてから、パンッと顎の下で両手を合わせたエステルさま。
「私に、ですか?」
「ええ。一週間後にお茶会に誘われているのだけど、一緒に参加してほしいの」
「えっ、私が参加してもよろしいのですか?」
「もちろんよ! うふふ、こんなに可愛い子がうちの息子のお嫁さんって、みんなに自慢しちゃおうっと!」
じ、自慢……!? 私を……!? 気恥ずかしさとともに、じわりと心が熱くなる。
自慢だと思ってくれるのなら、こんなに嬉しいことはないわ。
「フィリベルトからドレスも贈られたでしょう? そのドレスを着て参加しましょうね」
「……? どうしてご存知なのですか?」
「フィリベルトから相談を受けたから、よ。クローディアの腕は確かだから、今から楽しみだわぁ!」
瞳をキラキラときらめかせるエステルさまに、ドレスを試着したときを思い出して、一気に顔を赤らめた。
顔を隠すように両手で覆うと、トンッとエステルさまが私に寄りかかる。
「今まで、とても大変だったでしょう? 夏季休暇中はしっかり休んで、遊んで、リディアちゃんの気持ちを落ち着かせましょうね」
「私の気持ちを、落ち着かせる……?」
エステルさまの言葉は、意外だった。
もう、私の気持ちは落ちついているとは思うのだけど……?
「だって、この数ヶ月でアレクシス殿下と婚約を白紙にして、魅了の魔法を使う子と対決して、フィリベルトと婚約して、ユミルトゥスに留学にして……と怒涛じゃない?」
指折り数えていく表情は、とても穏やかそうで……
「だから、この家にいるときくらいは、私のことを本当の母親だと思って、甘えてちょうだいね」
――ああ、きっとエステルさまは、その言葉を伝えに来てくれたのね。
「ミルクを入れてもおいしいですよ!」
「カモミールにミルク?」
ストレートで飲むハーブティーだと思っていたから、なんだか意外。
「はい。入眠前にお持ちしますか?」
「……そうね、気になるし、お願いするわ」
「それって、うちのメイドたちも知っているかしら?」
エステルさまがこてんと首をかしげたので、ローレンは目を丸くした。
「私も飲んでみたいわ。専属侍女を紹介するから、作り方を教えてちょうだい?」
「かしこまりました。ぜひお試しください」
ローレンはにこりと微笑んで頭を下げ、チェルシーと一緒に部屋から去った。私とエステルさまはストレートのカモミールティーを飲む。
りんごのような香りを楽しみながら、ほんのりとはちみつの甘さを感じる。この組み合わせ、好きなのよね。
「あ、そうだ。リディアちゃんに用があったのよ」
カップをテーブルに置いてから、パンッと顎の下で両手を合わせたエステルさま。
「私に、ですか?」
「ええ。一週間後にお茶会に誘われているのだけど、一緒に参加してほしいの」
「えっ、私が参加してもよろしいのですか?」
「もちろんよ! うふふ、こんなに可愛い子がうちの息子のお嫁さんって、みんなに自慢しちゃおうっと!」
じ、自慢……!? 私を……!? 気恥ずかしさとともに、じわりと心が熱くなる。
自慢だと思ってくれるのなら、こんなに嬉しいことはないわ。
「フィリベルトからドレスも贈られたでしょう? そのドレスを着て参加しましょうね」
「……? どうしてご存知なのですか?」
「フィリベルトから相談を受けたから、よ。クローディアの腕は確かだから、今から楽しみだわぁ!」
瞳をキラキラときらめかせるエステルさまに、ドレスを試着したときを思い出して、一気に顔を赤らめた。
顔を隠すように両手で覆うと、トンッとエステルさまが私に寄りかかる。
「今まで、とても大変だったでしょう? 夏季休暇中はしっかり休んで、遊んで、リディアちゃんの気持ちを落ち着かせましょうね」
「私の気持ちを、落ち着かせる……?」
エステルさまの言葉は、意外だった。
もう、私の気持ちは落ちついているとは思うのだけど……?
「だって、この数ヶ月でアレクシス殿下と婚約を白紙にして、魅了の魔法を使う子と対決して、フィリベルトと婚約して、ユミルトゥスに留学にして……と怒涛じゃない?」
指折り数えていく表情は、とても穏やかそうで……
「だから、この家にいるときくらいは、私のことを本当の母親だと思って、甘えてちょうだいね」
――ああ、きっとエステルさまは、その言葉を伝えに来てくれたのね。
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